闘士の秘密②
内野明日香という少女が生まれてから今に至るまでに積み重ねられた記憶が本という形で保存された入り口も出口も無く、入り口であり出口であるその空間に雪崩のような音が響いた。
「おいおい、何の音だ?」
音の聞こえた方へ急ぐと、一つの本棚から本が全て落下していて屈強な男が本の下敷きになっていた。
「タイジュのおっさん、何しているんだ?」
「自分、おっさんって呼ばれる年じゃないのだが。それよりも、先に自分にかける言葉ないの?」
「あぁ、悪い。大丈夫か?」
俺はタイジュのおっさんの上に乗っている本を一冊ずつどかしてやり、タイジュのおっさんに手を差し伸べた。
「おっさん、ここで何していたんだ?」
「だから、自分はおっさんって年じゃ……。まぁ、いいや。自分、女性に耐性が無いから明日香ちゃんのことを知って女性というものを知ろうかと」
「おっさんが弱点を克服しようとしているのは素直に応援するけど、明日香じゃ女性を知ることは出来ないからやめとけ」
「何故だ?」
「いやいや、見たらわかるでしょ。って、おっさんは普通の女性を知らないのか。いいか、普通の女性ってのは魔王を自称しないから」
「そうなのか」
「おっさん女性しらなさすぎるでしょ。そういう訳だから女性を知るなら明日香よりもサーヤと話した方が良いぞ」
「なるほど、そうさせてもらおう」
弱点を克服するのは良い事だが、女性の顔を見ただけで驚くのに、おっさんは何故いきなり記憶の中のアルバムを見てしまったのだろう。写真とは違って写真には残らない過激な場面だってあるというのに。
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