イチイチイチイチ




黒い髪、内巻きの、肩につくかつかないか、

スレスレギリギリの髪。

私、田中。


高校二年生をしている。

周りに変わってるとは言われたりするけど、

高校生らしく彼氏もいるけど、




いや、私、お前らとは違うから。


一緒にされたら困る。


天気だって、

人だって思う通りになるし、

顔だって整ってる方だし、

肌も髪も綺麗だし、

勉強も進学校のこの学校であっても

トップクラスの出来具合だし、

運動だって苦手じゃない、得意な方。

裁縫だって、

料理だって、

工作だって、

なんだって、


出来る、私なら。



私は誰よりも素晴らしい人生を送っているんじゃないか?

自分のおかげで。




何が変わってるだよ


ぶち殺すぞ




嗚呼、つまらないこの世よ、

そして、

あいつよ、

消えてしまえ。



あいつなんかより毎日充実している人生を送っているんだ。




ざまあみろ








⁃ 何が出来ますか?


聞かれてもパッとはこたえられないけど、

いまの生活に満足しているし、

ちょっぴり辛いことだってある。



でも、それを乗り越えられるだけの

幸せを感じているわたしは、

特技なんてなくなって、勉強が得意じゃなくたって、運動が嫌いだって、

毎日を楽しんでいるし、自分の状況が嫌になったことなんてない。



わたしが高橋悠莉でよかった、

高橋悠莉がわたしでよかった、

と思えるのは自分だからじゃなくてわたしと接してくれる人たちがいい人たちだからだ。



あぁ、あのこはわたしより

なんでも出来るけど

なにもかも窮屈でつまらない、

底辺な毎日をおくっているんだろうなぁ。




それってすごく幸せだよね、





わたしが。

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