第7話両手両足再生計画

寝て起きてゲームして、という平和な生活を送っている俺の日常にある事件が起きた。


「コントローラーが壊れただと、、」


あまりにも衝撃的な出来事で俺は呆然とその場で立ち尽くした。


俺の寝て起きてゲームしての生活が、寝て起きてだけになってしまう。それじゃぁ入院中の病人かよ!いや、病人でもまだ何かしてるだろっ!

俺は、、コントローラーを失っただけで、、、病人以下だと、、、


コントローラーとはゲームをする上で、まず無くてはならない、人間でいう両手両足みたいなものだ。

つまり今の俺は両手両足がない状態、、、


早急に買わなければ!一刻も早く両足両足を再生すべくあらゆる手段を考えた。


通販に頼むか?いやダメだ最低でも二日待ってしまう。

自力でなおすか?いや、そんな事しても無駄だ。俺に機械をいじる知識など無に等しい。

こんな時ノメさんなら、、、

チッ、こうなったら買いに行くしかねぇ。


そう思い時計を見た。夜の8時だと!?

生活習慣ゴミかよっ!

今起きたばかりだから全く眠くない。

今から何時間起きとかなければいけないんだ。


仕方ない、外に出るためには装備しなければ。

外は危険がいっぱいだ。

今の内に作戦でも練るか。


俺は足を組み直しイスに座った。


まずは出発時間だ。

明日は水曜日。つまり平日。

という事は、朝に出るとまず間違いなく大量の

パリピ、ビッチ、無駄にテンションの高い野獣共に、でくわすだろう。

まず人が多すぎてウザイ。


それに明らかに見た目高校生の奴が私服で外をで歩いてたら周りの学生達はどう思うだろう。

『引きこもり』『陰キャ』『ゴミ』『人じゃない』

大半がそう思うはずだ。

ゴミって何やねん。人じゃないって何だよ。



これらの事を考慮すると朝に出るのはないな。

だとしたら昼か。


クッ次なる問題は何だ。

そうだ!服装だな。

周りの人がおかしく思わない服装、、


「よしっ!これだ!」


俺は閃きタンスを勢いよく開き、ジーパンとよく分からない英語の書かれた服を取り出した。


これで防具は完璧だな。後は金だ。


親が居なくなってから、父の妹がオレの事を世話してくれている。だけど仕事が忙しいらしく

週に1回生活費とある程度料理を作り置きしてくれたりなどしてくれている。

良い人だ。


金はあるようだな。

準備万端!

俺はそう意気込みベットに座った。


「ふぅ、」


俺はそっと息を吐いた。

なんで1日外に出るだけでこんなに神経使わなければいけないんだよ。


自販機、コンビニ以外に外に出るのはいつぶりだろう。殆ど欲しいものは通販で頼んでたしな。

俺は壁にもたれかかり中学の事を思い出した。


あの時はホントに楽しかったな。

何もかもが上手くいく気がして、家にいるよりも部活して勉強して友達とバカして怒られて、、


涙が出そうになったが、フニさんやユウナ達の事を思うと何とか踏ん張れそうだった。


ゲームしてて良かったな。

じゃないと今頃も親が亡くなってからずっと立ち直れずにいたかも知れない。


いかんいかん。ネガティブはダメだ。

一人で何もせずにしていると寂しいから何かしよう。

そうだ!部屋を掃除しよう!


俺はせっせと、体を動かし部屋を綺麗にした。

が、部屋自体はスグに綺麗になってしまった。


うーん、、暇だしほかの部屋も綺麗にするか。


俺は爆音で音楽を流しテンションをあげ、ただただ掃除をした。


「終わった、、」


そう呟き汗をぬぐって時計をみた。

まだ12時だと、、昼まで12時間あるじゃないか!


汗かいたし風呂に入るか、、


そう思い風呂を沸かし「あっつ」などと、いいながらも全身を浸からせた。


「はぁぁぁあ〜〜〜」

アホみたいな声が出てしまった。


掃除しかしてないのに物凄く疲れていた様だ。

他に何か趣味が欲しいな。ゲーム以外にも

できれば一人で熱中できる事。そうすれば俺も変わるかもしれない。

しかしいくら考えても思い浮かばない。また後々考えるか。


俺は風呂からあがり、髪を乾かしながら時計を見た。まだ2時か。


喉が渇いたな。自販でジュースでも買うか。

服を着てサンダルを履き外に出た。


5月の下旬となると外の気温も丁度よく気持ちが良い。

俺はこの時間帯の外がとても好きだ。


すごく静かで、周りは街灯の明かりしかなく、まるで世界に俺だけしかいないと思わせてくれる。


いつも飲む炭酸ジュースを買い、自販機にもたれそれを空けた。


あとの時間何して暇を潰そうかな。

明日特に何も起こらずコントローラー買えるといいな。


そんな事を思いながら、自販機の明かりに照らされ一人で静かにジュースを1口飲んだ。

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