第7話 出会い 07

    ◆



「……なんとまあ元気な子だなあ」


 無精ひげの男は、饅頭屋の列に並ぶ女の子の背中を見ながらそう呟いた。

 破天荒という言葉がぴったりの少女だ。しかしながら相手を選ばずに突っ込んでいくのはどうかと思う。――と彼は思っていた。

 最初はすぐに助けに行こうと思ったのだが、彼女がそこそこの剣の使い手であろう挙動を見せたのでしばらく様子を見ていたのだ。一人の男を鞘で打ちつけた時の動きでそれは確信には変わった。

 でも――


「あれは…………」


 そう言いながら手を握ったり開いたりを繰り返す。

 これは先の感触を思い出している手である。

 但しその行為に卑猥な意味合いは一切含まれていない。

 彼は邪念ではなく、その感触に思う所があった。


「そのことについて誰か教えてあげた方が………………まあ、いっか」


 うん、と一つ頷く。

 そして男は大あくびを一つかいて、少女が嬉しそうに饅頭を抱え込んで戻ってくるのを待っているのであった。

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