Ⅰ章【計画的な鼓動】

「最近、ラキス君雰囲気変わったわよね。。。」


朝からずっと走り続けているラキスを見ながら呟く。


「えぇ?そうかい?確かに遠征から帰っていきなりゼぺルさんを倒したのは

驚いたけど、もともとあれぐらい強かったじゃないか。」


「そうじゃなくて、、、まあいいわ、あ、そうだ今日はあの方たちが

この国に訪問するらしいですね。」


それを聞いていたゼぺルは喋りだす。


「ああ、そうだ。上級騎士から実力だけで国王にまで成り上がった一族

シュレンスキー家、一族特有の能力の氷を操る能力は確かに危ないからな。

権力者も下手に手出しできなかったんだろう。そして今日この国にくるのは

二人だそうだ。」


「ソルゼル・シュレンスキー国王とキャンディス・シュレンスキー第一王女でしたよね」


「キャンディス・シュレンスキーか、、、」


「ん?そういえば二年前遠征で一緒でしたよね?どうでした?」


少し嫌な顔をしてから、手を顔にあて落ち込んだ表情をする。


「ありゃ、バケモンだな。。」


シ&べ「バケモン・・・・?」



***



現在ラキスの目の前には穏やかな表情をした、白に近い水色の髪をした

30代ぐらいの全身甲冑状態の容姿のいい男性と同じ髪をした

気の強そうな顔をしたラキスと同じ年齢のはずだがどこか大人びていて

横にいる男性より顔が整っており、かなりの美少女が無表情で座っている。



ラキスの横にはスベラル国王が同じようににこやかに座っているのだが。


ラキスは早くこの場から去りたい気分でいっぱいだった。それも

さっきから笑っている男性の表情とは裏腹に国王に対しての馬頭がひどいからだ。

この時ラキスはこの手帳は使いずらいなと感じながらも開くのをやめなかった

理由は目の前にいる美少女と男性ががさっきから自分の事を女だと思っているからである。確かに髪は長く、容姿がよすぎるので正直声を聞けば性別は男性とわかるのだが喋らず女と言われれば信じてしまうほど美しいのである。決して中性的ではないのだが。。。


いつ自己紹介をすればいいか手帳でタイミングを計っていると急に

手帳から文字が浮かび上がる。


「少女が痺れを切らしラキスに自己紹介をするように立たせる。」


それを知ったラキスは急いで立つと美少女は驚いたように立とうとするのをやめる。

ラキスは立ってしまったのだから落ち着いて事を進めようと覚悟を決め

笑顔で二人を見る。


「初めまして、ふふその顔を見るとどうやら私の事を女性だと

思っていたようですね。」


図星だったため二人は少し驚く、まだ何も発していないのに

心が読まれてしまったと普段からそういうのに関しては訓練しているのだから。


ここでラキスは出来るだけ自分の思う通りに事が進むために最善を尽くす必要が

あるためラキスは続ける。


「どうやら図星でしたか、改めましてラキス・スベラルと申します

以後お見知りおきを。」


そう言うとラキスは座り、落ち着いた雰囲気を保つ。

これも人を騙すために必要だと。見事な自己紹介だったため

先ほどまでの男性からのラキスに対する印象はかなり良くなったが

美少女はどうやらそうではないらしくまだ少し睨みつけている。


そんなこんなで相応の自己紹介は終わり大事な話があるからだと

ラキスと美少女は部屋から出され、庭へと出た。

森に入ろうとしたところでラキスは突然立ち止まり。ゼメルに

ここで待っているようにと命令する。


急に言われたのでゼメルはつい返事をしてしまったが

慌ててついていくように言うとラキスは物凄い殺気で黙らせ。

二人で森へと入っていく。


ある程度進んだところで、次は美少女が突然喋りだす。







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ある程度進んだところで、次は美少女が突然喋りだす。


「ねえ、どうしてさっきメイドを置いてきたの?

さては見られたくない事でもするのかしら?」


人を見下したような眼はこの人に本性なのだとラキスは悟り

上手くいっている事を感じる。ラキスはそんな突然の変化に関わらず相変わらず余裕の笑み。


「はい、そうです。誰にも知られたくない事をするために置いてきました。

例えばあんなことや、そんなことを。」


ラキスが笑いながら素直に言ったため、若干驚きながらも

「そうですか。やはり噂どうり外道ですね、そしてバカですか。

身のほども知らないとは」と言って鞘に手をかける。


(うまく心が何故か読めなかったけどそんなこと思っていたのか)

少し落ち込みながらも

ラキスは微笑し同じく訓練で落ちていた剣を拾い上げ構える。

すると不意にラキスがあることに気付いたように喋りだす。


「あ、そうだ。キャンディスさん私をボコる前に一つ提案いいですか?」

そう言って人差し指を一つ立てる。


「提案ですって?あなた状況わかってるの?」


「はい。流石に私も女性には手を上げたくないのでこういうのはどうです?

