Ⅰ章【残酷な動悸】






ラキスは10歳になり体も心も成長し、実力はほぼゼぺルと変わらないほど

強くなっていた。そのころには自分が白い肌や紫色の目でひそかに

悩み、できるだけ本心でしゃべらないでおこうとしていた

ラキスしか知らない自分を守るための壁もなくなっていた。




はずだったが、ラキスが一枚の少し古びた手紙を見つけたと頃から

物語は始まりだした。


「ん?」


それは何気なく、掃除していたらふと青い手紙が机の裏側に挟まっていることに

気付きそれを何気なくとる。

そこには昔に授業を教えてもらった、笑顔のきれいな先生からのラキスへの手紙だった。何だろうと思いながら手紙を開くとラキスは言葉を失った。

そこには信じられない内容が

ずらっと記されていたあの優しかった先生が書いたとは思えないほど

字は汚く時間がなくて急いで書いたような字だ。

だがラキスが言葉を言葉を失ったのは内容の方だ。


『この国の真実は地下にある。そしてこれを読んでいるころには私は死んでいる」

___これをもって私の調査を完全に終了とする______



もしラキス様が奇跡的にこれを見ていたら急いであなたを監視しているメイドに と言ってください。もしあなたが真実を知りたいのであれば。。。。」


ラキスは何のことか分からず手紙の内容が全く理解できなかった。

そもそも地下に真実?死んでいる?調査?

この手紙をどうしようか考えていると約2年か3年ぶりに眼鏡をかけた

メイドに話しかける。こんなに一緒にいるのに話しかけてこなかったのは

異常ともいえるがメイドはラキスから逃げていたしラキスも話しかけないように

していたからである。


ラキスは食事の時間が終わると一直線にメイドの方へ向かっていった。


相変わらず手帳に何か書いていてラキスに全く気付いていなかった


肩を叩くと、ビクッとメイドは一瞬目を見開きながらラキスの方に顔を

向ける。


「あ、あのウェルさん少しいいですか?」一様メイドの名前は

一通り覚えていた。


「え?ラキス様ぁ」急に言われ動揺していたがすぐに表情を硬め

言い方を変える。


「何の用ですか?だいぶ前にも言いましたが私にはな、、」


『私は死んでいる。』真剣な表情でラキスはウェルを見つめる

それは言った直後あり得ないことが起きたかのように目を全開に

見開いたからだ。こんな表情余程の事がない限りしないし

さっきの言葉は何らかの合図だったのだと今は思う。


これは本気で調べる必要があるなとラキスはウェルの表情から

覚悟を決める。ラキスも生活するうえで少しずつ疑問に思う事が

あったからだそしてその疑問の答えも大体ラキスは信じたくないが

分かっていた。だがそれはただの仮説だと考えないで常に

生きてきたが、ウェルの暗く重い声でより事の重大さを

脳裏に焼き付かせる。




「後で私の部屋でミルクティーを持ってくると

いう口実で私の部屋へきてください。それと注意するべきことは二つ

決して移動中に他の人に見つからないでください。もし見つかり疑われた場合は

諦めてまた次の日にしてくださいそれと、私の部屋に来るまでは私と喋らないでくださいいいですね。」


「では」


そういうとウェルはより暗い表情をすると去っていた、

残ったラキスは一番最悪なケースを考えながらも

必死にそれはないと言い聞かせていた。



____________________________________________________________________________













キッチン」に入るとメイドたちがラキスに気付き頭を下げる。

今いるメイドたちは1年おき変わっていたメイドたちではなく

最近はずっとこのメイドたちがラキスの世話をしてくれていたので

メイドたちとラキスはかなり仲が良くなっていた。

このメイドたちはみな年が高く、怯えた表情もラキスには向けない。


ラキスはメイドたちが「ラキス様!私たちがやりますから、どうか火のそばから離れてください!」と言われながらも「大丈夫大丈夫。みんなの分も作ってあげるから。」と年の高いのメイドたちに紅茶を配りながらさりげなくウェルの

