第23話



とんでもない喪失感。




顕在意識へと戻った僕は、何故潜在意識が壊れ始めたのか、クロエとはもう再会さえ出来ないのか、導き出せない答えに一層苛立ちを感じている。



何か1つ……1つだけでも糸口がみつかれば、バラバラのピースが組み合っていくような気がするのに。



愛する人を失うかもしれない現実に、叩きのめされそうだ。




あんな泣き笑いの顔見せられたら、堪んないに決まってるだろ、クロエ。



笑い泣きならいくらでもかまわない。


僕を想って、僕たちの先を見失って悲しませただろう、あのクロエの表情が、鮮明に残る。




必ず方法を探し出すから。


あんな顔させないように見つけ出すから。


少しだけ待っててな、クロエ。







■■■■■






パソコンと格闘した僕は、どうやらそのまま落ちたらしい。


普段使わない部分を使ったのか、身体が糖分を欲しがる。


何か甘いものあったかなぁ……なんて考えるけど、基本あまり甘いものを好まない僕の家にあるはずがなく。



それでも欲して止まない僕は、気乗りしないまま近くのコンビニへと向かう。



歩いて10分もかからない近くにあるんだけど、案外車通りがある。



たまにその道路を横断する猫もいて、時々見ていてハラハラする。





とりあえず缶ビールを三本に餃子と枝豆を買って、来た道を戻る僕。



家のすぐ近くまで来た所で、車のクラクションが鳴った。


僕が視線を向けた先には、猫の親子らしいのが車の前を横断中。


『危ないからっ!』


咄嗟に走り出した僕だったけど、間に合うわけもない……。



もっと早く気づいてあげてたら、助けられたんだろうな……。


ごめんな。





『ニャ~』


……ホントごめんな。


『ニャ~』



て……はぁぁあ!?




何で猫抱き抱えてんの僕!?



間に合う訳ないぢゃんっ!


ぁあ~……


もしや猫を助けようとして、僕も一緒に召された系?


それなら理解可能。



呆気ない最期を迎えたんだなぁ僕。


こんなことなら大人対応とか気取ってないで、クロエとズッコンしとくんだった……。


【後悔先に立たず】


まさにそんな心境だよ……。












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