第24話


猫を抱き抱えながら、クロエに大人対応した自分を責めていた僕。



【離して】とばかりに鳴く猫を歩道の端まで連れて、『気をつけるんだぞ』と逃がしてやる。



それから、走り出した僕の手から落ちた買い物袋を拾い上げて、やっと僕はこの不自然さに気づいた。




『もしかして……僕の力?』




全然気づかなかったけど、僕の半径50メートル、僕を中心に透明な筒にスッポリ入ってるように覆われてる……。


しかも、流れが止まってはいないけど、物凄くゆっくりになってる!


僕は普通に動いてるけど、さっきの猫を引きそうになった車……。


僕が猫を助けに走り出した時とほぼ同じ場所にいる!



僕まだ召されてないんだっ!


神様、クロエとのズッコン時間をありがとう!


まぢ神様に感謝したよね僕。w





これが、僕が初めて実感した僕の【ダイクロイックアイ】の能力だった。





◼️◼️◼️◼️◼️






……さっきのアレは何だったんだろう。


買ってきた枝豆を頬張りながら考えてみるものの、サッパリわからない。


時間の流れを僕の周りだけゆっくりにする力……。


???

これって……唇さんの彼と同じ能力なんじゃない?


時間の流れがゆっくりだって感じるって唇さん言ってたけど、それは多分実際ゆっくり流れてるんだ。


でも、その能力の発動の仕方が違う。


唇さんの彼は、唇さんと居る時間をゆっくりと。


僕のは、事態回避?緊急回避?する為に。


発動時間も多分5分くらいだった。

危うく今度こそ召されるとこだったし。w


クロエの言ってたそれそれが持つ違う能力って、発動の仕方もそれぞれ違うってことなんだろうか……。




……クロエ。


クロエを抱き締めたい。


何で急に潜在意識が壊れだしたんだろう……。

消えてしまったクロエは、今何処に居るんだろう……。


僕が作り出した世界は、僕の手で修復出来るのか?


修復したら、またクロエは戻るんだろうか。



……

…………わかんねぇ~!


わかんねぇけど、ここで諦めるわけにはいかないし、調べ倒して少しでも先に進まないと!


このままクロエとお別れなんて、バットエンドで神様したり顔するじゃん!w


クロエとまだべろチューしかしてないし。

クロエまだ脱がせてないし。

クロエ鳴かせてないし。


絶対ひっくり返してやるっ!


そんな下心全開で、僕はPCとにらめっこを始めた。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る