第5話 待ち人来たらず

 翌日、アリスはここへ姿を現さなかった。


 毎日足を運んでくれていたアリスが、ここへ来なくなってしまった。

 その事に少し不安を覚えたものの、アリスにも用があるのだと言い聞かせる。


 しかし、翌日も、その翌日も、アリスが姿を現すことはなかった。


 日が経つたびに、俺の心は後悔と懐疑の念で埋め尽くされる。

 あの話をしたから、アリスはここに来なくなってしまったのではないだろうか。


『私はどんなことがあっても、君の事が大好きだよ』


 でも、あの時のアリスの言葉は嘘偽りを感じることが出来なかった。


 ならなぜ、アリスは姿を現さなくなってしまったのだろう。


 もしかしたら、俺が勝手にそう思っていただけで、初めからそんな気はなかったのだろうか……。

 それとも、愛想をつかして消えてしまったのだろうか……。


 アリスが来ない中、俺は葛藤する。


 自分の想いと、分からないアリスの想いの狭間の中で。

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