第13話 その出会いは

「私子供のころからエスターニア様にとても良くして頂いてたんです。」

衝撃的な告白から私が動揺していると、リリアナさんがすこしづつ話しをしてくれます。


「歳が近かったこともあり、エスターニア様からは妹のように可愛がっていただき、幼い私は何も分かっていなかったから、普通に姉のように慕っていたんです。」

あぁ、それ私と同じだ。普通にティアお姉様の事をお姉ちゃんってずっと呼んでたもの。

リリアナさんと違うところは今も姉と呼んでるってこと。


「3年ほど前、エスターニア様が学園の先輩のお茶会に呼ばれたことがあったんです。

当時の私はまだよく分かっていなかったので、そのお茶会に私も行きたいと言って、両親と喧嘩をしてしまい・・・、私、こっそり馬車に忍びこんでしまったんです。」

「なかなか大胆なことをされたんですね・・・。」


「ふふ、私も今更ながら自分の行いが怖いぐらいですわ。だって馬車の着いた場所がお城だったんですから。」

「お城!?それじゃ・・。」

「えぇ、結局お城に着いた後、馬車に隠れていた事がバレてしまって。

エスターニア様は笑って許してくださったんですが、護衛に付いてきた騎士がたまたま父だったんです。」


「それは、怒られたんじゃないですか?」

「ふふふ、もちろん怒られましたわ。」

いやいやいや、リリアナさんはニコニコしながら話されてますが、多分お父さんはかなり怒られたと思いますよ?


「そんな時ティアラ王女様が来てくださって、「私が妹達のためにお呼びしたんですよ」っと言って、助けてくださったんです。」


「あっ、あの時の女の子!」

「思い出していただけました?」

そういえばお姉様がご学友のご友人とお茶会をされた事があったんですが、その時お客様のお一人が妹さんをつれて来られたことがあったんです。


「それが私なんです。」

「あの時はどなたかの妹とお伺いしていましたし、たしか髪がもっと長かったんじゃありませんでしたか?」

「ええ、あの後お屋敷に帰って両親にすごく怒られたんです、その時自分の立場をはっきり教え込まれたので、髪を切ったのは自分にケジメを付けるためなんです。」

ん~、リリアナさん昔はなかなかの『やんちゃさん』だったんですね。


「それじゃ、私のことは始めから知っておられたのですか?」

「初めは気づきませんでしたが、入学式の帰りに私の傷を治してくださいましたでしょ?」

そういえばそんな事もありましたね、もう1ヶ月前の事ですから。


「私、以前も傷を治していただいた事があるんですよ。」

そういえばたしかあの時、庭園を走り回って遊んでいたら、あの女の子が転んで怪我をしたから、治してあげた記憶があるけど。


「だから私だって分かったんですか?」

「うふふ、それでも『まさか!』って思っていましたわ、だって私はアリスさんの事、ずっと王女様だと思っていたんですよ?」

「まぁ、私もあの時のリリアナさんはご令嬢様の妹さんだと思っていましたから。」


私達は似たような境遇で、今も昔も優しいお姉ちゃんが付いているんですね。


「私達なんだか似たもの同士ですね。」

「ふふ、私ではアリスさんに遠く及びませんけれどね。」

「リリアナさんは私を買いかぶり過ぎていますよ?」

「そうでしょうか?でも、お友達が遠い存在になるのは困りますから、今はそういう事にしておきますね。」




リリアナさんとのお話がひと段落付いたときにココリナちゃん達がもどってこられました。

「皆さん、どうでしたか?」


「うぅ~、私だけハズレだったよぉ。」

「へ?ハズレって?」

ココリナちゃんが、ひとり拗ねながら、私に抱きついてきます。


「私とパフィオさんはご令嬢様のご担当になったのですが、ココリナさんは休憩ルームの担当に当たってしまわれて。」

「そんな事あるんだ。」

「恐らくヴィクトリアの生徒の方全てが、パーティーに出席される訳ではありませんから、侍女役とご令嬢様の数が合わないのでしょう。」

カトレアさんとリリアナさんが教えて下さいます。


「ん~、此ればかりはクジ運だからなぁ。」

抱きついてるココリナちゃんの頭を撫でてあげます。


「ですが、イリア様みたいな方に当たらないと思えば、前向きになれるのではございませんか?」

リリアナさん、それ慰めになってませんよ!


「イリア様みたいなって、それかなりイヤだなぁ。」

カトレアさん、心の声が漏れてますよ!


「それは当日までのお楽しみということですね。ふふふ。」

リリアナさんは笑顔で言ってますが、カトレアさんとパフィオさんはなんだか複雑な顔をされてます。


「そういえばイリア様はどなたかをご指名されたんでしょうか?」

イリア様のことが出て、ふと思い出したのですが、私がご指名を断ってしまったから、すこし気になってたんですよ。


「どうでしょうか?あまり関心がなかったので、気にしていませんでしたわ。」

リリアナさんって穏やかな顔をして、時々毒舌を言うんですよねぇ〜、まぁイリア様の話だから、とは思うけど。


「そういえば、あのいつも一緒におられるのはお付きの人なんですか?」

貴族様の場合、侍女の子などを一緒に入学させて、お世話をされたりって話はあるんですが。


「たしかプリムラさんのご実家は、商店をされているとお聞きしたことがありますが・・・。」

「ユリネさんの方は私と同じ普通のお家の方ですよ。」

リリアナさんとココリナちゃんが教えてくださいます。そういえば私、お二人の名前知らなかったなぁ。


「それじゃ男爵家の方じゃないんですね。」

「だと思いますわ。」

ん〜、それじゃ三人はお友達、なんでしょうか?そんな風には見えないんだけどなぁ。




そして着々と準備が進み・・・。

いよいよ明日、学園社交界が開催されます。

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