部屋へ着く。




「紅茶を持ってきましたよ。」


そういうとドアを開け中に入る。すると落ち込んだ表情を

したまま、大事そうにそして悲しそうに自分の手帳を見つめながら

眼鏡を外し泣いて椅子に座っているウェルの姿がそこにはあった。


その姿を見たラキスは急いでウェルに近づき呼びかける。


「大丈夫ですか?ウェルさん!こ、紅茶持ってきましたよ。ほら飲んでください。

紅茶と言われましたが種類は言っていなかったので体と心が安らぐ紅茶を持ってきましたから。」


ウェルはゆっくり頭を上げるとラキス頬や髪を撫でながら、

涙は流したままだが今まで見せたことがないほど優しい表情で

「ありがと、、、ラキス君。。」

と静かに言った。それからじっとラキスの顔を懐かしむように見つめる。


ラキスはウェルと出会ってから約4年ほど一緒にいたがこんなに

優しい表情は初めて見たので少し驚いた。それでウェルはなかなか

美人なので見つめられるのが恥ずかしくなり耳を赤くする。


それに気づいたウェルは少し笑うと、また撫でるまるで母親のように。。。


それから覚悟を決めたような表情をしながら笑って手帳をラキスに差し出した。


「これは?」


ラキスは何故渡されたのか分からず、これがウェルにとって大切なものだと知っていたので悩んでいると。


「ラキス君。貴方はまだ若いけど真実が知りたいんだったら、この手帳を

自分の部屋に戻ったら中身を見て。そしてそのに従いながら

上手く使いなさい。貴方が真実を知って、それでも望む未来が欲しいのであれば。



これは私とラキス君の約束ね。」


そしてウェルは言い終えるとドアを開け、ラキスの頬に少しキスをしながら

近付き、手帳の一番最後のページを破いた後、ラキスを部屋から追い出す。


「え?」


ドアが閉まった直後、いくら呼び掛けてもウェルが返事しないので

仕方なく自分の部屋に帰るといわれた通り手帳を開きそして読み始める。

表紙にはウェル・サレンダーと書かれていた恐らく

メイドの本名だろうだが中を見てみると全部白紙でなんなんだと思いながら

最後のページの1ページ後ろまでいくと

突然ルールと書かれた文字の下に5つのルールが書かれていた。


それを見た直後ラキスはドアを開け、急いでウェルの部屋へ行き開けると。。






              「ルール」


  1・この本は所有者の運命や相手の心が手帳に記され

    知ることができる手帳である。


  2・この本は所有者以外が見ても何も書いてないページしか映らない。


  3・この本の所有者は2人以上存在しない。


  4・この本所有者が死んだ場合、次に読んだものが所有者になる。


  5・この本の所有者は他の人物に奪われたまま

    最後のページを破られた場合2分後に







             











「うわあああああぁぁっぁあぁぁぁぁ!」



そういって、わけも理由もわからないまま死んでいったウェルの死体を


前に大声で泣きながらうなだれていると、メイドや執事が集まる。


ラキス様が大声で泣いていると誰かが国王に行ったのか


滅多に外に出ない国王や王妃がラキスのそばへ駆け寄る。


目の前の光景に目もくれず。。



「ど、どうしたんだいラキスよ?」(どうしたんだ?)



「どうしたの?ラキスちゃん」(ああぁやっぱり世界一かわいいわね)




