第12話 side:B 犯罪者

「先生、さよなら~」


「はい、さよなら~」


男は生徒たちのあいさつにやさしい笑顔で答える。

少し長めの髪にやせ形で高身長の男、その男の前を女子の集団が通る


「あ、せんせい、さよなら~」


「ああ、さよなら」


「じゃあね、先生!」


「はい、さよなら」


「さよなら、先生~」


「ああ、藤井さん、さよなら」


「・・・・さよなら」


「はい、さよなら~」


最後の一人が通り過ぎたとき、彼女たちの後ろ、の方から二人の男が教師に声をかけた。


「谷、みつるだな」


「え、ええ、確かにわたしですが・・・・あなたたちは・・・?」


「起草署の物です」


そう言って二人は警察手帳を出した。


「け、けいさつ!?警察が私になにか・・・・?」


「ああ、あんたに聴きたいことがあってな、ちょっと、来てもらえないか?」


「え・・・・?それは、ちょっと・・困ります・・・」


「ほう、なぜですか?」


男は動向を拒否した。

その理由を聞くが何かを考えるそぶりをする。


「ま、まだ・・・しごとが・・・のこって・・・」


「あなたのこの後の予定を他の先生たちに確認しましたが、ないとの事でしたよ」


言い逃れはできない、木島は先回りして、周りの確認をした。


「で、ですが・・・・」


「先生・・・・何を恐れているんですか?別に何もいたしませんよ、お話を聞いていただきたいだけなんです」


「え・・ええ?」


「さ、行きましょう、生徒たちも見てる事ですし・・・」


彼の後ろには、先ほどの少女たちがこちらの様子を見ていた。

何事かと不安と好奇心の混じった目が彼を映していた。


「さぁ、こちらに・・・」


「あ、ああ・・・・」


教師は大人しく連れて行かれた、その時、ちらりと一人の女子を目にとめて行ってしまった。


「何かあったのかな?」


「さぁ、何だろうね・・・」


「・・・・もう、行こうよ」


「そうね、きっと、先生のマンションかどっかで事件でもあったんでしょ」


藤井という、整った顔の少女、この一段のリーダー的彼女がそう言うと、周りのみんなは興味を無くして帰って行った。

ただ一人だけ、その様子をじっと見ている少女がいた。


「あき~、いくよぉー!」


「う、うん、今行く!!」


あきと呼ばれた、少し小柄な少女は振り替えり、彼女たちの方へと走って行った。


男が連れてこられたとのは、とある学校、起草高等学校、校庭に入って警察二人に案内され、体育館へと連れてこられた。

そこには、何人もの警察と二人のそれっぽくない男が二人いた。


「お!、きく、来たぜ」


舞台の上で寝ている男に、彼は声をかけた。


これから始まるのは、ある男が犯した罪の数々を自覚させる話になります。

気分の悪くなった方は、一度休憩を


さて、体育館に現れた男は、やせ細っていて、帰り際だったのか、帽子をかぶっておいでだった。

私はきくに声をかける、すこし、すると、きくは目をゆっくりとあけた。


「案外と、あっさり来たな・・・まぁ、予定より少し早いがな・・・」


「で、どうする?始める?」


「ああ、まぁ、すこし、落ち着かせてからにしようか」


キョロキョロと体育館を見渡す、男

今回のターゲットなのだが、先にやることを知っているからか、ホントに信じられないのだ。


「なぁ、あれがホントにそうなのか?別人過ぎじゃね?」


「ハッ!整形をやれば顔なんて変えられるさ、俳優だって役作りのために体を鍛えたり、太らせたり、痩せたりするだろう?それとおんなじさ、いくらだって別人に変身できるのさ・・・」


「はぁー・・・・おっそろしいな・・・・」


「女も、化粧で変わるのと同じだ」


「おまえがモテない理由がなんとなくわかったよ・・・」


「しかし、あそこまで変わっているとはな・・・」


そう話していると木島がこちらにやってきたのだ、その手には何かを手に持っていた。


「よぉ」


「なんすか、その紙袋・・・・プレゼント?」


「違う違う、アイツのいた学校でな、一人の女子生徒が仲間に折り手紙を渡して去って行ったんだよ、そしたら、学校の中を探してくれって書いてあって、探したら、出てきたんだよ」


