第20話 イリアの受難
「せっかくのお衣装が汚れてしまっていますわ、早くお着替えをされませんと。」
どこからともなくあわられたイリア様がいきなり私達の間に割り込んで来られました。
どこから現れたの!?
「あぁ、大丈夫ですから。」
「そういう訳にはいきませんわ、全く平民の分際がどうやって紛れ込んだのか。」
何言ってるの、この娘?
二人の男の方もお互いの顔を見合い、肩をすくめておられます。お知り合いではないのでしょうか?
とにかく、まずはお礼を申さなければなりませんね。
「遅くなりましたが、スチュワート学園の1年でアリスと申します。先ほどはありがとうございました。」ペコリ
「俺はジークで、こっちがア・」
「お久しぶりでございますジーク様、イリア・コアヤメ・クリスタータでございます。以前ジーク様のお屋敷でお兄様と一緒にお会いした事がございます。」
ん?なんか知り合いっぽい事を言われていますが?
「あぁ、そうだったのか、ごめ・」
「私くし以前お会いしてからというもの、次にお会いできるのを楽しみししていたんです。またこうやって出会えるなんて運命を感じますわ。」
イリア様言葉早いですよ。しかもどさくさに紛れて運命だとか、貴族様ならいずれどこかで会うでしょうに。
「はいはいお嬢さん、とりあえず先にアリスちゃんを控え室に連れて行ってあげよう。俺はアストリアだ、よろしく。」
「あっ、はい宜しくお願いします。」
イリア様の弾丸トークをぶった切ってくださった方はアストリアさんというんですね。
イリア様がこちらを睨んでおられますが、私なにもしていませんよ?
「とりあえずジークさん、お衣装の汚れをお取りしますので、控え室の方へご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
「何都合のいい事言ってるのよ!あなたのせいでジーク様のお衣装が汚れたのよ!平民風情に責任をとれるのかしら!」
あぁもう、正直うざいです。
「責任なら私が取るわよ。」
颯爽とあわられたのは私の家族で友達のミリィ王女様でした。
「アリス大丈夫?」
「大丈夫、ジークさんとアストリアさんに助けていただいたから。」
「そう、助かったわ二人とも。」
「何よあなた!勝手に割り込んできて何様のつもり!」
「だれこの娘?」
イリア様の怒号をあっさり聞き流し、私に聞いてきます。
「えっと、クリスタータ男爵のご令嬢のイリア様で、ジークさんのお知り合い、ですよね?」
そう言ってジークさんに尋ねてみます。
「ん?あぁ、ごめん、そうなのかな?」
目線を逸らされました。あっ、これ忘れているパターンだ。
「あぁ、この娘が例の。」
ミリィには以前話した事があるので思い出してくれたんでしょう。
「何勝手に話を進めてるのよ、どうせそこの泥棒猫の仲間でしょ!」
仲間がどうかって、その前にミリィにその言い方はまずいんじゃないなぁ。貴族様なら王族の顔ぐらい、知っているのは当たり前なんですが。
現にジークさんとアストリアさんは気付いおられる感じですし。
「はぁ・・、アリスは私の大切な友達よ。その友達を侮辱するのは許せないわね。」
「はぁ?何様のつもりよ!私は男爵令嬢よ!口の聞き方に気をつけなさい!」
もうダメだ、早くイリア様を止めないと。
「イリア様・・」
「アリス、下がってなさい。」
あぁ、ミリィ完全に怒ってるよぉ〜〜。
「お嬢さん、その辺にしたほうがいい。」
アストリアさんが怖い顔で止めに入ってくださいました。ナイスです!
イリア様は悔しそうにミリィを睨んでいますが、とりあえず収まったようです。
「アストリア、何止めてるのよ。アリスが侮辱されたのよ、許せるわけがないわ。」
・・・ミリィはまだ収まっていませんでした。
「あなたね!」
「そこまでだ、ミリィ。」
ここで最終ウエポン、お兄様とエスターニア様の登場です。
「すみません生徒会長」
「ここではパーティーの邪魔になる、とりあえず場所を変えよう。」
ジークさんが謝られ、お兄様が先頭に立ち生徒会塔の方へ誘導してくだいます。
「で、さっきの騒ぎはなんだ?」
会議室に入り全員が座ったのを見計らい、お兄様が私達に尋ねて来られます。
「アリスが拐われそうになって、ジークとアストリアが助けたの、その後駆けつけた私に、この娘が私とアリスを侮辱しただけよ。」
私が拐われそうになったと聞いた時、お兄様の顔が一瞬険しくなったのがわかりました。
「アリス怪我は?」
「大丈夫です。ジークさんとアストリアさんに助けていただきましたので。」
「そうか、二人ともありがとう。相手の顔は覚えているか?」
「はい、もう一度見れば分かります。」
ジークさんとアストリアさんがお互いの顔を見合い、確認をされています。
「わかった、そちらは後で処理しよう。それでこの娘は?」
「イリア様です。クリスタータ男爵様のご令嬢の。」
私がそういうと、小さく「あぁ」と言われたので、お兄様も以前私が言ったことを思い出されたのでしょう。
「イリア、君がミリィとアリスと侮辱した言っているが本当か?」
「私はそんなつもりはありませんわ、ただこの娘がジーク様の衣装を汚したのを理由に、どこかに連れ出そうとしたんです。それを止めていたら、この娘がしゃしゃり出てきて喚いただけです。」
お兄様は私達全員の顔を見渡し、大体のことを察してくださったのか、
「わかった、ただ僕は現場にはいなかったからね、詳細は分からないから、ここは一旦お互いに謝罪をして水に流してくれ。ミリィもいいね。」
「わかりました。イリアさんアリスが連れて行かれそうと聞いて、冷静でなかったわ、ごめんなさい。」
「私も、イリア様の機嫌を損なうことを、してしまったみたいで、ごめんなさい。」
ミリィの謝罪に、私も続きます。
「私も悪かったわ、ごめんなさい。」
さすがのイリア様も、生徒会長の前では素直に誤られます。
「これで話しは終わりね、イリアもういわ、パーティーに戻りなさい。」
エスターニア様がイリア様の退室を促します。
後は私達だけで大丈夫ですからね。
「はい、失礼します。戻りましょうジーク様。早くお衣装を着替えませんと。」
「戻るのはあなただけよ、イリア。」
「えっ?」
「他の方はアリスさんの連れ去りの話しがまだ残っているの、だからあなたはもういわ。」
エスターニア様ちょっと怒っていらっしゃるのでしょうか?なんだか怖いです。
「でしたら私も。」
「貴方は関係ないでしょ。」
「でしたらミリィさんだって。」
イリア様は何故か食い下がってこられます。何を無機になっておられるのでしょか?
「はぁ・・、ミリアリア王女様はアリス様のご家族にあらせられるわ、それでも関係がないと言うの?」
「えっ?王女様?」
「そう言えばまだ名乗って無かったわね、私はレガリア王国第二王女、ミリアリア・レーネス・レガリアよ、アリスは私と、そこにいる兄様の大切な家族よ。」
やはりイリア様は気付いておられなかったみたいです。
イリア様は真っ青の顔をされなが、お兄様の方を見られておられます。
今更ながら自分侵した失態にきづからたのでしょう、可愛そうなほど震えおられます。
「あのまま何もせず戻っていたら、僕もミリィも名乗るつもりは無かったわねんだけどね。」
「自分の失態に気付いたのなら、さっさとこの場を去りなさい。」
これはエスターニアかなりお怒りのようです。
「もももっ、申し訳ありませんでした!」
その後、とてもご令嬢とも思えないほどあわてて部屋を出ていかれました。
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