第3話 ごめんなさい

第3話 ごめんなさい



私が教室に戻ってから15分くらい後に芹沢洸が教室に戻ってきた

……さっきの“言いたいこと”が気になる。

なんかドキドキする

てか、ドキドキってなに!?なにこれ!緊張…なのかな?

……と、取り敢えず落ち着かなきゃ。う、うん。平然

平然とするの大事。うん……


『ごめんー!桜井!遅くなっちまった!待った!?』


何があったか分からないけどよく見ると彼は汗まみれだ。

汗……なのかな?今夏だし、男子だから……水浴びでもして

濡れたのかな……水の滴るいい男?みたいなのを表現したかったのかしら。なんか気になるかも


『ううん、大丈夫。じゃあ、案内するね』


私は案内してすぐバイトに行けるようにリュックを背負って

教室を出る。最初は職員室や音楽室。家庭科室に、図書館。

校長室に体育館。食堂とかにも案内をした

色々話してる間に、私も彼と話してるのが少し楽しく感じてた

なんだろ、母とか飯島さんと話すのは少し苦手というか嫌だったけれど

不思議と彼は嫌じゃない。

それより、やっぱり懐かしい感じがする。変な感じだなぁ


『じゃあ、これで案内は終了かな。それじゃ、また…』


そう言ってバイト先へ行こうとした時、芹沢洸は私の腕を

掴んだ。

……え、なに。なんで掴むの?


『……あのさ、言いたいことがあるんだけど』


言いたいこと……?あ、そういえばさっき言ってたような

学校案内してて忘れてたなぁ

私は腕を離してもらうように言って離してもらった。


『……で、なにかな?バイト行きたいからなるべく早めに……』


今月の給料で一人暮らししたいんだよなぁ。

あと少しで貯まるし……うん、早く行きたい。


『あのさ……!俺の事ほんとに覚えてない……?』


……はい?いや…覚えてるわけないよね。うん

確かに懐かしい感じがしたけど記憶失くしてるんだから覚えてないも何もまず、分からないよね??


『いや…記憶無いから……さ。ごめん』


私がそう言うと彼は少し悲しげな顔をした。

……なんか悪いことをした気がする

多分、昔遊んでたりしてたんだろうな


『俺さ、昔お前の隣の家に住んでたんだよ…。よくお前の家にも行ったりしてさー。お前、公園行った時なんかジャングルジムから降りれなくて泣いてたんだぜ?』


……つまり、幼なじみ?てか、それを言うために引き止めたの?

それが言いたいことなの?だったら正直どうでもいい。

私が泣いてたとしてもそれは過去だしむしろ忘れたい気がする。

うん、もう帰ろうかな。


『それでさぁ、俺お前のお母さんに怒られたりしてさー

……色々合ったんだけど、お前のこと好きだったし忘れられなくてさー…』


なんかどうでも良くなってきた……なんなの。好きだからなんなの。

お願いだから早く帰らせてほしい……バイト行きたい。


『えーと、それで?つまり何を言いたいの?』


私はてっとり早く質問して答えを求めた。

だってそうしないとずっと話し続けてそうなんだもん。


『あー、えーと。取り敢えず、友達になってください!』


どうやったらそこにたどり着くんだろ……。

この人は……うん、多分女子にチヤホヤされすぎてて

取り敢えず、女の子とLINE交換とかしたい人なんだろうな


『ごめんなさい。私、あなたみたいな人と友達になる気はないので。LINE目当てとかなら他の子に頼んでください。例えばさっきの霧川綾香さんとか。それじゃ、私。バイトあるので。』


芹沢洸は何か言いたそうだったけれど。

その前に私が走ったから何を言おうとしたか聞こえなかった

バイト先に着いて、いつも通りバイトをして。

いつも通り家に帰ってお風呂入って、無言でご飯を食べた。

そして食べ終わったら食器を片付けて自分の部屋へ戻って ベットにダイブした。

……今日はいつもより疲れたな。

彼は最後何を言いたかったんだろ……

気になるから明日聞こう……

そんな事を考えてる間に私は眠りについた。

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