第6話 潜入


 飛行機の不時着地点は、ひどく殺風景で、すぐにここがどこだかわかるとは思えなかったが、操縦輪を放したクラウディアは、着陸に成功したことを喜ぶでもなく、大仕事をやってのけたことによる疲労で疲れている様子でもなく、ただ、冷や汗を垂らしながら、厳しい表情を浮かべている。


 何もかもがうまくいったというのに、何が彼女をそんな表情にさせているのか、理解できなかったセカイは、


「どうしたの? もしかして、この飛行機が爆発するとか?」

「違うわ、問題はそんな簡単なものじゃない。相手がちょっとした集団だとか、私が死ぬかもしれないリスクなんて、大した問題じゃない――――今、現段階で、最悪なのは……落ちた場所よ」

「……場所?」


 ここが北アメリカ大陸だとわかっている以上は、かなり広いとはいえ、救助が来るはずだ。いや、見渡せば、遠くに柵が見える。すぐ近くに人がいる可能性だって高い。遭難することはないはずだ。


 頭を抱えながら、先ほどまであったはずのわずかな余裕さえ消えかかっているクラウディアは、続ける。


「ここは『エリア51』。アメリカ合衆国の最重要機密が保管されている場所の1つよ。昔から、エイリアンやUFOが保管されているとか、生物兵器の研究がされているとか、言われているけど、その詳細は―――私だって知らないわ」


 一瞬何か言いかけたクラウディアであったが、彼女がその詳細とやらを語ることはなかった。


「じゃあ、ここを守っているアメリカ軍に助けを求めればいいんじゃ……」

「無理よ、言ったでしょう、『最重要機密が保管されている』って、ここに一歩でも入れば、発砲許可が出てしまう。ましては完全に敷地内に侵入しているこの状況では、私たちは、ううん、この飛行機に乗っている人間全員が『排除』の対象になる可能性が高い、私ごときの権限じゃどうすることもできないから、四面楚歌ってわけよ……」


 そのとき、銃声が聞こえてきて、びっくりする。どうやら外から撃っているらしい。それを見たクラウディアがぶつぶつと何かをつぶやき始めた。


「つまり相手は国、何かを知ろうが目をつぶっていようが、どうせ殺される――幸か不幸かこの飛行機にはあいつがついて来ている。その気に乗じて逃げられれば、あるいは……」

「ねえ、『あいつ』ってなんなの? この飛行機を攻撃してきたやつのこと?」


 それは……、と言いづらそうに言ったクラウディアは、ほんの少し逡巡してから、「こればかりは隠しておける場合じゃないわよね……」と小さく呟いて、


「『飛翔する合成鳥獣(フライング・キメラ)』……ロシアが生み出したモンスターだって考えてもらえればいいわ。貧困層を用いての度重なる人体実験と、世界中から集めてきた生き物たちの動物実験の末に生み出された奴は、元々鷹だったっていうのに、居間じゃ何なのかわからない姿になっているわ。ひどく凶暴で、人並みの知能を有している上に、普通の武器じゃ、あいつには傷一つつけられない」


 いきなりモンスターだとか言われても、にわかには信じられなかった。

たとえ、そんな生き物がいたとしても、どうして、この飛行機を狙ったのだろうか。

 そして、クラウディアはなぜそんなことを知っているのだろうか。


『セカイ』

「…………っ!」


 そのとき、誰かに呼ばれた気がした。


 聞き間違えるはずもない、いつもあの夢の中で聞いているあの声だった。


 彼女が近くにいるのかも知れないと思ってあたりを見回すが、シートベルトを外して手元に置いてあった拳銃の弾を確認しているクラウディアと、頭に手を当てて俯いているシオンしかいない。


