カインと明日香

 姉ちゃんのせいで異世界から無理矢理呼び出されてしまった勇者、クドルフ・カインさんを家族として迎え、初めての食事を終えた僕は夕飯の後片付けをしながら姉ちゃんの声に耳を傾けた。


「勇者よ。


何だ、魔王。


汝の名はカインと言ったな。


そういう貴様は、明日香だったか?


さぁ、どうかな?


嫌いなのか? 可愛らしい名前じゃないか。


ふにゃっ!?


どうした? 魔王の次は猫の真似事か?


な!? わ、我を愚弄する気か!


そんなつもりは無い。


そ、そうか」


 カインさんは何気なく言ったつもりだったのだろうが、普段からイタイ言動を繰り返している所為で面と向かって(人と視線を合わせるのが苦手で向かい合えてはいないが)可愛らしいと言われ慣れていない姉ちゃんはニヤニヤとはっきり言って気持ちの悪い笑みを浮かべて喜んでいた。



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