僕と姉ちゃんと新たな人格③

 魔法陣から放たれた姉ちゃんも仕組みを知らないその光は魔法陣の中央に立っている姉ちゃんを中心に天井へと伸びて、円柱状の光の柱となった。


「どこかにスイッチとか無いの?」


「ただのカーペットだからそんなの無いよぉ」


 こんな不可思議現象が発生しているのにもかかわらず冷静に対処出来てしまっている僕に対して光の柱の内側に閉じ込められてしまっている姉ちゃんは先程まで『私は不滅だぁ』なんて言っていたのが嘘であるかのように両目に大粒の涙を溜めて柱の内側から薄くて固い光の壁をガンガンと叩いていた。


「少なくともただのカーペットとは思えないけどな」


 そう呟いて外側からもコンコンコンと光の壁を叩いてみると、柱はいきなり僕らの視界が真っ白になるほど輝きを増した。


「うわっ!」


 二卵性とはいえ双子だからなのか、僕と姉ちゃんは全く同じ驚き方をして、全く同じように尻餅をついた。


「姉ちゃん大丈夫?」


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