「シオン、大丈夫?」


 彼女の様子は明らかにおかしい。血の気のない顔に、焦点が定まっていない目、震えている唇に、乱れた呼吸、体調が悪そうだ。


「はい、少し頭が痛むだけです。ここから離れれば大丈夫だと思います……」


 シオンは痛々しい笑顔を向けてくる。こんな表情の彼女は見たことがなかった。

何かにおびえているようにも見えるが……。

 セカイが手を差し伸べて、シオンを立たせていると、先にコックピットのドアの前にいたクラウディアが、


「私は今から、一人でも多く救うことに尽力する。悪いけど、貴女たちだけ特別ってわけにはいかなくなるわ」

「待ってよ、シオンが……」

「だから、特別扱いはできないわ。怪我したわけでもないのに走れないなら、ここにいて死ぬまでの時間を延ばせばいい、両親に別れの挨拶くらいはできるでしょ」

「そんなのって!」


 クラウディアの青い眼はひどく冷たく向けられていた。


 そうだ、彼女とセカイたちの間のつながりなんて、ほんの数時間一緒にいただけの希薄なもの。彼女にとっては、セカイもシオンも、ここにあるたくさんの助けたい命の中の一つに過ぎない。たった二人のために、他を犠牲になんてしてはくれない。


「……少しの間だったけど、楽しかったわ」


 ドアが開いて、振り向かずに静かにそういった彼女は、コックピットを出て行った。セカイたちには、彼女を引き留める権利もなければ、文句を言う権利もなかった。


 クラウディアが出て行ってしまったコックピットは、ひどく不安な場所になる。

 目の前にあるドアは、銃を撃っても、びくともしないほど頑丈なもののはずで、それを実際目にしたにも関わらず、頼りないと感じてしまう。


 だが、シオンの元を離れることはできない。クラウディアと違って、セカイと彼女は幼馴染で親友なのだから。自分の命と変わらないくらい、大切な人なのだから。


「私なら大丈夫ですよ、急な着陸で少し酔ってしまっただけですから――さあ、クラウディアさんを追いましょう」


 時間がたつにつれて、落ち着いてきたシオンに肩を貸しながら、セカイたちもコックピットを出る。機内はガランとしていたが、逃げるときに足手まといになってしまうと判断され、置いて行かれた人々が数人いた。成功したとはいえ、この飛行機は不時着しているのだ。怪我人がいないはずがなかった。


 自分の境遇を恨み言葉を並べている青年、娘をクラウディアに預けたのだろう足を怪我して動けない母親は娘の無事を祈っていた、老夫婦はお互いの手を組んで静かにその時を待っている。


 ここには、すでに生きるのを諦めた人々しかいない。


 彼らに同情する気持ちと、なぜこの人たちはすでに諦めてしまっているのかという怒り、こうはなりたくないという焦り、様々なひどい感情がセカイの中で渦巻く。

 そしてなにより何もできない歯がゆさを感じながらも、彼らの中を抜けていき、セカイたちはどうにか搭乗口の前まで来る。


 そして、機体の外を見た瞬間、あまりにも現実離れしている事態に戦慄する。


「これ、は……」


 信じられないといった様子で、シオンが隣で声を漏らした。そこにあった光景は出来の悪い三流映画のような、正義なんて言葉が見当たらない惨状だった。

 外では、クラウディアたちが、丘の向こう側まで駆け抜けようと一斉に走り出していた。おいて行かれたものは、兵士に撃たれている。子供だろうと怪我人だろうと関係なしに彼らは殺していた。父の遺体の前で泣く子供、夫が撃たれて自身も死を選んだ妻。あまりにも急速に命が消えていっている。


 そして、兵士は同時に巨大な化け物と戦っていた。飛行機の乗客を相手にしている兵士は微々たるものであったが、こちらは、何十人という単位の兵士だった。

 真っ赤な尻尾にオレンジ色の毛並みは日本の紅葉している山の色に近い。頭はライオン、巨大な兎の体を胴体に持ち、その背中には巨大な翼をもっていた。象ほどに大きく、兵士の撃つ弾丸が効いていないようで、一人一人をかみ殺し、暴れていた。


