第7話

 あの二人……付き合っているんだろうか。やけに親密そうだった。

 僕があともう少し背が高ければ、あともう少し顔が整っていたなら、あともう少しオーラがあったなら。君はあんな風に笑ってくれるだろうか。

 思えばレストランに入って行く時、男と目が合ったような気がする。その時男は、勝ち誇った目をしていたような……いやいや、そんな意地悪なことを思ってどうする。生まれつきの体質はどうしようもない。君は元から僕には合わない人だったんだ。ふさわしい人を嫉んだって……。

 え?嫉む?僕は男にジェラシーを感じているんだろうか。

「間違いなくジェラシーだな」

「た、丈琉。どうして僕が思ってることが分かるんだ?」

「……漏れてたよ」

「お前も辛いな。泣きたくなったら俺たちに云え。いつだって話くらいは聞いてやるからよ」

「……丈琉、先走んないで! ……もしかしたらその男は天使の親戚とかかもしれないよ。まだ諦めるには早いんじゃない」

「でも……」

「デモもストもないぜ。女に会いたいんだろ? その気持ちこそ恋ってもんだ。一発ドカンと思い伝えて来い!」

「……泣くのはすべてやりきった後でも遅くないよ」

「うん……。そうだね。恥をさらして男を見せるよ」

 僕は本当に良い友達を持った。あの男が君の彼氏だとしても、この思いだけは伝えよう。結果が駄目で気まずくなっても大丈夫。ついこの間まで喋ったことさえ無かったんだし、学校でも今までのように戻るだけだ。

「よしっ」

 パチンと両手で顔を叩いて気合を入れた。

「……紅葉マーク、カッコ悪い」

 晶の茶々は無視無視。

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