第11話 目を覚ましたら権力者
目を覚ますと、もう朝になっていた。今度は寝すぎて体が怠い。ベットの横には眠っている陰地君と、いい匂いがする肉が大量に置いてある。アニメや漫画の様に、タイミング良く目を覚ますなんて事は無いらしく、肉を食べても良いのか確認できない。我慢できずに手を伸ばそうとした所で、今度はタイミング良くフロウさんとドルゲフさんが入ってくる。僕は慌てて手を布団に引っ込める。するとフロウさんは微笑んで、
「その肉は君のために用意したんだ。早く元気になってもらわないといけないからね。」
彼には何でもお見通しらしい。僕は引っ込めた手をもう一度出し、とにかく肉を食べる。まあ、あんまり元気も無いから結局はゆっくり食べるんだけどね。ソーセージを口いっぱいに頬張る僕に、フロウさんは続ける。
「さて、一昨日の話だがね・・・。」
一昨日?丸一日寝てたのか僕は。道理で怠いわけだ。
「君が単独で消してしまった勇者軍の話だ。勝手な行動は良く無い事だが、今回ばかりは助かったよ。朝早くだったから警備が手薄でね。」
怒られるかと思ったけど、意外と大丈夫だった。しかしフロウさんは、いきなり真面目な顔になる。
「それで 君の腹の傷だが、一体誰にやられた?戦いの最中ずっとバリアを張っていた君が、勇者に傷をつけられるとは考えにくい。君が生きていたのも奇跡としか言えないほどの傷だったよ。」
僕は「老い」と「死」を消した事は伏せて、全てを話した。死なない体になった事は、何となく話してはいけない気がしたからだ。僕を攻撃した人は、勇者軍なのかも分からない。そう話すとフロウさんは、ドルゲフさんと難しい話をしながら出て行ってしまった。
陰地君は僕が大量にあった肉を食べ終わる頃に起きて、僕が生きていてくれて良かったという事と、一昨日は逃げちゃって悪かったという事を伝えてくれた。
「それと、、、」
まだ何かあるのか?腹がいっぱいになった僕は、とりあえず散歩程度に運動がしたくてたまらなかった。
「君が、、宰相になった。」
「は?
「宰相。ドルゲフさんの次に偉い人。」
「えぇぇえぇ!?」
僕の叫び声は、魔王の城に響き渡った。
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