第6話 甘え

その日、ネイトは少し穏やかだった。

いや、穏やかであろうとしていた。

「‥‥‥‥」

黙りこんでネイトは、ベッドで寝るわけでもなく、横たわっていた。


虚無の時間が過ぎて昼になった頃、ようやく踏ん切りがついたかのように、一言発した。

「いい天気ですね」

ネイトの小屋には、窓があるが、カーテンは閉じたままであった。

「そうだな‥‥‥‥」

レイは、どう答えるのが正解か、わからなかった。

「すみません、他人のこととか、考える余裕なくて‥‥」

ネイトが口を押さえたので、これ以上の会話は、危険だと思った。


「聞こえないのか、声は」

少しの間を置いた後ネイトは、答えた。

「聞こえない事なんてないですよ」

ネイトは、少し起き上がろうとしたが、やめてしまった。

「動けないんですよ、力がでなくて」

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