自業自得

ノータリン

自業自得

 彼は詐欺師だった。

 彼の行う詐欺は契約詐欺というもので発覚しても法で裁くことが難しいものであった

 様々な法外な契約を結んできた彼はいつの間にか金持ちと言われる部類の人間になっていた。

 金に釣られて多くの人間が彼の周りにいた

 よく欲望に際限は無いと言われるが彼は違った。

 もう、十分に満たされたと考え急に詐欺を辞めてしまった。

 が、周りの人間がそれを許さなかった。


 彼は逃げ続けた幸い金があるので逃げること自体は困難ではなかったもののいつまでもおってくる奴ら相手に逃げ切ることは難しいことだった。


 一時的に逃げることに成功したが彼には生きがいと言われるものが無かった。

 すでにこの世の全てである金はある満たされ過ぎてしまった。とまで考えるようになっていた


 そんなある日彼の目の前に悪魔を名乗る者が現れた。

 青年のような見た目をした悪魔は「アナタは現世で恐らくこれ以上ないほど満たされたのでしょうですが、あの世で満たされるとは限りません。私と契約を結びませんか?恐らく死後の世界でも満たされることになるでしょう。気になった時にココに来ていただけるだけでイイんです。どうか、お受け取り下さい」と言って名刺を渡して行ってしまった



 その日からあの世というものについて考えるようになった。今は良いかもしれないがあの世についてかんがえると不安な事ばかりだった


 ふと気がつくと、彼は名刺に書かれた住所に足を運んでいた。


 廃ビルとも思えるような古びたビルの一角の事務所に彼はいた


 昨日までこんな場所にこんな建物があった覚えはない。


「来ていただいてありがとうございます。前向きに検討していただけたようで何よりです。」

 私は契約の条件が一番気になっていた

「契約の内容ですか?簡単ですよ善行を積むことです。昔から現世の行いが来世に響くと言うのは定番でしょう」

 ふむ、確かに定番だ

 だか、悪魔というのだそれだけでおしまいとは信じ難い

「それだけです。本当にそれだけ、今どき少ないんですよ善行を自ら積もうとする人なので、それをして貰えるだけでもコチラは大助かりな訳です。」

 分からない善行を積んで天国と言われるところに行くことが悪魔にとってプラスになるのか?契約が守られる保証はあるのか?

 様々な思惑が頭を巡る


 その時、地面がいやビル全体が歪み始める。

 私は突然の出来事に驚きと混乱の中悪魔の方を見た


「私最初に言いましたよね?『ココに来ていただけるだけでイイ』と人間の魂はとても美しいものなんですよ」と初めて悪魔が笑って言った


 周りから人が出てくる顔に見覚えがあった


 《《》》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自業自得 ノータリン @bjl

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る