第2話 補習(ホシュウ)

二度寝って怖いですよね。二度寝しようと思う時はもう超絶眠いから意識も朦朧としてて、何の予定があるとか、そんなのどうでもいいくらいになりますもんね。



って、言い訳しても許して貰えませんでした。


二度寝から起きたら9:00〜12:00補習ってカレンダーに書いてて、時計を見たら11:48って表示されておりました。んで、学校着いた頃には12:30。


ああ、やっちまった。何してんだか。補習の担当の先生には、プリントをどっさりもらい、「帰れ」とのことだったので帰ろうとしていた。


そんな時、キラキラ星のなんか難しいやつが聴こえて来た。ピアノの音。

ああ、きっとあいつが弾いてるんだな。変なアレンジまで加えて。楽しそうに。


足は自然と音楽室に向かっていた。音がどんどん大きくなっていく。

扉をゆっくりと、あいつが気づかないように開ける。ゆっくり入って、ゆっくりと閉めた。

「ガチャ」


「あ、久しぶり達気。何か用?」


喋りながらでも止まらないピアノ。さすがだな。

でも、もうすぐラストだ。


「補習で来ててね。まぁ寝坊して間に合わなかったんだけど。」


「ふふ。馬鹿だねぇ。目覚ましは役に立たなかったの?」


「一度起きて、目覚まし止めて、二度寝したんだよ。」


「それは目覚ましくん、手も足も出なかったね。」


ピアノが止まる。曲が終わったのか。


「ピアノ、上手いな」


「ありがと。達気も上手いのに、何か弾くかい?」


「いや、いいよ。最近サボりがちでさ。手が動かん」


「あらあら、ちゃんと練習に励まないと。」


「申し訳ねえ」


「じゃあ、俺帰るわ。菜々華はどうする?」


「私は先生にピアノ見てもらうから。ごめんね。」


「気にすんな。じゃあ。」


「じゃあね、また今度」




菜々華、翡翠(かわせみ)菜々華(ななか)。唯一の女友達であり、幼馴染。

最近はかなり疎遠。


そういえば仲の良いお姉ちゃんがいるって言ってたな。確か一回顔も合わせてる。確か名前は、 笑穂 だっけか。





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