第4話



オッチャンがそんなヒートアップしていると知らない僕はといえば。




【青い世界】をフラフラと、何処へ向かっているのかもわからないままに取り敢えず歩いていた。



天国っちゃ天国。


地獄と言えば地獄。



僕からすると、こんな綺麗な場所なら天国かなぁ……なんて考える。



元々独りが好きな僕。

だから、誰も居ないこんな広く綺麗な空間は堪らない。





堪らない……ホント堪らない。


……唇さんのあの唇!


一緒に連れてきたかったなぁ……。



こんな綺麗な空間で、僕と唇さんの2人きりとか堪らないでしょ!



唇さんがキスだけでヘロヘロになって、キスだけで逝くまで、もういつまでもあの唇貪ってあげたい。


いや、貪らせて下さいっ!


それで『もう我慢できないの……。』なんてあの口から、言わせたい!




『……ソレカラ?』



『それから? そんなの決まってんじゃん。 下の口から溢れる愛液を全部綺麗に舐め…』



『脳内エロ一色デスカ……?』



『悪いかっ! 朝からムラムラムラムラしっぱなしで……』





僕、誰と会話してんだ?



正確には、脳内でのやり取り。



僕痛い人になったのかな?



『ドコカ痛イノデスカ?』



『いや、そういう痛いじゃなくて……』




って……やっぱり誰かと会話してるぅ~!




遂にイカれたのね僕。


高熱で脳ミソcrash したのかな?


僕の脳細胞達さようなら。




『オ別レシタノデスカ?』




……


『ぁあ~もうっ! さっきから誰だよっ! 』



誰も居ない(はずの)静寂な空間の中に、僕の声が響く。




『人の頭の中で話しかけないで、ちゃんと姿見せたらどうよっ! 』



今の僕は独り言よろしく、キチガイ認定されるに違いない。



遂に僕も終わったなぁ……、こんなことなら無理矢理でも唇さんの唇奪っとけば良かった……。



そんな明後日な方向をみている僕の目の前に、彼女は現れた。






■■■■■





『気分ヲ悪クサセテシマッテ、ゴメンナサイ。』



突然何処からともなく姿を現した彼女は、深々と僕に頭を下げて言葉を続ける。



『本来、人二姿ヲ見セルノハ禁忌ナノデスガ……。』





……天使。



彼女の第一印象はそれ。





背中に羽はないけれど(僕の中にある天使って白い大きな羽があるイメージだからさ)、神々しい。




何だか今にも消えてなくなりそうな儚い雰囲気で、見てるだけで淋しさを感じさせる。



でも、存在がとても温かくて。




『ココニ人間ガ来ルノハ久シクテ。 ツイ言葉ヲ漏ラシテシマイマシタ。 』





可愛い……いや、綺麗。



プックリした頬に幼さはあるけれど、端正な顔立ちがそれを打ち消して、何時間でも見つめていたい感覚を持たせる。



柔らかい優しい声も、とても心地いい。





『? ドウシタノデスカ? 』



見惚れていた僕に、不安な表情を見せる彼女。



『……ちょっとビックリして。』



『ソウデシタカ。 ソレナラバ良カッタデス。』



うわぁあ~!


その笑顔反則!


まぢ反則だからっ!


ズキューンてなって、ハウウッてなるからっ!




そんな僕の心を知らない彼女が悪びれなく言う。




『エロ妄想ハ好キナノデスカ? 』





……そうだった。



僕のエロ妄想全力投球……彼女にただ漏れだったんだ。











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