僕と姉ちゃんと新たな人格⑥

4月30日


 勇者(本物らしい)が姉ちゃんの人格に転生してから1時間。


「2人ともわかった?」


「なるほど、つまり俺は魔王を自称するこの身体の娘が使った何らかの魔法の影響によって、この娘の1人格として転生させられてしまったという訳だな?」


 流石勇者、見た目は姉ちゃんだが理解が早くて助かった。


「自称ではない。私こそが魔王だぁ!」


「勇者さん、こんな姉ちゃんですが1人格として姉ちゃんをよろしくお願いします」


「このような運命になってしまった以上構わないが、具体的に何をすればいい?」


 勇者に頼んで良い事なのか僕は少し悩んだが、ジーッと考えていてもドーにもなりそうには無かったので思い切って言った。


「姉ちゃんの友達になってあげて下さい」


「な、何言っているの! 私は友達いるよ。


良いだろう。そのクエスト受けよう。


勇者、貴様は何を言っているですか。


どうした魔王、口調が乱れているぞ」


 お父さん、お母さん、高校進学と共に親元を離れて2人暮らしを始めた僕と姉ちゃんですが、新しい同居人がやって来てこれから退屈しない毎日が待っていそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る