夢闇 (MUYAMI)

空浮ふうあ

第1話 目眩(メマイ)

もう寝よう。

昨日はどんな夢を見たっけ?あれ、思い出せない。なんか、なんだっけ?

まあいいや、今日は楽しい夢を見れればいいな。


(眩間達気、高校一年生、6月、11:48、就寝)












気が付いたら戦っていた。左手で、腰に巻いた金属の板から小型ナイフを取り出していた。

右手には拳銃を持って、相手に向けていた。

あ、思い出した。僕はここ、MUYAMIで闘っている最中なんだ。

今は大会に向けての練習で、相手は確か、詞楽笑穂、プレイヤー名はスマイル。

やっぱりダサいプレイヤー名だなwって思うよ。

俺のプレイヤー名は、えっと、マクラだ。うん。人の事言えないダサさだね。

そんな話はどうでもよくて、俺の闘い方は、小型ナイフと、拳銃だけ、なんか剣か銃か悩んでどっちも使っちゃったって感じ。

笑穂は、でっかいライフルと、通常サイズの水色の剣。闘いによって使い分けてるらしいが、今は剣一本だ。

そんで、2人で住んでるでっかい家の、でっかい広場、その名も「体育館」(笑穂が付けた)で闘っている、という状況である。


「相変わらず拳銃だけは上手いのね。」


「だけってなんだよ。ナイフだって上手いだろがよ」


「は?上手い下手のレベルじゃなく使ってないでしょう?それ。」


「ぐっ!!いや、近距離戦闘の時はすっげえ使うんだよ!」


「へえ、じゃあ近ずいてあげるわよ。」


「うわあ!やめてくっれええ!」


「そりゃああ!」


と、彼女が剣を大きく振りかぶり、左肩の手前で止める。


「はい、私の勝ちー!今月の宿代はあんた払ってねー。」


「くっそーー!やっぱ俺も剣欲しいなー。あったら勝てたのになー。」


「まず強くなって、金稼ぎなさい?剣はやっぱ最高よ。」


「そうだなぁ。」


今日でこんな生活も2日目、1日目にどんな事があったか、軽く説明しよう。




【1日目】


気が付いたら、道路の上に寝転がっていた。

あれ、何してんだ俺…。

「ピロリン」

ん?誰からかメールが来たみたいだ。


「ここは夢の様な夢の世界。MUYAMIだ。RPGゲームの様な世界なので、存分に楽しむと良い。(起きている間はここでの事は思い出せない)」


…は?いや、うん。おk。理解理解。

え?いや、大丈夫だって。RPG世界に転生されたーみたいな感じね。

分かった。おk。

じゃあひとまず持ち物確認だな。ほう、10000G所持か。ありがたいな。

この世界での1万Gがどれくらいの価値なのか気になるが、それは後で確かめるとして、装備は、パジャマに、マクラ。あ、音楽プレイヤーがポケットに、あとイヤホン。

そういえば、肩に下げてあった、見覚えのないの小さなカバン。

ふむ。マクラいらねえな。どう考えても。


とりあえず宿屋探しに行くとするか。

地図がカバンに入ってたな。えっと、今どこだ?ああ、広場のすぐ隣の、公園の外の道路かな?ってことは………



よし、ここにしよう。


「(コンコン)すみませーん。宿借りに来ましたー。」


「はーい!今出まーす」


「(ガチャ)何か用ですか?」


うわ、めっちゃ美人さん。同い年くらいかな?サラサラな黒髪が肩くらいまであって、白い肌と、水色のパジャマ?を来た美少女が現れた。肌を露わにして。(コホン)


「えっと宿借りに来たんですけどー。」


「は?借りに来た?いや、もうここ買われてるんで。私の家なんで。」


「え?マジか。あ、すんません。それじゃ失礼しましたー。」

うわあ、残念すぎる。そして恥ずかしい。それじゃ別の場所に…


「ねえ、ちょっとさ」


「はい?」


「その、私今1人で、その、無駄に広くて、ベッドも丁度2つあるから…さ。」


え?もしかして?


「一緒に住まない?」


すまないけどそれは無理だ。なんて言うわけないよね。


「ぜ、ぜひこちらこそお願いします。」






「おじゃましまーす。」


「どうぞー。」


「えっと、なんで僕なんかと一緒に住もうって言ったの?」


「うわ、それ聞きますかね。普通。そのですね、寂しいからかな。私妹がいてさ、いつもベッタリで、1人で過ごすことに慣れてないんだよね。」


「あ、そうなんですか。その妹さんは今どこへ?」


「分かんない。はぐれちゃったみたいなの。ところであなた名前は?」


「あ、眩間達気です。眩むに間って書いて、達成の達に気持ちの気で、くらまたつき。君は?」


「私は詞楽笑穂よ。歌詞の詞に、楽しいって書いて、笑うに。のぎへんに恵みって書いてしらくえみほ。よろしくね、たつきくん。

ところでプレイヤー名って決めた?」


「プレイヤー名?いえ、決めてないですけど」


「敬語使わなくていいよ。多分同い年くらいだろうから。気が付いてすぐメールが来なかった?そのメールの後に、アプリのURLが貼ってあったと思うんだよね。

そこにログインしなきゃいけないみたい。」


「あー。はいはい。ありましたURL。これをダウンロードして、なるほどね。」


「できた?できたら私をフレンド登録しといてくれる?スマイルって名前で検索したら出てくると思う。」


スマイルw。まあ今僕もマクラって名前にしたけど。なんかマクラ持ってたから。


「お、来た来た。へー。マクラ?マクラってああ、クラマをもじったのね?」


あ、ほんとだ。クラマってもじったらマクラだ。今気づいた。笑穂さん、いや、笑穂のプレイヤー名のスマイルは笑からとったのか。


「そんな感じです」


「じゃあ、荷物の整理終わったら、武器とか買いに行きましょうか。」


この人手際いいなぁ。


「了解でーす。」


「だから敬語いらんって」


「おーけー」







みたいな感じでした。その後、メールで大会をするって届いて、闘って勝ったら賞金が貰える様になった。宝箱も街のところどころにあって、お金や、武器、回復アイテムなどが入っていた。そんなこんなの今日と昨日も、目覚めたら忘れてしまう。寂しいけど、しょうがないって思えた。





あれ、なんか目眩がする。これは、目覚めてしまうやつ…だ。



「ピピピピピピ」


うー。だる。また変な姿勢で寝てた。てか今日日曜じゃん。

はぁ、二度寝しよ。








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