そう言って、木島が舞台の上に出したのは、盗聴器と小型の盗撮カメラだった。


「盗撮カメラ!!?」


「ほーう・・・・」


「しかも、最新式までありやがったぜ・・・筋金入りだな・・・」


「手口は変えてないという事か・・・・金にでもなるのか?」


「うわー・・・・きも・・・・」


「・・・・・まぁ、確定したわけだな」


たまにいる、同じ手口で犯行を繰り返す犯人、まさか、ここまでの筋金入りは珍しいようだ

それより、よくその少女は、彼が盗撮していると分かったものだ


「で?その、女子生徒ちゃんは?」


「手紙に気付いた時には、もう、いなかった・・・」


「ほーう、やるなぁ、高校生」


「感心すんなよ!」


「何故だ?勇敢ではないか!むしろ、褒められるべきだろう、犯罪者を密告したのだぞ?」


「いや・・・そうだけど・・・」


「危険すぎるだろう・・・・女の子だぞ」


「女だろとなんだろうと、守りたいもののために動いたんだ、いい事だ」


きくはそう言って、見ず知らずの少女を褒めた。

いい事なのかどうかは、分からないが、まぁ、どの道捕まえられるのは確かだ、罪状が違うだけになる、だが、それは許されていいものではない。


「そろそろ、やるか・・・」


「え・・・」


体育館のトビラが開いた。

そこには、生き残った三人が立っていた。

当時三年だった、安道、一年の水谷、そして、昨日の事があって車いすに乗っているがt二年の眺野さんがいた。


「眺野さん・・・・!!」


「水谷さん、良く連れてきてくださいました」


「いえ・・・真実がわかると、言われれば来ざる負えません」


「安道さんも、お忙しい中・・・すみません」


「いえ・・・勉強になると聞いては、ねぇー、久しぶりに二人にも会えたし・・・」


「先輩、お元気そうで・・・!」


「お久しぶりです・・・・安道先輩・・・」


「ああ、水谷、ずいぶんと大人になったな、眺野は・・・・少し痩せたな・・・」


「あははは・・・」


久しぶりに会えたのがうれしいのか、楽しそうに話す三人、だが、眺野さんがなぜここにいるのか、驚かざる負えなかった。


「眺野さん、なんでここに!?」


「ああ、特別許可を得てな・・・」


「ああ、冤罪事件だという事を思いっきり世間に言うぞと脅し・・・・注意をして、特別に!出してもらってきたのだ!」


「えええええええ!!お前の私生活が謎すぎるんだけど!!」


「まぁ、気にするな、頭痛がするぞ」


なんでもないように言う、きく、正直彼は探偵をやっているがその実態は謎だらけなのである。

探偵というと家賃が払えないとか、貧乏だとか、実は大金持ちの息子だったとかのイメージがあるかもしれないが、それがまったくないのだ。

どれだけ調べてもな、一切不明だ、あまり詳しく書くと怒られるから、ここまでにしよう。


「それよりも、探偵さん、こちらの方は?」


水谷さんが、自分たちの前にいる、おそらく五十台前後の男性を指差す、そりゃそうだよな、

まったく知らない他人がいるのだから、役者がそろった?

どこにだ?俺には全く分からないし、意味が不明だ、というか、こんなことがホントにあっていいのかい探偵さんよ!


「だれって・・・・その人、花隅先生ですよ、ね」


「・・・・・」


「おー・・・」


「・・・・・うそ・・・」


「は?」


「・・・え?」


ええ、あの探偵笑顔で言いましたよ、にっこりと、もう木島さん頭抱えちゃったじゃあ、ありませんか、私は言葉が出ませんよ。


「なにを、・・・・馬鹿なことを言っているんだい・・・・!」


「ふ、ふざけているのなら、帰らせてもらいますよ!!」


「・・・・・探偵さんだって・・・ご存じのはずです、花隅先生は・・・・・」


「死んでませんよ、いえ、死んだふりをしていたんですよ」


眺野さんの言葉を遮って華の男は言い切った。

すると、今まで口を閉じでいた男が口を開いた。


「誰ですか、私はそんな名前じゃあありませんよ、それにかれらだって初めて会いました、誰です?」


当然の反応だ、普通だったら探偵、黒田きくのほうが頭がおかしいと思われても仕方がない、なのにこいつは手に顎を乗せ、にんまりと笑うのだ


「へー・・・・そーですか・・・・まぁ、そのあたりも含めて、話そうではありませんか!!」


しがない探偵の、しがない推理ですが・・・・。


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