第16.1話 ココリナちゃんの苦悩(ココリナ編)
私は昔からクジ運が悪かった。
商店街でのクジ引きはいつも末等、しかも私の後の人が1等を当てるとか、どれだけ運が悪いのよ!と一人叫んでいたぐらいだ。
それはあの日も変わらなかった、学園社交界の担当侍女を決める日、私は前日から家の近くにある教会へ行き、ミラ様にお祈りをするぐらい気合いを入れていた。
だけど結果は「担当場所 接客室」まさかハズレあるとは思ってなかった、だって昨日お祈りした内容は「悪いご令嬢様には当たりませように!」確かに悪いご令嬢様には当たってませんよ!でも、だからってこれは無いんじゃない!!!!
「あぁ、お祈りの内容が悪かったのかなぁ。」
あまりの現実に独り言が止まらない、そんな時視界の中に友達のアリスちゃんが、お世話になっていると思われるご令嬢様と一緒に、控室へ入ってきたのが見えました。
「お仕事はちゃんとしなくちゃね。」
そう自分に言い聞かせ、アリスちゃんの所に持っていくティーセットをキャスターに乗せていると、アリスちゃんがこちらを向いているのに気付きました。
わかってるよ、今持っていくからね。
「失礼いたします。お茶の用意をお持ちいたしました。」
アリスちゃんがお世話になっているお家のご令嬢様です。失礼な事があってはいけませんからね、ここはちゃんとご挨拶しますよ。
「ありがとうココリナちゃん、どうしたらいいか分からなかったから助かったよ。」
「この子がココリナさん?」
アリスちゃんが私にお礼を言ってくれるのと同時に、ご令嬢様が私の名前を言いながらアリスちゃんに聞いておられます。
お屋敷で私の話をされているのかなぁ?
「初めてお目にかかります。ココリナと申します。アリスさんにはいつもお世話になっております。」
ご令嬢様が名乗られる前に、先に自分の名前を名乗ります。身分の低い者が先に名乗るのが礼儀ですからね。
「はじめまして、ミリアリア・レーネス・レガリアです。いつもアリスから話を聞いていたから、一度お会いしたかったんですよ。」
するとご令嬢様はわざわざ立ち上がり、私に対して淑女ご挨拶をしてくださるんです!
「あっ、はい、ご光栄にございます、ミリアリア・・・
(あまりの驚きのあまり思わず噛んじゃいましたよ。・・・・・あれ?いまこの人なんつった?)
・・・・・・れいねす・れがりあ・・・さま?」
頭の中で何度も何度もご令嬢様の名前が繰り返しながれて・・・
あれ?なんか私耳がおかしくなったのかなぁ。ん〜、とりあえず落ち着こう。
そう思いアリスちゃんの顔を見るといつものニコニコ笑顔。
そして隣にいるご令嬢様は・・・、あれ?この人新聞や王様のパレードで見た事ある・・・よね?
ん? みりありあ・れいねす・れがりあ・・・さま?
「・・・えぇ!、むぐぅ」
思わず大声で叫びそうになった私をアリスちゃんが口を押さえて助けてくれます。
ありがとうアリスちゃん!
「取りあえず落ち着こうね。」
アリスちゃんが言ってきますが、口を押さえられているのでとりあえず頷いてみました。
「ふふ、面白い子ね。」
「普通、王女様が突然目の前に現れたら、誰も驚くと思うよ?」
「そういうもの?」
「ミリィは王女様の自覚がないんだよぉ~。もぉ。」
あれ?私が変なの!?・・・いやいや、私は可笑しくない!アリスちゃん王女様と何親しげに話してるのよ!!
「アっ、アリスちゃん!おっ、王女様にそっ、そんな失礼な話し方をしたら・・・・」
「ココリナちゃん落ち着いて!」
噛むぐらいしかたがないじゃない!王女様なのよ!貴族様の上の王族様なんだよ!!
