第24話 プリンセスルームへようこそ
「ここが私達の部屋だよ。」
そう言ってアリスちゃんが部屋の中へ案内してれます。
「わぁ、かわいい」
先ほどの部屋とは違い、白を基調に可愛い小物や装飾品が、派手にならない感じで飾りつけられていています。ただ大小様々な動物のぬいぐるみが、高級家具が可哀想なほど台無しにしている、恐らくアリスちゃんの趣味なんだろう。ぬいぐるみは可愛いんだけどね。
「私、天蓋付きのベットって初めて見た。」
カトレアさんも興味津々で部屋中を見渡しています。
先ほどの部屋はファミリー向けな感じだった為か、フラットなベットばかりだったんです。それにしても大きなベットですね、何人寝れるんでしょうか?
「えへへ、小さい時からミリィと一緒に使っているベットなんだよ。」
なんだか今日のアリスちゃんは、ネジが二百本程抜けている感じで、ずっとほわほわしっぱなしです。ちょっと可愛いんですけどね。
「アリスさんとミリアリア様はご一緒に寝ておられるんですか?」
「アリスの両親が亡くなってからはね。」
「私がミリィの部屋に居候させてもらっているんだよ。」
「そうなんですね、でもお部屋なら他にもいっぱいあるんじゃないんですか?」
リリアナさんが疑問に思うのもプライベートエリア、っと言っていた場所には、この部屋の他にもいくつもの扉があったんです。
「それはね、ミリィがアリスと離れなかったのを嫌がったのよ。」
いきなり部屋に現れたのはミリアリア様によく似た綺麗な方、この方がおそらくティアラ王女様なんでしょう。
「あの頃のミリィは、アリスの側から全く離れなかったのよ?私もアリスを抱いて寝たかったのに。」
「姉様、いつも気配を消して入って来ないでくださいよ。」
ミリアリア様がティアラ様に抗議をされています、恐らくいままでも突然現れたりされていたんでしょうか?
「あれはアリスが落ち込んでいたから仕方がなかったんです!それに姉様に任せたらアリスを着せ替え遊ぶから!」
「ふふ、まぁそういう事にしておいてあげるわ。遅くなったけれど、いらっしゃい皆さん、姉のティアラよ。」
「お久しぶりでございますティアラ様、その節は大変御迷惑をおかけいたしました。」
「大きくなったわねリリアナ、エスニアは元気にしている?」
リリアナさん以前にティアラ様にお会いしたことがあるんでしょうか?
お仕えされているエスターニア様は、公爵家のご令嬢様でいらっしゃいますから、王女様とご交流があっても不思議ではありませんからね。
「はい、本日こちらに伺うことをお話しいたしましたら、大変羨ましがられておりました。また『今度私たちもお茶会をいたしましょう』、とお伝えくださいとの事でした。」
「あら、いいわね、今度ぜひ招待状をお出しすると伝えておいて。」
「分かりました、戻りましたらお伝えさせていただきます。」
「それじゃ、早速始めましょうか。」
ん?ティアラ様、何を始めるのでしょうか?
「じゃ、皆んなこっちの部屋に来て。」
アリスちゃんが隣の部屋へ続く扉へ案内してくれます。って、まだ部屋が続いてるんですか!?
「ここにあるのは私とアリスのドレスばかりだから、好きなのを選べばいいわよ」
隣の部屋は衣装部屋になっていたんですね。ところ狭しと並べられたドレスやその他の衣類が綺麗に並べられています。それより好きなのを選ぶってどういう事でしょうか?
「あ、あの、ミリアリア様、仰っている意味がわからないのですが・・・。」
「もちろんあなた達が着るドレスよ。」
いやいやいや、さも当然のように言われても困るんですが!聞かれたリリアナさん自身も顔が引きつっていますよ。
「ええっと・・・。」
「お城にいるんだからそれなりの衣装を着ていないと怪しまれるでしょ?それにせっかくのお茶会なんだから皆んな綺麗にしたほうがいいじゃない。」
たしかに、ミリアリア様のおっしゃる通り、私たちの服装は頑張っても庶民レベルの上級まで、かろうじてパフィオさんとリリアナさんはそれなりの服装をされていますが、私とカトレアさんは・・・あまり言いたくないや。
「じゃ、理解できた所で衣装を選びましょうか。」
ティアラ様の一言で私たちの衣装合わせが始まりました・・・。
3時間後、衣装を選びお化粧と髪を整えていただいている間、簡単にサイズ直しをしていただいたドレスを着た、『見た目はご令嬢、中身は平民』の4人が出来上がりました。
しかし衣装合わせがこんなに大変だとはおもっていませんでした。つかれたぁ。
「皆様お疲れ様でございます。ご準備が整ったようですので、お食事にご案内させていただきます。」
着替え終わった私たちを、侍女の方がお食事に案内してくださるようです。そういえばアリスちゃんたちがいつの間にかおられません。先に行かれたんでしょうか?
「あの、すみません、お食事ってのはどちらでいただくのでしょうか?」
リリアナさんが侍女のお一人に聞かれています。そこは私も気になっていた所です。まさか国王様ご夫妻とご一緒ではないですよね?
「ご安心ください、ご案内する場所はオープンテラスにございます。皆様お疲れになられたと思いますので、お食事もサンドウィッチを主体とした軽めの物をご用意いたしております。もちろんミリアリア様とアリス様を含めた6人分のお席をご用意しております。」
おお、さすがはお城の侍女さん方です!今の私たちの状況を理解してくださっているんですね。しかもさりげなく私たち6人だけ、『王様達はいませんよ〜』を付け加えてくださる所がグッドです!
ミリアリア様はお友達宣言をいただいておりますので、ここは素直に受け入れておきます。
侍女さんに案内された所はお庭を見下ろすことができる二階のオープンテラスでした。
さすがお城、テラスだけでも一部屋程度はあるんじゃない?ってぐらいの広さ、そこのおしゃれな白い丸テーブルに、アリスちゃんとミリアリア様がドレスに着変え、スタンバイされておられます。
「いらっしゃい。皆んな、すごく可愛いよ。」
ニコニコ顏のアリスちゃんが私たちを迎えてくれます。
「この度はご招待を与り、ありがとうございます。」
リリアナさんが先頭に立ち挨拶をされたので、私たちもそれに続き頭を下げます。
「そんな堅苦しいのはいいから、お食事を始めましょ。皆んな衣装選びでお腹空いてるでしょ?」
「ふふふ、ありがとうございます。実はお腹が鳴らないか心配していた処なんです。」
思っていたんですが、ミリアリア様は格式に拘らず、フレンドリーな方なんですね。とくにリリアナさんとはすごく気が合うみたいに感じます。
お食事は侍女さん方のおかげで、締め付けられたドレスでも問題なく美味しくいただきました。
サンドウィッチの具材はなんか高そうなお肉やお野菜がいっぱいでしたが・・・。
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