第14話 王女様の侍女
いよいよ学園社交界当日。
私達、侍女担当の生徒は初めてヴィクトリアの校内へやってきました。
「さすが超名門校、校内がまるでお城みたい。」
ココリナちゃんが歩きながら言ってきます。
「それでは担当していただくクラスごとにご案内します。」
「1年生のクラス担当は私についてきてください。」
「2年生担当は私のほうに・・・」
ヴィクトリアの実行委員会の先輩方が、私達が担当するご令嬢様がおられるクラスへと案内してくださるみたいです。
「それじゃ私とカトレアさんは先に行くね。」
「お先に失礼しますね。」
私とカトレアさんは1年生組、パフィオさんは2年生、リリアナさんは4年生、ココリナちゃんは控室にそれぞれ分かれていきます。
実行委員会の先輩が案内して下さる後に付いていき、ミリィのいるバラ組の前でカトレアさんと別れました。
そしていよいよ教室に入ります。待機しているスチュワートの生徒は皆、緊張気味です。
もちろん私だって緊張していますよ!
ガラガラ
「お待ちしておりました、さぁ皆さん中へ入ってください。」
バラ組の教室から先生が出て来られ中へ案内してくださいます。
私達スチュワートの生徒がいったん教壇の前に並び、自分の名前と担当のご令嬢様のお名前を申し上げていきます。
「アリスと申します。ミリアリア・レーネス・レガリア様をご担当させていただきます。」
私がミリィの名前を言うと、ざわざわとスチュワートの生徒まで一斉に私の方を見てきます。
あぁ、やっぱり王女様の名前は皆知ってるよね、うん分かってたよ。
少しざわつきましたが、さすが全員プロの卵、すぐさま何事も無かったように進みます。
自己紹介が終わり、皆さん担当のご令嬢様の元でご挨拶をされています。
「ミリアリア様、本日はよろしくお願いいたします。」ペコリ
私が侍女としてご挨拶をすると、
コン。
「イタッ」
「何、他人行儀な呼び方してるのよ。」
そういってミリィが「怒ってるぞ!」って顔を私に向けてきます。
「痛いよ、みりぃ~。」
「アリスが悪いんじゃない、もう。」
そういって叩いたところを撫でてくれます。
撫でるなら叩かなくてもいいじゃない。
「それじゃ移動しようか、試着部屋になっている部屋は、時間ごとに入れ替わっていくから、あまり時間がないのよ。」
「エレノアさんは先に行ってるの?」
「えぇ、先に行って準備してるはずよ。」
ミリィと話してると、何か教室内が急に静かになったので見渡すと、なぜか皆さんこっち見てるんですが・・・。
「アリス行くわよ。」
「あっ、ごめん、まって。」
ミリィの後を追って足早に教室を出ていきます。
試着室は使用していない教室をカーテンで仕切って、小部屋をつくっているみたいです。
まぁ、少ないとはいえ、一人一人部屋を分けていたら全然たりないもんね。
ミリィに割り当てられた小部屋に着くと、エレノアさんがすでにドレスを用意してくださっています。
「お時間があまりありませんので、メイク私がしますから、アリスさん、ミリアリア様のお着換えを手伝ってもらえるかしら。」
「わかりました。って、ミリィ勝手に脱がないでよ。」
私が手伝うって言ってるのに、ミリィったら先に制服を脱ぎ始めてるんですよ。
「いいじゃな、これくらい自分で出来るわよ。」
「それじゃ私の仕事がなくなっちゃうよぉ~。」
「パーティーは午後からだからビスチェは少し緩めに、そう、そんな感じ。」
エレノアさんに教えていただきながらミリィを着飾っていきます。
「何かアリスに手伝ってもらうのって、変なかんじね。」
「うぅ、私はまだまだ新人さんですよ、仕方ないじゃない。ぶぅ~」
「そうじゃないわよ。ん~、なんて言ったらいいのかなぁ、そうだ、今度私がアリスの着替えを手伝ってあげるから、そうしたら私の気持ちが分かるんじゃないかな?」
「いや、さすがに王女様に着替えを手伝ってもらうとかダメじゃない?」
「何言ってるのよ、よく姉様に着替えさせられてるじゃない。」
「そうでした・・・。」
「お2人とも、時間がありませんから、『お話は』メイクが終わってからになさってくださいね。」
「「 すみません。 」」
エレノアさん、笑顔が怖いです・・・。
「この後どうしたらいいの?」
ミリィの準備が整い、次に待たれているご令嬢様に試着室をお譲りしたところで、この後の事を聞いてみます。
「この後は控室でしばらく時間をつぶさないといけないのよ。」
「午後からだから、まだ結構時間があるね。」
私とミリィ、そしてエレノアさんが控室へ移動します。
控室は私達が入学式をしたホールで、今はテーブルが並べられ、控室担当の侍女さんが、お茶やお菓子で接客をされています。
私は空いているテーブルに、ミリィをエスコートします。
ここ、実習で習いましたよ!
「取りあえず、お茶の用意をするね。どんな茶葉があるんだろう。」
そう言って周りを見渡すと、動き回っているココリナちゃんと目が合っちゃいました。
ココリナちゃんは私の視線の意味が分かったのか、すぐにお茶の用意をキャスターの乗せて運んでくれます。
「失礼いたします。お茶の用意をお持ちいたしました。」
そう言ってココリナちゃんがご挨拶します。
「ありがとうココリナちゃん、どうしたらいいか分からなかったから助かったよ。」
「この子がココリナさん?」
ミリィがココリナちゃんの方を見ます。
「初めてお目にかかります。ココリナと申します。アリスさんにはいつもお世話になっております。」ペコリ
「はじめまして、ミリアリア・レーネス・レガリアです。いつもアリスから話を聞いていたから、一度お会いしたかったんですよ。」
ミリィが一度席を立ち、両手でスカート裾を軽く持ち、優雅に淑女の挨拶をします。
「あっ、はい、ご光栄にございます、ミリアリア・・・・・・・・・・れいねす・れがりあ・・・さま?」
ぽかんとした顔で、開いた口を開けたまま、ココリナちゃんがミリィの顔を見て固まります。
あぁ、うん、何となくこんな事になるんじゃないかなぁって思ってたよ。
「・・・えぇ!、むぐぅ」
ココリナちゃんが叫びそうになってたので慌てて口を塞ぎました。
ナイス私!
「取りあえず落ち着こうね。」
そう言うとココリナちゃんが、うんうんと頷いたので口を塞いでいた手を離します。
「ふふ、面白い子ね。」
「普通、王女様が突然目の前に現れたら、誰も驚くと思うよ?」
「そういうもの?」
「ミリィは王女様の自覚がないんだよぉ~。もぉ。」
(何これ、どういう事!?アリスちゃん王女様と何親しげに話してるのよ!!いったいアリスちゃんってなにものなのよぉ~~~~!! Byココリナ)
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