第6話

毎日、苦しくて、悲しくて。でも涙はもう出ない。この頃から、リストカットを毎日のように繰り返すようになっていた。いっそ派手にいじめてくれれば先生も気付いてくれるのに。でも先生は、陰口を虐めだと思っていないみたいだった。「いい加減忘れろ」中学二年生になった保健室登校の私に、何度も言った。いい加減、忘れろよ。教室、行けよ。あー。そうか。と思った。私は、虐められたわけでもないのに、保健室登校になって、授業をサボって風紀を乱してる、不良。問題児。学校の、お荷物。そう思われてるんだってわかってからは、開き直ってしまって、何を言われても、特に何も言わず、文句を、説教を聞き流してた。気付いたら、二年生の、思えば平和だった一年は、終わろうとしていた。

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