闘士の秘密③
「それで、わたしの所に」
「自分の個人的な事情に巻き込んですまない」
「そんなにかしこまらなくて良いよ。人格は助け合いでしょ? でも、もう少し物理的距離は縮めて欲しいかな」
タイジュさんが女性を苦手としていることは聞いていたけれど、会話をするのに50メートル近くも離れなくてはならないのは少し面倒に感じられた。
「し、しかし」
「何を恐れているのか分からないけど、大丈夫」
小さな子供を諭すように優しい声でわたしは言い、一歩、また一歩とタイジュさんに近づいた。
「だ、ダメだ。こっちに来てはいけない」
「どうしてですか?」
必死にわたしを止めようとするタイジュさんにそう聞き返すとタイジュさんは顔を真っ青にして言った。
「自分はおたくを壊してしまうかもしれない」
「わたし、これでも生前は1人で戦って来たから。簡単に壊れたりしないよ」
そう言ってわたしはタイジュさんとの距離を一気に詰めてタイジュさんの両手を優しく握った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます