第16話 ココリナちゃんの苦悩
「アっ、アリスちゃん!おっ、王女様にそっ、そんな失礼な話し方をしたら・・・・」
「ココリナちゃん落ち着いて!」
「ふふ、ココリナさん、息を吸って、そう、吐いて。」
ココリナちゃんがパニックになってるから私とミリィで一旦落ち着かせます。
「どう?落ち着いた?」
「はっ、ハイ!」
ミリィが聞くと落ち着けないと思うんだけど。
「ココリナちゃん、改めて紹介するね、私の家族で友達のミリアリア王女様、でこちらが私の友達のココリナちゃんね。」
落ち着いたところでお互いを紹介します。
「あっあの、アリスちゃん、どういう事?王女様と家族?友達って?」
「前に言ったでしょ?亡くなった両親の知り合いの方にお世話になっているって。」
「うん」
「それが国王様ってだけだよ。」
「・・・・・。」
「この子また固まってるわよ。」
ミリィがココリナちゃんの顔の前で手を振ってます。ん〜、刺激がきつかったかなぁ。
「とりあえず落ち着きますので、こちらをお飲みください。」
いつの間にかエレノアさんがハーブティーを入れて、ココリナちゃんに渡しています。
お茶を一口飲んで落ち着いたのか
「アっ、アイスちゃん!」
「アリスだよ、ココリナちゃん、さぁもう一口飲んで。」
まだ落ち着いていませんでした。
「面白い子ね。」
「普段はこんなんじゃないんだけれど・・・。」
ようやく落ち着いてきたかなぁって思った時に
「アリス、探したよ。」
慌てた様子で現れたのはお兄様でした。
「お兄様、そんなに慌ててどうされたんですか?」
「ちょっとドラブルがあってな。」
(お・に・い・さ・ま・?)
「ん?この子は?」
「友達のココリナちゃんです。」
「あぁ、この子が・・・、ん?大丈夫かこの子?何か顔色が悪いみたいだけど。」
ん〜、また固まっちゃいましたね。
「ココリナさん、こちら私とアリスの兄で『 お・う・じ・さ・ま 』ですよ。」
「もうミリィは、これ以上ココリナちゃんを混乱させないでよ。」
明らかにミリィはココリナちゃんで遊んでいますよ。
「具合が悪ようなら医務室に連れて行かすけど。」
「多分大丈夫です。ちょっと刺激が強かっただけですから。」
「まぁ、ならいいが。
それよりアリス、悪いんだが音楽隊のピアノ担当の子が少し遅れるみたいなんだ、すまないがその子が到着するまで代役を頼めないか?」
「私がですか?ピアノは弾けますが、大丈夫でしょうか?」
ピアノは幼い時から習っていますが、公の場で弾いたことはないんです。
「あぁ、問題ないと思う。」
「・・分かりました、お兄様のお力になれるのでしたら、ぜひお手伝をさせてください。」
お兄様の手助けができるのでしたら頑張りますよ。
「助かるよ、ミリィ、悪いがアリスを借りていくよ。」
「あっ、でも私がいなくなるとミリィのお世話が・・・(チラリ)
ココリナちゃん、ミリィのお世話をお願いしていいかな?(まだ固まってるけど仕方がないよね。)
お兄様、ココリナちゃん控室担当なんですが、私の代わりにミリィのお世話に変更していただいても大丈夫ですか?」
「分かった、ちょっと担当者に言ってくるから、少しまっていて。」
兄様が当たりを見渡し、役員と思われる方の所へ向かって行かれました。
「ココリナちゃん、ミリィの事お願いね。ミリィ、ココリナちゃんをいじめないでよ。」
「私をなんだと思ってるのよ。アリスの友達なら、私の友達みたいなもんでしょ?」
「うん、じゃ行ってくるね。」
戻ってこられたお兄様と一緒に生徒会塔に向かいました。
ココリナちゃん何も言ってなかったけれど、大丈夫だよね?
お兄様に連れられ、生徒会塔の中にある「会議室」と書かれた部屋へ案内されました。
中に入ると生徒会役員と思われる方々が、忙しそうにお仕事をされています。
「アリスを連れてきたよ。」
「はじめまして、アリスと申します。精一杯頑張らせていただきますので、よろしくお願い致します。」
お兄様に促され、役員の皆様にご挨拶をします。
「アリスさん、お久しぶり。」
「エスターニア様、お久しぶりでございます。」
エスターニア様が私に寄って来られてご挨拶してくださいます。
お手伝いをされていたのでしょう、後ろにはリリアナさんもいらっしゃいます。
知っている方がおられて少し安心しました。
「エリク様、アリスさんのドレスは無いのでしょうか?」
ドレス?音楽隊の女性はドレスを着るのでしょうか?
「あぁしまった、そうだった、倉庫に予備のドレスはなかったか?」
「何着かはあると思いますが、サイズを直さないといけませんから。」
ドレスにはあらかじめ出来ているレディーメードと、サイズを測り一から作るオーダーメイドがあるですが、レディーメードでもサイズを詰めたりと調整が必要なんです。
その調整がなければゆるゆるでラインが美しくなかったり、逆にビスチェでぎゅうぎゅうに締め付けたりと、全然いい事が無いんですよ。
だから社交界など公の場で着るドレスは、一週間ほど前には衣装合わせをして、サイズを調整するのが一般的なんです。
コンコン
「失礼致します。アリス様のドレスをお持ち致しました。」
そう言って、私のドレスが入ったと思われるカバンを持ったエレノアさんが、その場に立っておられました。
へ?エレノアさん、なんで私のドレスがあるんですかぁ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます