第3話 アスラの居る世界

俺は気付けばスマホのゲームアプリ押していた。

景色はゲームの世界に変化していく。このゲームは特殊な電気信号で認証ユーザーを強制的に睡眠状態へして、夢で見るものを操作しゲームの世界を投影している。プレイヤーキャラは脳でコントロールする為、現実の俺が動く必要はない。

感覚器系にも働きかける為、まるでその世界に居ると錯覚してしまうほどだ。

痛覚のみ10分の1まで下げられているが致命的なダメージがあると意識を失いそうになる程の痛みが発生する。

中には1週間ほど意識が戻らない人も居るようだ。

 その痛みに対して問題を感じた子供の両親等3万人ほどの訴えにより政府がゲームに対して規制を設けようとするが全世界に18億人のユーザーが居るこのゲームプレイヤーの8割から批判や暴動等があり規制を設ける事が出来なかった。

RMT(リアルマネートレード)等の一部に規制はあるものの規制の隙間を抜けるプレイヤーは後を絶たない。半ば無法地帯である。特に痛みを和らげたり無くしたりする回復アイテムの需要は想像を絶するほどだ。

故にこのゲームでは回復魔法を主軸にするプレイヤーが優遇されている。痛い時に回復をする又はしてもらうと痛みが無くなるから当然の流れだろう。


 そんなこの世界に目的なく勢いで来たが何をしようか?

暫しゲーム内のマイホームのリビングに置いてあるソファーで考え込んだ。


特に思い浮かばないからリビングに設置してあるテレビをつけて闘技場で今現在行われている試合から適当に動画を選び再生した。

 再生したのはジャバウォックという首の長い悪魔のような全長40mの巨大な龍と闘う6人のプレイヤーの動画だった。

この前に俺がタナードラゴン戦った闘技場の4倍の広さがありジャバウォックですら小さく見え、障害物の無い真っ平な場所になっている。

 この動画を再生した時には戦闘開始から2時間も経っていた。

ジャバウォックはかすり傷程度で6人のプレイヤー達はかなり疲弊していた。

ジャバウォックは空中戦を得意するだけでなく広範囲の魔法を使う為非常に隙がなくダメージを与えにくい厄介な相手なのだ。

故に18億のプレイヤーの内の10000万人程度しか勝利出来ていない。

また、6人未満でクリアしたプレイヤーは0人というかなり強い龍である。

アスラはそんな映像を小さな声でブツブツと分析しながら真剣な顔で見ていた。

何か馬鹿げた事を考えていると察してしまう空気感である。

程なくして再生から10分も経たない内に6人のプレイヤーは全滅した。

アスラは呟いた。

「ジャバウォックを1人で倒すか!」と。。 

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