「へ?」



目の前にいる人たちの思いや感情が脳の中に直接入ってくるように飛び込んでくる。



目の前の死体にやっと二人は気付くと余り驚かず悟ったように笑顔でラキスに


肩を掴む。



「そんなにあのメイドを気に入っていたのか。。。よし分かった!新しいメイドを


おまえにやろう。それもよりいいメイドだ!どうだ?うれしいだろう?」



「はえ?」王は不気味なほど優しい笑顔で訳のわからないことを言い出す。


ラキスは同じ笑顔なのにこんなにも残酷な笑顔があるだろうかと


更に困惑する。



その意見を聞いた王妃は手を合わせると同じように笑顔でラキスの顔を


覗き込む。



「そうね、それがいいわ新しいのを用意しましょう!ほらメイドそこにいる


汚い物を片付けなさい。」そういわれたのは専属のメイドのゼメルだった


ゼメルはいつも道理優しく笑う。ラキスはその笑顔を見て安心した。。。



のは束の間でポケットからごみ袋を出すと近くにいるメイド三人と


ウェルの死体を詰め込み始めた。



「あら、入らないわね。。。_____ちゃいましょうか。」



聞き取れなかったがすっと後ろにいたメイドがラキスの目を塞ぐ。



直後、ガサガサとした音が流れた後にブチブチといった何かがねじれながら


ちぎれている音が耳に入ってくると右手に粘着質の液体が


触れる。においを嗅ぐと鉄が腐ったような匂いがした。。。


見えてはいないがこんなの誰でも想像つくじゃないかと。


何もかも常識から外れた現実を泣きながら受け入れ



ある計画が脳裏に浮かぶいや、聞こえるといった方がいいだろうか


精神が不安定な中でもラキスはこれは何としてでも


ウェルのためにやりきろうと覚悟を決めた。



それから数分した後にようやく塞がれていた目が自由になると


何もなかったように綺麗に何もなかった。



自分の部屋に戻されるとラキスは手帳に目を落とす。



その中身は最大1200ページにもよる内容でこの国について


書かれていた。見るだけで吐き気がするほど残酷な内容が記されていて


今まで信用していたものがほぼすべて崩壊し。


今までのラキスという人格を壊すには十分すぎるほどだった。。。













その夜この国の真実を知ったラキスは人間性を捨て去った。。__________





あれからラキスはもう一つの人格を作り出すことによって


自分を守った。手帳に書かれていたことが本当のことを言っているか


ラキスは確かめる必要があるのでひとまず一番あり得ないと思った


事から調べてみることにした、それはこの国の地下には


多くの奴隷が幽閉されており、日々この国のために24時間働かせられ


ているという地下街。そこでは死んでいった奴隷は捨てられまた新しい奴隷が死ぬまで働く地獄そのものだと手帳には記されており。地下街に行く方法も


記されていた。だがそんなことは本来だったらとっくに帝国警察や


帝国騎士団が知りこの国は滅んでいるはず。。。


と考えたが手帳にその答えが記される。それと今の疑問を照らし合わせると


納得する。「知っていながらも手出し出来ない」ということを。



確かに昨夜みたいな、間違ったことが簡単に通る国だ


それだけこの国は力を持っているという事だろう。




昨夜のようなことが起こっても


過ごすメイドや執事、城にいる誰もが何もなかったかのようにしている


様子や手帳に書かれているこの国の罪を見てこの国の闇はもっと深いことを感じながらも何故だか少し笑ってしまった。



だが、ラキスにはまだ一つ手帳について信じられないことが


あった、それは地下街と呼ばれる人間の権利を全て無くした場所が


この国の地下にあることだ。そんなもの見たことも来たこともない、


しかもそんな場所の入り口は客人や他の国の権力者を招待し食べたり飲んだりするだけの部屋の奥にあることだった。


この時はなんでそんな場所への入り口がここなのかと思ったがその理由は


その場所に移動している最中簡単にわかってしまった。



この国だけではなくこの闇には他の多くの国の闇そのものだと。



付くと手帳の指示どうり、時計から出ている鳩のエンブレムを摘まむと


床が段々へこんでいき地下への階段が出来上がる。


ラキスは階段が出てきた今でもそんな地下街はないとどこかで思っていた


手帳のこの国について読めば読むほど吐き気がするような出来事ばかりが


数えられないほど起こっているそんな国に育てられ、自分もそんな人間たちのと


同じ国民で王子である事に激しい絶望感が襲う。



階段を下りるたびに悲鳴と恐怖が入り混じった声と


それを楽しんでいるかのように聞こえる声が大きくなっていく。



