第3話 収穫祭には龍が舞う
「お前たち、何人、龍化出来るんかい?」
ある日、婆様が尋ねてきた。
「えーっと、母以外は俺だけですが・・」
「なんじゃ?お前の嫁はみんなできんのか?」
「「「あはは・・」」」
「つーたく、スセアが若作りしすぎたためじゃな・・」
「よし、みんな、庭に出ろ。わしが直々に手ほどきしてやる」と婆様。
「え?私たちも龍化できるのですか?」とレムリア。
「当たり前じゃい。龍の一族で金髪の髪の者は全員龍化できるぞ」と婆様。
「メリス、お前もじゃ」
「え?私も?」
「当然じゃ」
「陛下、ウォルフさまを預かってくださいまし」とメリス。
「俺が子守か?」とその時、母が来た。
「お母様、いったい何御騒ぎですか?」
「お前たち、娘らにツクヨミの加護、かけっぱなしじゃろ?一端外さないと龍化の訓練が出来ん。さっさと外せ」と婆様。
俺と、母はツクヨミの加護を解いた。
「ふむ、全員庭に出ろ。」と言われて、皆庭に勢ぞろいした。
「さて、イメージを送るぞ・・それに合わせて龍化しろ」と婆様。
婆様が龍化したら・・10分程度で、俺と母を除き、皆龍化した・・ってウォルフ!!お前もかぁ?
「婆様!ウォルフも龍化したぞ?」
「ぴゃぴゃ」と龍化したウォルフが鳴く。メチャかわいい。
「おや、まだ赤子なのに。これは吉兆かな?」と婆様。
皆、龍化を解いて駆け寄ってくる。
「「「かわいい」」」周囲はメロメロだ。
「婆様。戻せますか?」と俺。ちょっと心配になってきた。
「ふむ簡単じゃ、今度は人に戻るイメージを送ればいいだけじゃ」と言って龍化し、また人になるイメージを送った。
そしたら、再び赤ん坊に戻った。俺様、一安心。
「ふむ、もうツクヨミの加護を掛けなおしてもいいぞ」と婆様。
俺たちは再び掛けた。
「あとは、龍化できるようになったからお前たちは飛行訓練あるのみだな」
「さて、あとはウォルフっと・・」
「気が向いたら飛び回ると思うからお前たち全員と精神感応をかけておくといいぞ」
あと俺は、子供のころ、自分にかけた強化魔法を全てウォルフにかけた。
メリスには魔法系の強化魔法をかけておいた。
「知能の発達して飛び回る子供って001だな・・」と自分自身の事を棚に上げ、俺は思った。
これを聞いた宰相のゲレイドは・・
「はっはっは、皆さまで秋の大祭で空を1周してもらいましょう。きっと荘厳で民が喜びますよ」と・・秋の大祭は収穫祭の事だ。この時に合わせ、ウォルフのお披露目という事になる。
「じゃ、登場セレモニーは其れで決まりだな」
「はい、民が喜びましょう。なにせ、神聖な龍が大挙して飛んでいるわけですから」
「うむ」
「それと、今回の収穫祭ですが、後夜祭として花火を打ち上げようかと」
「花火?」
「はい、火薬職人が火薬に一工夫して色のついた火を空に打ち上げて楽しむものです」
「そのようなものが出来たと?」
「はい。一度見せてもらいましたが、空に大輪の花が咲くさまは美しいです」
「それなら、俺も見て見たいな」
「費用の方はどうなる?」
「そこは商人たちがお金を出すそうです」
「なぜ?花火が打ち明ける前に、誰が金を出したか個々に宣伝することで商人の店の宣伝になるとか。」
「ふむ、そこはお前に任せよう」
「それと、花火の締めくくりにちょっとしたものをご用意いたしておきますのでお楽しみにしてください」
「なんだそれは」
「今は申せません」
「うむむ、気にかかるな」
「それは見てからという事で・・」
「致し方ない、任そう」
「ありがとうございます」
「あとは、御触れを出し、祭りの進行に関わるもの、屋台とかに関わるものを除き、全員その日は休日とするように。」
「はい」
そして、その日はやってきた。
その日の朝、祭り舞台の上に空から沢山の龍が舞い降りたのだ。
ひときわ目を引いたのはレムリアの後ろを飛ぶ小さな龍、つまりウォルフだ。
「「うぉぉ・・・」」と言う声に混じり「「かわいい」」という悲鳴も聞こえる。
そして壇上で変身を解くと皆一様にひれ伏した。
登場セレモニーは大成功だ。
「皆の者、面を上げよ。 本日は我がムルマーシュ帝国に世継ぎが誕生したことを皆に伝える。こちらが我が息子、ウォルフ・フォン・ムルマーシュだ。将来、俺の後絵御継いだ時は皆で支えてやってほしい」と俺は頭を下げた。
「「・・・・・」」静寂が訪れやがて、拍手喝さいに変わる。
そして沸き起こる歓声。
「「ムルマーシュ帝国万歳!!」」、「「皇帝陛下万歳」」、「「ウォルフ殿下万歳!!」」と歓声が上がった。
「さて、祭りの挨拶はここまでだ。今年は皆頑張ってくれたので秋の恵みも大きい。皆で祝おうじゃないか!今より
収穫祭を始める!」
「「わーっ」」と言いう歓声で祭りが始まった。
いろんな見世物とかが繰り出され、一日が過ぎていった。
そして夜。
城の見晴らし台に俺達はいた。
そして・・「しゅぼっ」という音とともに小さな火の玉が上がり、上空で大輪の花を咲かせた。
「「おお・・」」皆歓声を上げている。
1000発ぐらい緩急をつけてあがってくる。途中、合間に次の花火の提供者の名前が読み上げられている。
そして、最後と言うときに・・「次の花火は、ムルマーシュ帝国貴族一同、商人一同から提供された花火です。ウォルフ殿下並びに皇室の方々の健康を願いあげさせていただきます。ウォルフ殿下ご生誕おめでとうございます。一同、健やかな健康を願い、ここに健康祈願の花火を打ち上げさせていただきます」とアナウンスが流れた。この時、拍手喝さいが起きた。
そして打ちあがる花火。最大級の花火が10発に小型の花火が数百発上がった。
終わったときには周囲が拍手の渦に包まれていた。
俺は、見晴らし台の上から大きく手を振って皆に答えた。
翌年からは、数は減ったものの、皇室に感謝を込めて数百発の花火を最後に上げることが習わしとなったが、一般でも家族の健康を願いあげるものが徐々に出てきた。
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