貴方は私を動けなくなるまで殴ったら勝ち、私はあなたが負けを認めたら勝ち。

勝った方は負けた方になんでも言うことを聞かせれる。」


「負けたら体を奪われるのにそんなの言うはずがないじゃない!」

と何か勘違いしているなと思いながらもそうかさっきそういう風に言ったからか

と納得し。ラキスの目が突然輝きだすと得体の知れない恐怖が

キャンディスを襲い体制を崩す。


そのままラキスは押し倒し、剣をキャンディスの首元に添える。


「な、なに今の?」

震えた表情でラキスを見つめるキャンディスだが次の瞬間その恐ろしい目は

キャンディスの中では違うものになっていた。


ラキスの美しいその瞳は段々とキャンディスは惚れていき。

顔が何故か赤くなる。ここまで顔を近づけたことがないせいだろうか。


ラキスが少し微笑むと我に返り、急いで抜け出す。

呼吸を整えると剣を鞘に納め。ラキスの顔をじっと見つめる。

本当に美しい瞳だと思いながらキャンディスは話す。


「それで貴方のお願いって何なのよ。。。」


なぜか少し期待しながら、ラキスに聞くと。


「そう言えばそうでしたね。。。。あ、そうだ私の友人になってくれませんか?」


今思い出したように言うラキスを見てこの賭けはそこまで必要ではなかったのだと

悟り逆にラキスの本当の目的は何だったのか気になったが、ラキスの横顔に何か強いものを感じ、気にしないでおくようにした。


「そんなでいいの?まあ私は構わないけど。そうだ特別に私の能力を見せてあげるわね。」そう言うと手のひらで氷の結晶を模った氷が出来上がる。

これは初歩の初歩だがキャンディスは実はこれが一番能力の中で

好きだった。


二人がなぜか黙見ているとラキスが急にキャンディスの近くまで体を寄せ

いたずらに耳元で囁く。


「綺麗だよ。」


「え?!」急に言われ戸惑い作っていた氷が消える。ラキスは残念そうに

見ていると白い肌を赤くしたキャンディスが慌ててる。


その様子を微笑しながら眺めていると、自分が遊ばれていることに気付き

ラキスに襲いかかろうとするとラキスは抵抗せずさっきとは逆に体制になる。


ラキスはじっとキャンディスの方を見つめ、「で、どうするの?」と

まるで試しているようなそんな笑顔でキャンディスの眼を見る。


キャンディスはこの状況ならラキスにどんなことでもできると呼吸を荒げながら

ラキスを掴む手を強くする。


さっきまでは完全にクールだったのだが何故か性欲が抑えられないでいた。

完全に女の顔をしているキャンディスだがラキスは余裕の表情で

「そろそろいいか」とキャンディスに聞こえない声で呟くとさっきまで体を燃やすように高まった性欲が消え急に恥ずかしくなった。


ラキスは「そろそろ、冗談もやめてもらえますか。」と言って笑うとキャンディスが離れる。会談が終わったらしく国王が不機嫌になりながらもキャンディスを

連れ帰る。ラキスは最後に「またね。キャンディス姫。」と言うと。

キャンディスも「またね。ラキス王子。」という仲になっていた




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この能力の存在に気付いたのはあの夜の出来事である。


様々な感情が暴れまわりどうしようもない喪失感と孤独感が生み出す

絶望的な感情がラキスに体中を埋め尽くすとラキスはいつの間にか

暗い空間の中にいた。


ラキスはどうしてこの場所にいるのか直前の記憶を思い出すが

ベットの上でのたうちまわっている事しか思い出せず


「い、痛い。。」


自分は今夢の中にいるのかと思いもしたがどうやらそうではないようだ。


考えていると昔貰った本に書いてあった能力者の間という奴だろうか?

