嘘吐き

なりろう

 僕はまたひとつ嘘を吐いた


 これで何度目だろう


 母は嘘を吐くことを叱った


 でも、僕は嘘を吐きつづけた


 何度も何度も何度も何度も


 その結果


 僕は僕がわからなくなった。


 それでも、嘘を吐きつづけた


 僕が僕であるために


 おかしな話だ


 僕は僕がわからないくせに


 僕は僕のために嘘を吐く


 そうして、ひとつ気づいた


 僕はもう嘘を吐きつづけなければいけないと


 誰にも本当の僕を理解されず


 見てもらえずに朽ちていく


 嘘吐きにはお似合いかもしれない


 でも


 ほんとは見て欲しかった


 気付いてほしかった


 抱きしめてほしかった





 愛してほしかった。


 ただ


 それだけだった





 なんて、これも嘘


 嘘はいつか本当になれるのかな

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嘘吐き なりろう @narirou23

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