「あれが――『飛翔する合成鳥獣(フライング・キメラ)』……」


 驚いている場合ではなく、動かなければならないことはわかっていたのだが、すでに最後方を走っている人々ともかなり距離が開いており、追いつくのは難しく、たとえ追いつけたとしても、兵士の撃つ銃弾の餌食になることは目に見えていた。


『こっちだ、セカイ』


 また聞こえた声にセカイはあたりを見渡すと、近くに建物があることに気付く。

このままでは兵士が飛行機に乗り込んできてしまう、だから、一刻も早く場所を変える必要がある。


「シオン、こっち!」

「えっ……」


 シオンの手を引っ張り、搭乗口から飛び降りて、段差を用いながら、地面に降りると、そのまま駆け出す。何発もの銃弾が飛び交っている中を、自分とシオンに当たりませんようにと祈りながら、走り抜ける。


 クラウディアのいう通り、兵士たちの大半は怪物の対応に追われており、さらに、残りの少数も飛行機から降りてきた百人以上の人々の方に注意を向けていたため、セカイたちの方に注目する者はほとんどいない、危ないのは流れ弾だけだった。


「セカイ、どうするのですか? こっちは、基地ではないですか」


 どうにか建物の影に隠れることができたものの、シオンの言う通り、ここはエリア51の中心。つまり、銃を持った兵士がうろついている場所で、決して安全とは言えない。だが、ここ一体で一番障害物がある場所であるということも事実。


 いや、違う。


 そんなことは結果論であり、セカイがここに来たのは、頭の中の声に誘われてだ。夢の中に出てきた声の指示に従ったなんて、命がかかっているこの事態だからこそ、シオンには口が裂けても言えなかったが。


 このエリア51という場所は、砂埃が激しい場所だった。

 湿度のない空気に、早くも喉が枯れてくる。日本では夏も終わりの頃だというのに暑い。逃げるなら外だが、このまま目的もなく外を彷徨っていたら、体力が奪われる一方だろう。


「ねえ、じゃあシオンはどうしたい? 私は、この中に入りたいんだけど……」

「いつもの気まぐれで、この非常時に探検家気取り――というわけではないみたいですが、私は反対です。わざわざ殺されに行くことはないでしょう?」

「でも、こっちには――」


 言葉を切ったセカイは、続く言葉が逃避にもとらえかねないものだと理解していたので、口を紡ぐ。声が聞こえたような気がした、なんて不明瞭な要素だけで彼女を説得できるとは思えなかった。


「そんな顔をしないでください。私だってどうすればいいかなんてわからないのです、ただ、この先は嫌なとても感じがして、ズキズキと頭が痛くなるのです。こんな不確定な力のせいにするのは心苦しいですが、それでも、この先は今よりも確実に『危険』なのです」


 彼女の感覚は、セカイにはないものだったが、間違いないものだ。

 彼女がこういうのだから、頭が痛むくらいに、気分が悪くなるくらいに、嫌な感じがしてしまう場所ということは、それだけ、この先は危ない場所なのだろう。


 声の主は必ずこの先にいる。呼んでいる。


 けれども、そのために自分だけでなく、親友の命までもを賭けることなんて、軽率な行動は、セカイにはできなかった。


「…………そう、だね」


 残念そうに俯いたセカイを前に、シオンは当然の疑問を聞いてくる。


「……どうして、この先に行きたいのですか?」


 何か彼女に納得してもらえるような理由はないものかと頭の中をフル回転させてみるが、こちらを見るシオンの目はごまかせそうにないし、命がかかっている以上、ごまかしてはいけないこともわかっていた。