都合よくそんな能力が手に入るとは流石にお気楽すぎるかと

その考えをやめたが、不意に誰かに見られるような感覚に

襲われる、それも殺気が込められたものだった。


「誰ですか?!」


ラキスは直ぐに向けれた方を見る。




するとそこには黒い球が幻想的なオーラを放ちながら浮かび上がっていた。







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この空間にはそれしかなく。よく見ると黒い果実のようだった。



黒い果実など食べようとも思わないが、何故か強くそれを

欲してしまいついそれにかじりつく。すると食べ、喉を通ったあと

直ぐにそれが体の一部になっているようなそんな感覚がラキスの中に生まれ。

食べたところを見ると黒く輝き少し粘着質な液体が垂れ下がっていた

匂いは無かったがなぜかそれを強く欲してしまい。


食べた後の強烈で高進的な快楽が脳にダイレクトに伝わるのがやめられなかった。



その果実かどうかもわからない得体のしれない食べ物を食べ終えてしまった直後


大量の情報と今まで感じたことのない感覚がラキスを襲う。


この空間に入ってから感じたことのない感覚ばかりだが決して

いやな感覚ではなく、逆に体が喜んでいるのが分かった。


さっきのラキスの考えは当たっていたらしく本に書いてあった

とおりだった。


本にはその空間に入ると

その者の能力と使い方が分かるというものだった。


その本には先ほど食べた果実の存在など記されておらず

大量の情報の中にあった「覚醒者」の情報も知るされていなかった。


ラキスが知った覚醒者の情報はまず能力者と呼ばれるものは

昔からあり、7割ほど人間が能力者と意外と多く存在する。


大小合わせての人数なので知らずに生涯を終えることも

珍しくないとか。能力者にも階級があるらしくほとんどの人間が

下級とあるあかないか分からない能力。


中級は人間には到底できないことができ人数も少ない。


上級は七割の中にたった99名しかおらず中級とは比較にならないほどの能力者。



ここからが本に書かれていない内容だが。


             「覚醒者」


それは上級能力者99名中から20名のみが得る次の段階の能力。


             


