第5話


『ところで、ここってどこなのかな?』



『?』



『僕高熱出して、意識失って、気がついたらここに居るんだけど。』



『ココハ、貴方ノ造リ出シタ世界デス。』



『へっ?』



『貴方ノ潜在意識ガ造リ出シタ、貴方ダケノ、貴方ノ世界デス。』




……えぇ~と。




『高熱トイウ【非常事態】ニオイテ、顕在意識ガ後退し、潜在意識ガ現レ、コノ世界ヲ貴方ガ造リ出シマシタ。』



『潜在意識デ造リ出セル世界ハ、【個】ニヨリ各々異ナリマス。 潜在意識ハ、本質的二自在二発揮デキル【力】ヲ持チマス。 ソシテ、ソノ【力】ハ無限デス。 顕在意識ノ制約ガ無イ今、貴方ノ潜在意識ガ……』



『ストーップ!』



左手を上げて話しを遮った僕の声に、丸い目を更に丸くする彼女。




『単刀直入に聞くけど、その潜在意識が現れたって事は、僕まだ生きてるの?』




キョトンとした顔の彼女がゆっくりと頷く。



僕は更に続ける。



『じゃあ……、今僕の目の前に居る【君】も、僕の潜在意識が造り出した存在って事?』



今度はゆっくりと頭を横に振る。




『僕の潜在意識が造り出した世界なら、その世界に居る君も、僕が造り出したんじゃないの?』


『なら君は、何故僕の世界に居るの?』





彼女は優しく微笑んで告げる。



『貴方ハ、マダ気付イテイナカッタノデスネ。 自分ノ変化二。』




……変化?



そう言われて、自分の身体を見る。


手足に変わったところは……ない。


頭に猫耳とか……も生えてないし。




ん~、まさか彼女の前でパンツの中までは確認できないか。



顔かっ!?


顔がイケメンになってるとか、そんな嬉しい変化!?




……なってないじゃん。(撃沈)



地面に映した自分の顔を確認して、少しガッカリした僕。





『どこがどう変化したのさっ。 何も変わってな……』



『顔ヲヨク見テ下サイ。』



今度は彼女が僕の言葉を遮った。





よく見るって……。



何も変わってなかっ……ってウォイッ!



何これ!?


何これ何これ!



僕の目が変だよっ!


正確には、目の色が!


もっと正確には、虹彩部分が!



人差し指と親指で、眼球飛び出るくらいに自分の目を抉じ開けてみる。




抉じ開けてた左右の目の色が、明らかに違う。





『……オッドアイ?』



呟いた僕の言葉に彼女が答えた。



『間違イデハアリマセン。 貴方ノ場合ハ、ソノ更二稀ナ【ダイクロイックアイ】デス。』




何それ。


大工がロック?


ハッ?




聞いた事のない言葉に、更に目を抉じ開ける僕を見て、彼女は笑いを堪えていた……。













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