「……声が、聞こえたんだよ」

「声が聞こえた、ですか……?」


 怪訝な顔をしながら、オウム返しに問いかけてくるシオンに、うん、と頷く。


「知っているでしょ? 私が昔から見ている夢、あの夢の声が聞こえてくるんだ」


 夢の声、ですか……、といって、何かを考え始めるシオン。幼馴染といっていい間柄の彼女には、昔から変な夢を見るということは話していた。

 どうしてそんなものがここから聞こえてきているのか、そんな質問が来たら何も返せなかったが、シオンはそんな予想の斜め上の質問をしてきた。


「その声は、信用できるものなのですか……」

「信用って……保険会社の選定をしているわけじゃないからね、考えたこともないよ」

「でも、呼ばれて、そこへ行きたいとは思っている、と……」


 シオンの言葉に頷く。


 まるでアクション映画の一場面を切り取ったかのような音が鳴り響く中、再び長考したシオンは、深い深いため息をつくと、「仕方がありませんね……」と了承したではないか。


「他に行く場所がないのも確かですし。親友のそんな顔を見ている方が心苦しいですし。条件によっては、行かないことでもないです」

「条件って……」

「命懸けになりそうですし、私も怖いのです――だから、」


 ちゃっかりしている彼女のことだ、保証書でも書けとでも言われるのではないかと思って覚悟していると、目の前に右手が差し出される。


「出来るだけで良いので、手をつないでいても良いでしょうか?」


 そのあまりにも意外な『条件』にセカイは戸惑った。


「えっ、なんで? 動きづらくない?」

「別にいいじゃないですか。できる限りで良いですし、私の手を繋いでいてください――そうすれば、私はセカイを守れます」


 その小さい体で、暴れまわるモンスターに立ち向かうシオンを想像してしまい、いやいや、違うだろうと、首を横に振る。守るといっても、「道を間違えずに逃げられる」とかだろう。まあ、確かに、この中が複雑な構造だったら帰り道がわからなくなりそうだが。


 普段の彼女と一緒にいると、セカイが何かを頼むことはあっても、彼女から要求されるのは茂みから四葉のクローバーを探すくらいに稀なので、嬉しさを感じながら「その程度なら」と言って、彼女と手を繋ぐ。シオンの手は、とてもひんやりとしていて、あたりが暑いだけに心地が良かった。


 米軍基地に女子高校生が『おててつないで』侵入とか、きっと前代未聞のことだろうな、なんて思いながら、兵士のいない道を選んで進んでいく。

 どうにかして侵入できないかと、いくつかある倉庫のような建物を回ってみるが、どこも入り口にはこの非常時にも関わらず兵士が待機していた。きっと、セカイたちのような騒ぎに乗じて入り込もうとする輩のためだろう。


「セカイ、あれを見てください」


 そう言ったシオンが指さした方向を見ると、全部が全部閉まり切っているのではないらしく一カ所、開いている窓があった。少し高いが、二人ならば何とかなりそうな高さだ。

 シオンに肩を貸して、彼女に乗ってもらい、なんとか、シオンを窓から中に入れる。こんな事態の中であっても、シオンの方が、背が高いはずなのに、体重はあまり変わらない事実に直面して、うらやましいとか思ってしまう。


 シオンが中に入ってしばらく待っていると、黒い紐のようなものが窓から降りてくる。頑丈そうでいいが、いったい何だろうか。


 紐を伝ってセカイも建物の中に入ると、そこは鉄でできた巨大な箱の上だった。埃が舞っており、暗い。そして、外に比べて涼しかった。シオンは鉄の箱の下におり、中を見ている。正面にも同じ箱があって気づいてのだが、どうやら、これは箱ではなく狭い檻のようだ。何が入っているのかはわからなかった。無言で檻の中を見ているシオンのもとへ降りて行く。

 彼女の隣に来て、その視線の先を見ると、そこには、一匹の獣がいた。確か動物園で見たことがある、黄色と褐色の斑模様が特徴的の豹とかいう服のロゴにも使われている動物だ。そして、セカイの後ろの檻にいるのは、黒と白の体の、一見豚のようにも見える動物だが、こっちはバクとかいうやつ。


