第2話


しかしまぁ~、朝からビンタされるとか、今日の僕は穏やかな1日じゃないな。



ムラムラさせられるし。



ほんとムラムラしたし。w




ちょっとなら、プルンプルンの太腿に触ってもいいかな、ブランケットかけて触っちゃったとか有りかな、触っちゃおうかな……下心出たし。



ビンタされるなら触っとけば良かった……。w



何て思いながら、お昼ご飯をいつもの定食屋さんで食べていた僕。



今日は【日替り定食~野菜炒め~大盛バージョン】を注文。



小さな昔ながらのお店なんだけど、素朴な味付けと、レトロ感漂う佇まいがお気に入りで、よく通っている。




……っう、またかよ頭痛。




『どうした若造。 旨すぎて悶絶したか? ガハハハハ!』


言葉の主は、ここの店主。



常連な僕を【息子みたいだ】と優しく厳しく、よくしてくれている。




僕の父親って人間は、怒り出すと手に終えない人で、ただただ【怖い人】だったから、オッチャンみたいな人が父親だったらなぁといつも思ってる。



補足しておけば、僕の父親は、怒り出すとすぐ手に何か持つ人。


近くにある物ならまだ可愛い範囲。

酷い時は台所から包丁やら、わざわざ物置まで行ってハンマーやらを持ってくる始末。w



いい大人が、歩いて取りに行くまでに少し頭冷やせよって思ってた。




1度、そんな父親に僕が食って掛かった事がある。


後にも先にも、これきりなんだけど。



僕のなぁなぁ加減に腹を立てた親父が、お酒の力もあって、いつもの如く怒りMAXになり、テーブルに置いてあった僕の外したネックレスを手にした時。



今考えると、ネックレス握ってどうしたかったんだよ親父って話。w




それは、当時の僕の大切な人からのプレゼントで、しかも手作り。



『silverの手作りにハマってるの。』なんて言ってた彼女からの、世界に1つだけのネックレスだった。




『親父、それは止めとけ。』


普段は親父相手にそんな言葉を発しない僕だから、親父も少し驚いたようで、


『? これか? ……ただのネックレスだろ。』



『あっ!? ただのネックレスじゃねぇし。 それは駄目だ親父。』



『……わかった。』


意外に素直な親父。w


案外可愛いとこあんじゃん。www


思ったのも一瞬、その後自分が飲み干したグラスを手にしたけどね。







『オッチャンの料理はいつも最高に旨いですよ。 』



頭痛に顔が歪みながらも笑顔で答える僕。




ん~……変な汗出てきた。


ちょっとヤバいかも……。




『おい、大丈夫か? 顔悪いぞ。』



……いやオッチャン。


それ失礼だから。

【顔色悪い】でしょ?


確かにイケメンではないけど、正面きって【顔悪い】は流石にちょっと凹むから。



そんなツッコミを頭で入れながら、


『朝から頭痛が……』



と、ここまでが僕の記憶。


そこから先は、遮断された……。






■■■■■




何だか消毒臭い……。




意識が戻った僕の目に最初に飛び込んできたのは、オッチャンだった。




『気がついたか!? 急に倒れたからビックリしただろが! 倒れるなら倒れるって言ってから倒れろよっ!』



いや、オッチャン……。


そりゃ無理でしょ。w




『すいません。』


取り敢えず迷惑をかけてしまった事には変わりないので謝る僕。




『いいけどよ。 看護婦さん呼んでくるな。』



下駄の音をカツカツ鳴らしながら、オッチャンが病室を後にした。




オッチャン、店どうしたんだろ。


僕のせいで迷惑かけちゃったな……。



あぁ~、仕事中だった。


後で電話入れないと。





そんな少し呑気な僕。




しっかし……。


倒れる程の頭痛って何なんだよ。


やっぱり、社長の言ってた脳梗塞の疑い有り?


それとも、別の病気?


脳に腫瘍とか……。


脳の癌とか……。



脳の癌……ノーガン……ボーガン……レーガン……ドーガンのコーガン。www



自分の異常事態を笑えるのって流石僕。


いい性格だぜっ!w





そんな阿保な事を考えてる僕の元に、オッチャンが看護師さんを連れて帰ってきた。




『具合はどうですか?』


お決まりの台詞。



『大丈夫です。』


お決まり返し。




看護師さんは20代後半くらいのお姉さん。


クリクリした目をして、艶っ艶な唇。




プックリしたその唇に吸い付いてもいいですか?


何時間でも大丈夫です!


吸い付きたい!


口の中も掻き回したい!


お姉さんの乱れた妖艶な姿と、その唇から漏れる刹那い声が聞きたいです!




……僕、欲求不満?




朝からムラムラしっぱなしで、エロスイッチONのままなんですけど。



普段ムラムラしない分、そうなった時の僕のエロさは尋常じゃない。w



そんな僕の脳内エロ事情も知らずに、艶っ艶な唇が話し出す。



もうねっ!

看護師さんじゃないよ、【唇さん】!


唇しか目に入ってこないわコレ。




『頭痛があるとの事でしたが、いつからですか?』



『今朝からです。 すぐ痛みは引くんですけど、何回もしてて。』



何回もその唇に吸い付きたいです!


寧ろずっと吸い付いていたいです!



そんな僕の脳内発言も知らず、淡々と話す唇さん。



『先生と相談してからになりますが、頭なので、検査をして数日の入院になると思います。』



『はい。』




検査入院。


僕はお姉さんを検査したいです!


今すぐここでもバッチコイです!


是非とも隅々まで検査させていただきたしです!




『では、入院の手続きをさせていただきますね。』



『あの、僕独り暮らしなもんで、入院の手続きとか準備とかどうした……』



『安心しろ若造! 俺がしてやるから。』



僕の言葉を制して、オッチャンが続ける。



『入院してる間は、俺がコイツの世話するんで、手続きやら何やら俺に言ってくれ。』



『わかりました。』



オッチャン……。


ありがとうオッチャン。


最高にCOOLだぜオッチャン!



僕の【こんな大人になりたいランキング堂々タイ1位】決定!



社長にしても然り、オッチャンも。


僕の側に居る最高の尊敬する人です!






感謝してもしきれない思いに僕は嬉しくなって、心が熱くなった。





……?



???



心が熱くなったのは納得なんだけどさ……


何か熱いんだけど。



全身熱くなってるんだけど。



僕ってそんなに【熱い男】だったかな?




いやいやいやいや……。


違うわコレ。



まぢで熱いんだけど!





『オッチャン、僕身体が熱くて堪んないんだけど……』



『あっ!? オイッ大丈夫か!? オイッ!』





……オッチャンの声を遠くに聞きながら、また僕は意識を手放した。













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