「ふふ、ココリナさん、息を吸って、そう、吐いて。」
今度は王女様のご命令!?息!?はっ、はい!
「どう?落ち着いた?」
「はっ、ハイ!」
アレ?オチツクッテナンダッケ?
「ココリナちゃん、改めて紹介するね、私の家族で友達のミリアリア王女様、でこちらが私の友達のココリナちゃんね。」
アリスちゃんまって!改めてもなにも、私まだ訳がわから無いままなんだけど!
はぁー、はぁー、
「あっあの、アリスちゃん、どういう事?王女様と家族?友達って?」
「前に言ったでしょ?亡くなった両親の知り合いの方にお世話になっているって。」
「うん」
「それが国王様ってだけだよ。」
「・・・・・。」
いやいやいやいやや、『だけ』ってなによ『だけ』って!今度はおうさま!?うきゃ〜〜!!
「この子また固まってるわよ。」
「とりあえず落ち着きますので、こちらをお飲みください。」
あれ?こんな人いたっけ?あぁ、いい香り。ゴクン。
はぁー、はぁー、はぁー、よし!
「アっ、アイスちゃん!」
「アリスだよ、ココリナちゃん、さぁもう一口飲んで。」
・・・あれ?
「面白い子ね。」
「普段はこんなんじゃないんだけれど・・・。」
えっと、この人は私の友達のアリスちゃん、で、こちらの方は信じられ無いけど王女様、よし落ち着いた。
「アリス、探したよ。」
ん?だれこの人、なんかどこかで見た事あるんだけど、だれだったかなぁ?
「お兄様、そんなに慌ててどうされたんですか?」
「ちょっとドラブルがあってな。」
あぁ、アリスちゃんのお兄さんなんだ、でも私あった事あったかなぁ・・・ん?
いまアリスちゃんお兄様って言った? お・に・い・さ・ま・? アリスちゃんは王様の子(違うけど)、それじゃお兄さんは・・・・。
「!!!」
「ん?この子は?」
「友達のココリナちゃんです。」
あ、あ、あ、・・・
「あぁ、この子が・・・、ん?大丈夫かこの子?何か顔色が悪いみたいだけど。」
あ、あ、あ、あ、あ、あれ、息ってどうするんだけ?
「ココリナさん、こちら私とアリスの兄で『 お・う・じ・さ・ま 』ですよ。」
ひぃ!
「もうミリィは、これ以上ココリナちゃんを混乱させないでよ。」
「具合が悪ようなら医務室に連れて行かすけど。」
「多分大丈夫です。ちょっと・・・・。」
「まぁ、ならいいが。・・・・。」
うん、私やっぱダメっぽい。お布団どこだっけ。
「・・・アリスを借りていくよ。」
はっ!あれ?今私一瞬記憶がないんだけど、あぁ、夢だったんだ。うん夢だね。
「あっ、でも私がいなくなるとミリィのお世話が・・・
(ん?アリスちゃんなに見てるの?)
ココリナちゃん、ミリィのお世話をお願いしていいかな?
(へ?私が誰のお世話をするって?)
お兄様、ココリナちゃん控室担当なんですが、私の代わりにミリィのお世話に変更していただいても大丈夫ですか?」
はいぃ!!??アリスちゃん何言ってるのぉ!!!!
「分かった、ちょっと担当者に言ってくるから、少しまっていて。」
まってまっててば、いやいや、無いから!無理だから!
「ココリナちゃん、ミリィの事お願いね。ミリィ、ココリナちゃんをいじめないでよ。」
「私をなんだと思ってるのよ。アリスの友達なら、私の友達みたいなもんでしょ?」
「うん、じゃ行ってくるね。」
アっ、アリスちゃん何勝手に話進めてるの!いやぁ〜〜〜〜〜〜!!!!
・・・あっ、お庭の花に水あげてなかったや、もう帰らなきゃ・・・。
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