第3話 アリエスの魔法修行とフェリス卿の死去

おれは、アリエスにも、魔力変換能力、魔力蓄積能力、魔力放出能力を付与することにした。


「クリエイトスキル アビリティ・マジカルパワー・コンバーション・インプロブメント」


「クリエイトスキル アビリティ・マジカルパワー・アキュムレーション・インプロブメント」


「クリエイトスキル マジカルパワー・リリーシングアビリティ・インプロブメント」


これで、アリエスも魔法が使えるようになるはずだ。



アリエスの魔法講師は乳母を兼任しているレミアが担当することになった。


俺とレムリアは、時々、外に出ているためだ。



前世でもレミアが教えていたのでその続きという感じだ。


一応、家族にはアリエスが魔法を使いだしているという事は報告済だ。



アリエスは、怪我に対しては魔法で直せるが、病気に対しては直す事ができなかった。


そこで、俺は病気、毒、状態異常に対しての魔法を開発し、常時発動魔法として俺達4人にかけることにした。


「アンチ・デサイズ」非病気、「アンチ・ポイズン」非毒、「アンチ・パラライズ」非麻痺をかけた。母、祖父にもと思ったが、「アンチ・デサイズ」以外断られてしまった。


「そんなものを掛けたら、酒が飲めないじゃないか」と・・


確かに、酒はアルコール中毒だし、酔わないと意味がないし・・


これ以外に、「ヒーリング・デサイズ」病気治癒、「ヒーリング・インジュリー」怪我治療、「ヒーリング・ポイズン」解毒、「ヒーリング・パラライズ」麻痺治癒を俺たち全員と母と祖父のスキルに追加、上書きした。



これを覚えたアリエスは、レミアと同行して帝都の病院を回るのが日課になってしまった。


子供が魔法をかけ直していくので付いた通り名が「ブロンド・スモール・エンジェル」(金髪の小さな天使)だ。

最初にかける魔法は「クローズ・インスペクションボディ」で体内の異常を探していく。


簡単な病気であればアリエスが治していくのだが、癌などの切除を必要とするものは魔力の消費が激しいので、レミアが変わって治療を行う。レミアに付いた通り名が「ブロンド・ミドル・エンジェル」(金髪のちょっと大きな天使)で、二人合わせて「ブロンド・エンジェルズ」(金髪の天使たち)と言う通り名が付いてしまった。


一応、病院の関係者には母の方から、治療に長けた子供が行くからと伝えてあるのでよろしくと言ってあったのだが、半信半疑で付き合ってみると次々と治していくので驚いていた。


そしてある日、アリエスを見知った貴族の一人が病院で治療を受け、アリエスの身分がバレてしまった。これをきっかけに、「アリエス殿下は小さな天使」だと貴族の間に名声が広まってしまったのだ。



あと、レムリアとレミアに対する俺の母との精神感応は未だに続いている。


俺達が未成年だからだ。


その影響で俺たちはまだ乳児扱いだ。


レムリアの母乳は俺が、レミアの母乳はアリエスが飲むのだが、最近は日に一度交代して飲んでいる。



また、レムリアとレミアの奴隷という地位は皇族となったため解放された。


それと、俺たちは祖父に相談してレミアにかかっているツクヨミの加護の開放時期を2年遅らせてもらうことにした。つまり、レミアのツクヨミの加護を解放した時点での俺たちの年齢はというと、俺が18歳、レムリアが17歳(中身35歳)、レミアが15歳(中身28歳)、アリエスが13歳となるわけだが、レムリア達の前世の年齢差とほぼ同じになるはずだったのだが・・。



俺が12歳になった時、一つの問題が生じた。


12歳で幼龍期を抜け成龍期に入るのだが、俺が先祖返りをしていることが判明したのだ。


目印は額付近の髪の一部が青くなり始めたのだ。



先祖返りをしているということは、12歳から先は2年で1歳齢を取るという事だ。


つまり、12年後、24歳の誕生日に俺とアームスは同じ年齢になり、レムリアたちは俺より年上女房となってしまうわけだ。


そんなことをレムリアたちに話したら「あら?昔と同じじゃないですか?」と飽きられてしまった。


先祖返りした龍は、他の龍に比べ魔力が強い。そんな世代が皇家の中でも過去に何人かいたそうだ。


「旦那様?もうすでに成龍になられているのですから、お爺様の付けたツクヨミの加護を書き換えられるのでは?」とレムリア。


「たしか、ツクヨミの加護でも、さらに上位の物が使える筈ですね」とレミア。


「そういえば・・それ作ったの俺だった」と言ったところで、一同大爆笑になった。


そこで、俺は2人にかけた祖父のツクヨミの加護を破棄し、アリエスも含めかけなおした。


上位のツクヨミの加護は祖父がかけたものと違い、コントロールを自動的にそして永続的にできるのだ。


つまり、俺が18歳(中身24歳)の時に、レムリアが17歳(中身40歳)、レミアが15歳(中身33歳)、アリエスが13歳(中身20歳)と言う具合になる。


それを聞いた爺様は・・「はっはっは、若い女房は良いものだ。それから、アリエスが15歳になったら、直ぐに手を出せ。3人の曾孫の顔も拝みたいからなと・・」



それを聞いた、母が・・「あら、私にも掛けて」・・っと・・


さすがに見た目19歳のままでは、周囲の目もありまずいのだ。


俺と同じ年0.5歳刻みという事にした。


しかし、この時から、母の色香が濃くなった。いわゆる大人の女という感じ。


ただし、19歳から26歳まで母乳が出るので、実質あと14年間は出るという事だ。


つまり、俺が19歳、アリエス14歳になるまで、レムリアとレミアの母乳は止まらないという事になるのだが・・


それより前に問題が・・親父・・いつまで飲むんだよ・・



さて、俺が15歳(中身18歳)になった時、訃報が入った。俺のもう一人の祖父フェリス・フォン・カグツが死去したのだ。


葬儀は厳かに行われたのだが、葬儀に出かけた俺達に注目が集まってしまった。


俺達4人が若いのだ。


この時、俺の弟、アームス・フォン・カグツは11歳。俺、レムリア、レミアは見た目15歳で、アリエスは見た目11歳なのだ。


一応、俺たちは結婚していることにはなっているが、内々の話であって、対外的には未婚という事になっている。



そして、ありがちなことだが、式のさなか、小さな子供が走って転んだのだ・・


膝をすりむいて大泣きする子供。


そこで、アリエスが魔法を使って傷を治してしまったのだ。


つまり、帝都で噂になっている「金髪の小さな天使」を多くの貴族が実際に見てしまったのだ。


これがのちに内紛に発展する引き金になるとはだれも思っていなかった。

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