第5話

美少女は言う。

「あなた選ばれたのよ、生け贄に、マーキングされてる」

なんだって?生け贄?マーキング?しどろもどろの思考が言葉だけをなんとかつかみ意味を考える。訳がわからない。

「なんで、俺があんなのに狙われなきゃならんのだ!?勘弁してくれ!!」

「そんなこと私に言われても・・・」

こまったわ・・・という風に顔に手を当てるが表情がかわっていない。まるで能面のようだ。

「あんな化け物、どっからでてきたんだよ・・・」

教室の真ん中に突如現れた化け物、そんなのにいきなり襲われれば誰だって腰が抜けるに違いない。俺もそうだ、しかし、へたりこんだところで事態は好転しない。と、考えるだけの頭は残っていた。

体は、動く。とりあえず逃げなければ。

「おい、お前」

少女に問う。

「なに?」

「お前は俺の味方なのか?」

「ええ」

「なら、おまえも一緒に逃げるか?あの化け物から」

少女は一瞬考える。

「いいえ」

「私は、あなたを守るためにやってきたの」

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