第2話 爆弾2発・・じゃない

この年の夏、また俺に子供が出来た。


今度は、レミアだ。妊娠6か月(見た目3カ月)。



「また、最初の1発ですね」とレムリア。


「あはは・・・」と俺。



最近、ウォルフはレミアのお腹が気になるのか、レミアのお腹によく耳を当ててる。


「もうすぐお兄ちゃんね」とレミアに言われえると、「キャッキャッキャ」と笑うのだが、嬉しさが増すと龍に変身して部屋の中を飛び回っている。



やはりウォルフも廊下を「どだだだだ・・・」っと走り出したので、俺の執務に差しさわり「でてけー」っと叫んでしまった。親父の気持ちが少しはわかったような気がした。



この年の秋、14歳になったアレステア王ヨハウスが妹のスセアを連れて遊びに来た。


スセアは12歳の少女だ。


二人は、収穫祭の花火を見物に来たというわけだ。



公式ではないので、謁見室ではなく談話室で俺たちは飲み物を飲みながら会話することにした。



「お久しぶりです陛下、お招きに預かり光栄に存じます」


「うむ、久しぶりだな」


「今日は、花火見物もしたいと妹のスセアにせがまれ、つれてまいりました」


「スセア、陛下にご挨拶を」後ろでもじもじしている姿がなぜか可愛い。


「は、初めまして陛下。アレステア王ヨハウスの妹、スセアにございます」


顔を真っ赤にしている。



これを見たアリエスがレムリアに・・「お、お姉さま、何か胸騒ぎがします」と・・


「わ、私もよ」とレムリア。



「実は陛下、スセアの目的は花火見物ではなくその・・」


「なんだ?」


「実は、開かずの書だったカリエス様の日記を読んでしまい、ぜひ陛下にお会いしたいと・・」


「え?目的は俺か?」


「はい」



「予感が当たりそうな気がします」とアリエス。


「私も」とレムリア。



「で、俺を見た感想はどうだ?」


「陛下、私を陛下のお嫁さんにしてください!」


「「「ブッ」」」俺とレムリアとアリエスは飲み物を吹き出してしまった。


「な、なぜ?」と俺。


「陛下、その・・スセアはカリエス様の日記を毎晩読んでいて・・陛下が憧れの君になっているのでございます」とヨハウス。


「ヨハウス、お前はそれでいいのか?」


「はい、陛下が兄上になってくれるのなら喜びの極みにございます」とヨハウス。


「スセア様、陛下の妻は全員が龍ですが、それでも?」とレムリア。


「はい、カリエス様の様になりとうございます」と。


「陛下、陛下のお気持ちは?」とアリエス。


俺に注目が集まっている。


「なぜかわからぬが、そ、そばに置きたい気持ちが強い・・」


「(((このロリコンがぁ!)))」と全員の気持ち。


その時、レムリアに抱かれていたウォルフが変身し、パタパタとスセアの方に飛んでいき抱き着いてしまった。


スセアは「かわいい、こんな子供が欲しい」と抱きつき。ウォルフは「キュイキュイ」と喜んでいる。


「((((か、かわいい・・))))」と全員の気持ち。


「で、うちの嫁さんたちのご意見は?」と俺。


「ウォルフがこんなに懐くなんてダメとは言えませんね」とレムリア。


「まあ、私もスセア様のお気持ちがわかりますし・・」とお腹をさすってレミア。


「兄様の少女好きは今に始まったことではないですから・・」とアリエス。


「なんかすごい言われようだな・・」と俺。



そこへやってきた爺さん夫婦と、親父夫婦。


「なんだ、盛り上がってるな?」と爺さん。


「ヨハウス様の妹君スセア様を旦那様の嫁にと言う話が出てまして・・」とアリエス。


「お前、儂の親に似て来たな?と爺さん」


「そこの娘さんかい?」と婆さん


「かわいい」と母


「うんうん」と親父


「決まりですね・・」とレムリア。


「ですね。やはり予感が当たりました」とアリアス。


「では一言、誓約してほしい」と親父。


「人の子と龍の間に生まれた子は龍になるかそれともならないかもしれない。そしてならない場合は政治利用されるかもしれない。その時は隠された村にその子を匿う事だけは覚悟しておいてくれ」と爺さん。


「はい」とスセア。


「うふふ。娘が増えてうれしいわ」と母。


「お母様の目にかなうとは、やはり大当たりですか?」とアリエス。


「おお当たりね。スセアちゃんは龍の血をわずかに引いていて、しかも気持ちは先祖返りしているし、最初の子は龍で間違いないわね。」


「「「本当ですか?」」」


「本当よ。最近組み合わせで龍の子が生まれるかどうかの心眼が出来たみたいなの」


「嬉しい」とスセア。


「それと、アシュちゃんとスセアちゃんのステータスだけは見ておいた方が良いわよ。面白いことが書いてあるから」と母。


「「「え?」」」と俺達。


で、ステータスを見る・・・。



妻の項目は・・


第1王妃 レムリア・フォン・ムルマーシュ(前世・初代ムルマーシュ皇帝第1王妃)

第2王妃 レミア・フォン・ムルマーシュ(前世・初代ムルマーシュ皇帝第2王妃)

第3王妃 アリエス・フォン・ムルマーシュ(前世・初代ムルマーシュ皇帝第3王妃候補)

第4王妃 (未来)スセア・フォン・ムルマーシュ(前世・初代アレステア王母)


「「「・・・・」」」絶句。


「ま、まあ予想はしていましたが・・」とレムリア。


「私たちと同じですね・・」とレミア。


「お兄様ですから・・」とアリエス。


「凄い言われようだな・・」と俺。


「「???」」とスセアとヨハウス。



「ヨハウス様、スセア様の前世はカリエス様です」とレムリアが告げる。


「「えぇ~っ」」っと驚くスセアとヨハウス。


「陛下、記憶を解いてあげてください」とレムリア。


「うむ、メモリリヴァイヴ!」


暫くポカーンとするスセア。


そして、いきなり俺の胸に飛び込んできて大泣きし始めた。



「さてどうしたものか・・ま、いいか・・」


「スセア、俺と結婚してくれるか?」と俺。


「はい」とスセア。



これを聞いた諸侯は花火を追加発注し、今年の花火は最初の年よりも盛大になった。


「それと、ヨハウスちゃんも、14歳ね・・来年は良いお嫁さん見つけてあげるから」と母。


「龍の目にかなった嫁は最高ですぞ」と自分の妻を花火見物に連れてきたゲレイド。


奥さんお顔は真っ赤になっている。


「兄上は奥手ですから、楽しみです」とスセア。


ヨハウスも真っ赤になっていた。


この秋は、爆弾が多数炸裂した年だった。

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