            別名「使徒」


***




_____________________________________________________________




「あ、れ?」


気付くと元の部屋に戻っていた。


朝になっておりさっきまでの出来事は夢だったのではないかと

思ったが、頭の中には大量の情報がまだあり


試しに部屋にある、鉄で出来たものを頭にある通りの感覚に従うと

軽くぽきっっと折れる。前はこんなことは鍛えていても曲げるぐらいしか

出来なかったが驚いているとふと鏡の方を見る。


すると目が紫色に怪しく光っていたのである。

それは自分でも美しく思うほど綺麗でずっと見ていたいとも思った。


だがそこで決定的な何かに気付く。これが何の能力か

全くわからないということだ。発動は出来たがこれが何の能力で

何が起きたのかさっぱり頭の中から消えていたのである。


だがそんなは問題ではない、能力と私の計画があれば確実に成功すると

確信した瞬間だった。


この能力から分かったことだが、


相手を魅惑する能力があるらしく。どうやら確実に落とす能力らしい。

※ただ少しだけ増強する能力だが元が良すぎるので下級能力だが

中級だと思っています。


それと、上級能力者を感じることのできる能力。

それが分かったのはキャンディスと出会ったことがきっかけだった。


どうやらそれだけらしく他にはないようだった。


それから数年の時が過ぎ真実を知れば知るほどラキスは

自信を鍛え、磨き、すべてに対応しようとした。

それと比例しラキスの心は朽ち、乗り越えるためにより強い人格を

作り壊しまた作る。唯一の救いは体が何故か治りやすくなっていることだった。


それを続けていくうちに、遂に計画結構の時が来る。




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朝起きると、直ぐに朝食を食べ着替える。


今日の式のためにわざわざ取り寄せた最高級の繊維で作った

白と金で繊細な王族の服を着た後部屋を出る。


それから、今回の式のために来た王族や貴族の人たちの何人かとすれ違い軽い会釈を交わす。女性はラキスの容姿にまず驚きほとんどの人が見惚れる。

男性は最初は少し嫉妬気味に話しかけてくるがラキスの人柄に

段々と打ち解けていく。そんなことを何回か繰り返し、次は髪を整えるために

初めてラキスは髪を切ってもらう。


少しは自分で切っていたのだが長い髪が好きで女性と同じぐらい大体腰の高さまで

伸ばしていたが計画のためにと、これもわざわざカリスマ美容師を雇ったという

そしてそれを聞いた国王は部屋の一つを美容室専門にしたそうだ、

これも信用されているということでラキスは納得した。

中に入ると、一人の女性と

一人の髪が紫いろの二つぐらい年上の男性が立っていた。


中々のイケメンでおしゃれ、そして腕が良いためファンが多いらしく

信用できそうな人物だったので安心して席に着く。だが男性は突然ラキス

の顔に近づける。


「あら、かなりの美青年じゃなぁい~の久々に腕がなるわね。

知っていると思うけど私はフェイスよ。宜しくね。ラキス王子。」


そう言うとラキスの顔に軽くキスをする。

この時ラキスは嫌なゾクゾク感と一緒にこの人があっち系の人物だと悟る。

スタッフだろうかそれを見ていた女性の顔が赤くなる。

なんだがイケナイものを見ているんじゃないかと思ったらしく

倉庫の方に去っていった。


「じゃあ、そろそろ切るわね。でどれくらい切ってほしいのかしら?」


「・・・バッサリ行ってもらっていいですか?この長い髪の毛。」


それを聞いたオネエ風のフェイスは驚きもう一度確認する。


「え?ほんとにいいの?この長さとなると当分しないと伸びないわよ。」


「はい。お願いします。」ラキスの少し寂しそうな顔をみて何かを悟ったのか

真剣に切り始める。


フェイスとは最初はあれだと思ったが話していくうちに段々と仲が良くなっていき

髪を切り終えた頃にはため口で喋るぐらい仲が良くなっていた。

ため口と言ってもラキスは変わらないが、どこか親しみを込めたものになっていた。


そしてラキスは気付く、いや気付いたと言っても確信があるわけではないが

理由は明確、動き方といいそして何よりフェイスが能力者それも

上級能力者だということ。少なくてもフェイスはかなりの腕の持ち主である事。


だがラキスは気にしないで喋り続けた。話すのが楽しいと感じたのは

初めてだったからだ。


それから仕上げに髪をかきあげ。鏡を見せられる。


フェイスは満足いったようなのでラキスは立ち上がり。部屋を出る。

フェイスはウインクしながら「またよろしくね~」と言って別れた。


まだ時間があり、庭にでも行って見ようとした時


倒れていた女性を見つける。走ってその女性に近寄ると

どうやらドレスでこけたらしい。センスが良く気品あふれるドレスだった。

ラキスは手をその女性に差し出すと女性は顔を上げ恐る恐る手を取る。


ラキスは顔を見て目を合わせた瞬間ドキッとしたどうやら

その女性のラキスの顔見て恥ずかしくなったのか顔がみるみる

赤く染まる。女性は美しく触りたくなるような唇に頬、

髪は長く薄いピンク色をしている。まるで女神のような顔は強烈だった。



ラキスは心臓がバクバクになりながらも静かにその女性とずっと見つめあっていた。






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目を放すことができないほど美しく。何秒も見つめ合う二人。


今でもなぜそんなことをしたのか分らないが、ラキスはその女性の

唇にそっとkisuをする。


女性は何故か嫌がらず何秒かキスをした後、ラキスは急に正気を取り戻し

直ぐに離れる。


とんでもないことをしてしまったと一瞬後悔するが女性はどうやら

唇にそっと手を添えると、ゆっくりと今何が起きたか理解はしているようだが

ラキスをじっと見つめる。そして優しく微笑み淡い桃色の瞳で見つめる。


この瞬間がずっと続けばいい思ったが、林の奥から老人が飛び出す。

服装から見て何かの宗教の信者だということは分かったが

顔見た瞬間、ラキスの中に強い怒りが芽生える。


この老人は何度もあの地下室で見た汚物の一人つまり今作戦の駆逐対象。。。


だがここで冷静さを失っては元もこうもないのでいつもどうり

愛想笑いを浮かべる。老人もラキスに気付き頭を下げる。


軽い世間話や今回の式について話していると。


女性が突然、ラキスに抱きつき。子供のように頭を撫でる。


その光景を見ていた老人は急な出来事により驚きラキスを睨む。


「どうゆうことですラキスさん?」ラキスもどうして急にこのような状況になったのか分らなかったが。答えようとすると。女性は耳元で囁く。


「またね?美味しかったよ、ら・き・す君」


そう言うと、ラキスから離れ、老人に何か言うと老人はしぶしぶ帰っていった。


だがそんなことより、ラキスは自信を疑う、彼女もまた上級能力者だということに。


困惑したが、こんな大事件が起きる日だ。奇妙な現実も起こるだろう。

こんなこともあるかと納得し、ついに式が始まる合図の鐘が鳴る。



                 

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