降り終わると急に明るくなっており、そこはもうなんと言ったらいいのでしょうか


人間の皮を被った怪物が裸の人間の首に赤い首輪をしながら歩いている街。


奴隷よりひどい扱いを受けているまるでそれは道具のように扱く街。



ラキスはこんなにも人間は醜いのかと予想をはるかに超えた地獄を目の当たりにして


呼吸が荒くなり、倒れそうになっていると近くから悲鳴が聞こえる。


聞こえた場所に走っていくとそこには変な仮面をつけた男たちが


一人の手が裸の状態で縛られた女性が出した悲鳴だった。


その場所には体から様々なものが飛び出しドロドロの液体や寄生虫が


湧き体中にかかった状態で放置され、もっとひどい女性は体の半分以上が


腐りながらも生きていた。その光景を見た女性は数分後自分がああなると考えたのか息ができなくなったように目を見開きその場に座り込む。



そんな女性を欲望のままにまるで豚が餌を貪るように輪姦される様子が


急にラキスの脳裏に浮かぶ。ラキスは気付いてはいないがほんの少しだけ


紫色の目が輝いた。その光景を知ったラキスは一番我慢すべき状況で


飛び出してしまう。襲おうとした豚を拳で殴り倒す。


ラキスは初めて実戦で魔力を使ったが、少し使っただけでかなり吹っ飛んだ


豚を見てやれる!と確信する。



がそれもつかの間、いつの間にかいた護衛がラキスの体の腹を蹴り上げ


壁にめり込む。






そこからラキスの意識は途切れる。。。。









「んゥ、、、」



激しい痛みを抱えながらeleven目を覚まし、そのまま立ち上がると


さっきの変な仮面を頭につけた、国王が咎めるようにラキスを


睨みつける。



「起きたか、ラキス、、なんで今私の目の前ではいつくばっているかわかるか?」



ラキスは目の前のこの狂った王の首を握りつぶそうかと本気で思ったが


よく見ると40人以上の傭兵が後ろに構えていた。



ここから逃げ出すことは無理だと考え、全力でこの場を何とか


することに全神経を働かす。まずこの狂った王を何とかしないといけ


無いのでひとまず心の中を調べる。



すると常人には理解できない感情や考えがラキスの中へと入っていく。


一瞬吐きそうになるが、今目の前にいる狂人のなんとかするために


覚悟を決め少し笑いながら王の方をじっと見つめる。



「私があの女性をぐちょぐちょに壊したかったんですよ。


でも本当はやってはいけないと分かっていたんです。。。


しかしどうしても我慢できず。。。すみませんでした王いやお父様」



今、彼が欲している答えを口にする。


ラキスは相手が考えている事と性格、状況からこの答えが相手にとって一番


欲している質問に対する答えだ。



王は目を見開きながら口に手をあて信じられないといった表情でラキスを


見る。相当今の答えは王にとっては衝撃的かつ心地良い答えだっただろう。


だが王からはまだ信じられないといった感情が生まれ。それがダイレクトにラキスに伝わる次はどんな事を言い出すか伺っていると。



急に国王は笑い出し、衛兵に先ほどの女性を連れて来るように言うと


ラキスの目の前に連れ出す。国王は懐から一丁の拳銃を取り出すとラキスに


投げる。



「これは?」落ち着いて聞くが凄く嫌な予感を感じながら悟られないように


より笑顔を強くする。



「本当にお前がそんな考えを持っているのか調べるために


今から簡単な試験をだす。安心しろ簡単な試験だ。


さっき庇ったその女を殺せ。ほら簡単だろ。」



ラキスはそれを聞いて、なんて残酷な野郎なんだと睨みつけそうになるが


この試験の意味を理解する。この狂った試験は殺す事なんて最低条件に過ぎないということに本質はどんな殺し方をし、この人間が本当に同じ考えを持ったものか


図るのだ。



一瞬で覚悟をきめ、「計画のためだ」とラキスはこの女を殺そうと引き金に手をかけた時。殺すという感覚がラキスを襲う。そう今この場所でラキスはこの女を殺すのだとそしてこの先また同じような出来事が起こり自分はすべてを騙し殺し本当にこの国王から信頼を勝ち取らないといけないということ。計画が失敗した場合そのすべてが意味のないものになるということ。


その事をもう一度深く理解したラキスは数時間前まで思っていた自分の覚悟やら


人間性を捨てるとか何もかも甘かったことに気付く。


失敗したら二度と再挑戦はかなわない計画。



ラキスは何もかも甘かった事に気付き、笑いながら拳銃を女の口の中に入れ込み


笑顔で引き金を引く。まるで子供のようのに。無邪気に。怪しまれないように。


心の中で涙を流しながら。



                 承

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