第15話 妄想(決して暴走ではない)
俺の次の相手はエリカ。
どんなやつかというと…。
「ああっ!!!!
こんなに淫らにグチャグチャに交わって!なんといやらしいのでしょう!
このカブトムシたちっ!!
いいえ、本当にいやらしいのは私たち! 禁断の果実を食べ、当たり前を恥と思う私たち人間!生命はこんなにも美しく在ろうとしているのに!
ああそれでいてもっ!!
私たち人間は生きている!自分たちの首を締めながらも発展し、あまつさえ神の怒りを買いその栄光が過去のものになろうとも!私たちは生きている!これこそ神の愛!
ああ、世界は愛に満ちている!」
超絶ハイテンションの変態少女だ。
しかも今、一応試合前だからね?
普通緊張してしかるべきなのに、コイツときたらカブトムシの飼育カゴをさもありなんと持ってきて、その交尾を観察して一人愉悦に浸るというトンデモだ。
「おいおいエリカ、試合前なんだ、そこまでにしてくれ」
見かねてヒトエ先生が止めに入る。
「あら、失礼致しました、ヒトエ教諭。 つい、美しかったものですから」
さっきまでとは別人、透き通る声で丁寧に非を詫びるエリカ。
そんなエリカだが、男子の人気はとても高い。 なぜかと言うと、
「さあ、はじめましょう!」
ぶるん。
位を正すエリカの本体に少し遅れて、それが位を正す。
そう、体つきがとても……女性的なんだ。たぶん、私(俺)よりも。
それでいて日頃のあの言動。夢見がちな男子はグラマラスで性に素直で奔放なクラスメイトに、妄想を滾らすのは自然なこと、むしろ暴力ですらあった。 だが、彼女から浮いたウワサは聞いたことがない。あらゆる男子、奥手なムッツリから浮気なヤリメンまでがアプローチをかけたが、誰もが夢を潰えた。
その真相は謎に包まれている。
「よし、トマコも準備もいいな?」
「え、はい」
思いの強い奴ほど負ける、というユートの謎に、答えを出せなかった。それでいてちゃっかりあの二人は勝ち上がってるし…。
ヒトエ先生は、その答えを知っているんだろうか。
。
。
。
いけない!今は試合前だ!
「ではグラデュエル二回戦、エリカ対トマコを開始する!」
ゴングが鳴る!!
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