第5話 どら焼き越しの笑顔
和美さんは今日も幸せそうな顔をしてどら焼きを食べてくれる。
食べている時の顔はどんなご飯を食べている時よりも可愛くて愛おしい。
どら焼きを一口目に食べた時の顔は小動物みたいにハムッって音が鳴ってるみたい。丸い形にかぶりついてみたり、ちぎって食べてみたり、食べ方はいろいろ。
カステラだけの部分を食べてみたり、あんこをじっと見てみたり。
お行儀悪いよって思う瞬間が無いわけじゃない。でも家の中のほんの数分だけ。
お外で食事してても君はそんなことしないから、この時間だけは特別ね。
たまに僕がじっと見てるのに気づいて恥ずかしそうにしてる時もあるけども、どら焼きの誘惑には勝てないのかな? すぐに目線はどら焼きに戻ってる。
一緒にお茶を用意して食べたり、コーヒーを片手に食べる時もある。たまにお茶淹れてる間にペロっと食べちゃう時もあって、毎日いろんな和美さんが見られる。
どら焼きの食べ方で和美さんの機嫌メーターになったりしないかな? とか思って観察したこともある。でも、そんなことを考えて見てるより、僕は君の笑顔をただ見ている方が幸せをいっぱい感じれるんだ。
甘いものばっかり食べさせて太ったりしないかな? とか余計なことを考えたこともあったけ1個200キロカロリーくらいだから気にするほどでもないなと思ってる。それに1日1個、ほんの数分の幸せな時間。
今日もどら焼き越しに見える和美さんは僕だけのもの。
一日に数分しか見れない貴重な時間。
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