第23話 お城へようこそ
「お母様、実は明後日のお休みの日に、学園のお友達の皆さんと街に遊びに行かないかと、お誘いを受けているのですが。」
晩食が終わり、お母様たちと一緒に別室のソファーでお茶をいただいている時、ココリナちゃんに誘われた事を聞いてみました。
「あら、いいじゃない。」
「友達ってココリナ達でしょ?」
「うん、お休みが二日もあるから街でカフェとか行こうって話になって。」
ミリィもココリナちゃん達とはお友達だからね、仲間外れはやっぱりダメだよね、できれば一緒に行きたいんだけど。
「あらあら、なんだか楽しそうなお話ね、でもカフェに行くのだったら
それに侍女を目指している子達なら、
「お姉様、ですが、
私はお世話になっている身なので、お友達を呼ぶなんて夢のような話だと思っていたのですが。
「お父様、お母様、可愛い妹の頼みなら構いませんよね?」
「あぁ、アリスの友達なら歓迎するぞ。」
「もちろん歓迎するわ、うふふ、なんだか楽しくなってきたわね。
そうだわ、二日もお休みがあるのならお泊り会にしてはどうかしら?」
「お泊り会ですか!?私パジャマパーティーをするのが夢だったんです!」
お母様の何気ない提案に、思わず前のめりになって叫んでしまいました。
「あぁ、でもココリナちゃん達、急に大丈夫かなぁ」
お泊り会の案はとても心惹かれるんですが、皆さんのご都合もありますから。
「明日聞けばいいじゃない、それに先日の社交界の時ココリナとカトレアには、近々母様がお茶会に誘う予定だって言ってあるから、大丈夫じゃない?」
おお、あの時ミリィはそんな事を話してたんだ、皆からは聞いていなかったけど、だったら大丈夫かな?
「そうね、ノエル明日、客間の用意をしておいて。」
「畏まりました、初めてのお泊り会ですので、皆様にはご一緒のお部屋がよろしいのではないでしょうか?」
「そうね、ありがとうノエル、お願いするわ。」
お母様とノエルさんが次々話をすすめて行かれます、まだ決まったわけじゃないんだけど。
「アリスの友達が道に迷うと行けないから、馬車で家の前まで迎えに行かそう。馬車の手配も頼む。」
「あのお父様、お母様、まだ決まったわけでは・・・。」
お二人の話じゃもうココリナちゃん達が来るのは決定事項になっているけど、ダメだった場合があるからちゃんと言っておかないと。
「大丈夫よアリス、お友達に私が『気兼ねなく是非お越しください』っと、言っていたというのよ。」
「? そう言えばいいんですね?わかりました。」
********************
「皆様、お部屋へご案内いたします。」
「お荷物は我々がお持ちいたしますので。」
「いや、そんな自分で持てますから!」
ぼーっとしていたら、侍女の方々が私達の荷物を持って下さっていたので、慌てて受け取ろうとしたのですが。
「そういう訳にはまいりません、私どもが主様よりお叱りをお受けしますので。」
主様って王様のことですよね!でもここで引き下がる訳にはいきません。
「ですが、私達はただの平民ですので。」
ここは平民をアピールします!うぅ、平民バンザイ!
「我々にとってはお嬢様方の身分は関係ございません。皆様は主様の大切なお客様でございますので。」
さすがはプロの侍女さんです。なかなか引き下がってくれません。ちょっと助けてほしくてアリスちゃんの方を見たのですが。
「ココリナ、あなたも侍女を目指しているなら、エレノアの言ってる事もわかるでしょ。ここは甘えておきなさい。」
アリスちゃんを見たら当然お隣にいるミリアリア様も見てしまうことになるわけで・・・。
「・・・はい、あの、宜しくお願いします。」ペコリ
「それじゃ、皆んな案内するね。」
「「「「・・・・。」」」」
アリスちゃん何だか嬉しそうなんだけど、ついつい隣を見たら皆んなも複雑な顔でこちらを見ていました。皆も同じ気持ちなんだなぁ。
アリスちゃんが先頭で私達を案内してくれてる姿が、よほど嬉しいのかニコニコの笑顔が眩しいんです!
「ココリナさん、アリスさんがとても嬉しそうですから、私達も覚悟をきめましょう。」ボソっ
「そっ、そうだね。」ボソっ
リリアナさん、覚悟って何ですか!
「ここが皆んなが泊まる部屋だよ。さぁ入って。」
アリスちゃんが両開きの大きな扉の前で、私達に中へ入るよう促してきます。
「なにここ・・・。」
「私の家より大きいかも・・・・。」
「私もこれほどの部屋はさすがに・・・。」
「・・・・。」
いやいやもう寝室とかのレベルじゃないから!パフィオさんなんて口を開けてフリーズされてますよ。
「失礼とは思いましたが、皆様ご一緒の部屋の方がよろしいかと思いましたので、我々の独断でこちらのお部屋をご用意させていただきました。」
侍女のエレノアさんが私達に笑顔で説明してくださいます。
その笑顔は「ちゃんとわかっていますよ」って語っています!侍女の皆さん、ありがとぉぉぉ!!
「それじゃ、荷物は任せておいて大丈夫だから、とりあえず私達の部屋へいきましょうか。」
ミリアリア様がそう言って私達を別の部屋へ案内してくださいます。
さっきの部屋をでて結構歩いているきがするんだけど、そんなに遠いのかなぁ。
「あのぉ、アリスちゃん達のお部屋って遠いんですか?」
ちょっと怖くなって聞いてしまったんですが。
「私達の部屋があるところは、完全なプライベートエリアだから警護の関係でちょっと離れてるのよ、今の部屋は隣国の国賓の方達が泊まるところだから。」
「へ?こここここ国賓!?」
「うん、少し前にお隣の国王様一家がお泊りになられてた部屋だよ。」
「「「「・・・・。」」」」
公爵様にお仕えされているリリアナさんですら、口を開けて固まっておられます。
「って、ちょっと待って!ミリアリア様、今プライベートエリアって言いました!?」
「言ったわよ?」
皆さんも私の言った意味を瞬時に理解したのか、急に止まってしまわれました。
「どうしたの皆んな?」
アリスちゃん、どうしたもこうしたも、この先って・・・。
「あ、あの、ミリアリア様、この先ってもしかして・・・。」
「ん?あぁ、もちろん父様達の部屋もあるわよ。」
「「「「・・・・。」」」」
お父さん、お母さん、私は行っては行けない世界へ旅立とうとしています・・・。
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