「なるほど、ここは……」

「何かわかったの?」


 何か考えていた様子のシオンに聞いてみるが「いえ、なんでもありませんよ」と笑顔ではぐらかされてしまう。こうされると、何も聞き返せなかった。


 さあ行きましょう、と差し伸べられた手を取って、一緒に建物の中を歩いていく。この倉庫のような建物の中には兵士は一人もいなかったものの、並べられていた檻に入れられている生き物たちの目線が突き刺さってきて、気が抜けない。


 クラウディアが言うには、ここにはアメリカ合衆国の機密があるらしいが、それとこの動物たちと何の関係があるのだろうか。そんなことを考えながら、もう少し明るくすれば、小さな動物園くらいにはなるだろう檻の道を歩いていく。


 虎、狐、大蛇と、個性豊かな動物たちが檻の中にいる。生きているということはわかるが、どの動物も一切鳴くことがなかった。だから、室内はとても静かで、セカイたち二人の足音だけが響いていた。

 動物たちの檻の列から抜けると、目の前には壁、いや、エレベーターがあって、セカイたちは、立ち止まる。


「セカイ、どうしますか?」

「これに乗ったら流石にあからさまだよね……」


 せっかくここまで誰にも見つからずに来たのだから、下手な行動などして、見つかったりはしたくない。かといって、引き返しても、事態は好転しないし……。


『こっちだよ』


「……っ!」

「セカイ、どうしたのですか?」


 先に進むことはできないだろうかと、考えようとしたとき、頭の中で声が聞こえてきて、シオンの手を放し、声の方向へ歩いていくと、足元にさび付いて茶色に変色してしまっている鉄の扉を見つける。扉を持ってみるが、鍵こそかかっていないものの硬くて開かない。


「手伝いましょうか?」

「うん、お願い」


 せーの、と掛け声を合わせて二人で一気に持ち上げると、ようやく扉が開いた。

ふわっ、と埃が舞って、深い穴が現れる。進むならば脇のさび付いている梯子を伝っていくしかなさそうだ。


 どっちが先に入っていくか、シオンに聞こうと彼女の方を向くと、ゴホッ、ゴホッ、とまだ咳が続いており、喘息もちではないはずだが、あまりにも苦しそうだったので、「大丈夫?」と彼女の背を撫でる。


「本当にこの先に行くのですか?」

「えっ……」

「ここからは、相互していた力の均衡が崩れ、因果律は外れています。私たちの信じているものを否定し、理解できないものが肯定される。本来ならば、人の犯してはならない領域になっています――それでも、行くのですか?」


 彼女の言葉の意味を完全には理解できなかったが、この先がヤバいところだということはわかった。何度も言うようにシオン様のこういう言葉は聞き入れるのが賢い生き方だ。


 しかし、セカイの考えは変わらない。


 シオンのような力がないからか、あるいは、見たこともない声の主を信じているのかわからないが、とにかく、不思議と迷いはなかった。


「うん、呼ばれたからね。一巻読んだら続きが気になっちゃうタイプだし」

「それは、興味本位ではなく心の底から――そう、もしもその選択で死んでしまっても、悔いはありませんか?」


 飛行機の中とこのエリア51で、ほんの少しの間に多くの人々の死を目撃したセカイの顔は、一瞬こわばったが、軽く深呼吸をしたあとにセカイが頷いた瞬間、地面が揺れた。

 外が一層騒がしくなり、爆発音も聞こえてくる。何が始まったのだろうか。二人で最も近い窓の方を見てから、


「引き返しても、ろくなことがなさそうだしね。行くも帰るも地獄なら、私は進むよ」


 シオンは、深いため息をついたあとに目を閉じてなにかを考えて、「わかりました」と、笑顔を向けてくる。


「セカイが一人でふらふらと、何処かへ行ってしまうことなんて知っていますから仕様がありません――一人の友人として、幼馴染として、地獄の底までついて行きますよ」

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