第4話 ありがとう


ピンポーン。と私の家のチャイムが鳴った。

こんな朝から誰だろ。飯島さんかな?なら、出なくていいかな

そう思いながら私は母に出るように頼んで私は朝食を作り始める

今日は何にしよ……昨日はなんだっけ。覚えてないや

冷蔵庫開けるとウインナーと卵ある……。ウインナー焼いて

スクランブルエッグにしようかな。あー、でも目玉焼きもいいなぁ

……どうしよ。悩む。


『未来ー?お友達が来たわよ。』


……え?友達?誰。というか、なんで家に上げてるのこの人。

お邪魔しますって遠くで聞こえたけど、どこかで聞いたことのある

声だった。男子の声だった。……なんか嫌な予感するな


『よー!桜井おはよー!お、朝飯食ってるの?俺も朝食べてないからさー、俺のも作って』


嫌な予感的中。

なんで芹沢洸が居るんだろう。そう思いながら無視しようかなと

思ってまた悩み始める。


『俺、スクランブルエッグがいい!』


いやいや、君が食べたいとか知らないから。というか、家で食べる気なの?

さすがにやめて欲しい。無言な朝食なのに、その中うるさそうな人が

居ると絶対母の機嫌が悪い。それだけは避けたい……何があっても

けど、母は何故か芹沢洸と普通に話してる……

私が目を覚ましてから初めて見る表情だ。

私は驚きを隠せないままスクランブルエッグを作ることにした。

これは……あれだ。母を笑顔にしてくれた彼へのお礼だ……。うん

それに、私もスクランブルエッグにしようとしてたし。


『……はい。スクランブルエッグとウインナーと味噌汁。そしてご飯。芹沢くん、飲み物何がいいの?』


私は作り終わった料理を食器に乗せ、テーブルに置く。

さすがに飲み物あった方がいいかなと思って一応彼に聞いた。


『んー、コーラある?俺コーラ好きなんだよねー』


コーラか……確かあった気がする。父がたまに飲んでたから

きっとあるな。

そう思いコップを出し、冷蔵庫を開けコーラあるか確かめた

確かにコーラはあった。

それにしても朝から炭酸か……。私だったらご飯食べれなくなってそう

『はい。お待たせ。じゃあ、食べていいよ』


そう言って私は話さずモグモグと食べていた。うん、スクランブルエッグ

上手くいった。美味しい

私は食べ終わったので食器を片付けて学校へ行く支度した。

……そういえばなんで芹沢くんは来たのかな?

なんだろ。彼と出会ってからなんか気になることが多い気がする。

たまに、懐かしい感じもするし…。なんなんだろ

彼は私のこと知ってるみたいだし……けれど、私は彼のことを

何一つ知らなくて……。

なんか…嫌だなぁ。私は何も知らないとか。

知ってるとしたら……何考えてるかわからない人くらいか。

ほんと、彼のこと何も知らないんだなぁ……私って。


『おーい?どーしたん?桜井?』


……。私は彼の顔を見て思った。

ほんと変な人だな…

少し気になる……。


『ううん。なんでもない。早く一緒に学校行こっか芹沢くん。』


あれ、なんで私 "一緒" に行こうとしてるんだろう?

……これじゃ、私が一緒に芹沢くんと行きたいとか思ってた人見たいじゃんか。

うわ。やばい……そう思うとなんか恥ずかしい。

チラッと芹沢くんの顔を覗き込んだ。

芹沢くんは少し顔を赤くしてた。……やばいこれ。完璧に勘違いされてるよね!?どうしよ……。別に一緒に行きたくないのに

お互い少しの間無言になってた。

私はなんか恥ずかしくなったからだけど……芹沢くんはなんで

喋らないのだろう……ほんと、よくわかんない。


『あ、あのさ!今日……一緒に帰らねぇ?』


いきなり芹沢くんが話しかけるから

私は驚いた。


『あ……。うん。いいよ。帰ろうか一緒に。』


なんで私、いいよなんて言っちゃったんだろ……

余計なんか話しかけにくいや……

私が返事したあと、また芹沢くんが静かだから顔を覗き込んでみた

そしたら、芹沢くん顔を真っ赤にしてた。耳まで赤くてなんか

可愛いなぁ……。とか思ったりした

男子ってあんな顔するんだなぁ。もっと見てたいかも。

こんな風に思うのは彼のせいだろうなぁ……

私はクスっと笑った……なんか面白くて

もう少し、人と関わろうかなって思った。

私は何も知らないんだもん……知った方がいいよね。きっと

こんな風に変わったのは……きっと。



『……ありがとう。』


きっと、芹沢くんのおかげだよね。

私は芹沢くんに聞こえない声でそっとお礼を言った。

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