第3話 結婚
2016年4月15日、今日、松本エレクトロの本社で松本明は新しいテクノロジーを発表する。大きい会議室に世界中で人気がある電化製品会社の社長たちが招待されていた。本当に全員が来た。アメリカの社長が4人、ドイツの社長が2人、中国の社長が3人、韓国の社長が2人、その他だ。会議室は混んでいる。もちろん、立花エレクトロからも来ている。立花紗江子だ。紗江子は自分で松本エレクトロの最後の瞬間を見たかったのだ。
明:「皆様お越しいただきありがとうございます。ようこそ松本エレクトロへ。私は松本明と申します。宜しくお願いいたします。今日、皆様は新しい電化製品の革命をご覧になります。最近、弊社はアメリカでたくさんの研究を行いました。本日、私は皆様に結果を発表させていただきます。昨日、特許を取得しました。ですから、皆様が真似することはできません。しかしながら、我(わ)が社(しゃ)は新しいビジネスパートナーを探しています。そのため、皆様をご招待しました。このテクノロジーは全世界に革命を引き起こします。」
明は大きい画面を指す。写真が出る。皆さんは驚いている。紗江子:「電池?!本当に電池なの?!」明:「これは普通の電池ではありません。これは新しい革命的な電池です。皆さんは何故この電池が特別なのかとお思いですね。答えはこの電池の持続時間です。4時間でもなく、8時間でもなく、16時間でもなく、...この電池のエナジーパワーレベルは48時間持続します。例えば、スマホを48時間使い続けてから充電をすれば良いわけです。信じてください。多くの人々がこの電池を欲するでしょう。市場(しじょう)は広大(こうだい)です。スマホや他の小さなデジタル製品やパソコンなどです。もちろん、この電池をもっと大きくして、電気自動車に搭載(とうさい)することもできます。全ての電気製品に使用することができます。」
皆は感動している。紗江子だけが感動していない。紗江子は怒って立ち上がり紙を破き、怒りに燃(も)えている。明:「また来週紗江子さんに会いたいですよ!」紗江子は明の方を見ないようにして、立ち去る。他の電化製品会社の社長はスパークリングワインを飲みながら、松本エレクトロのビジネスパートナーになった。そのため、松本エレクトロは再(ふたた)び強くなった。今後は、たくさんの会社が松本の株(かぶ)を買い、松本の資産は増えるだろう。しばらくして松本エレクトロと立花エレクトロの資産は同じぐらいになった。
会議の一週間後に立花タワーでひどいことが起こった。今日は一日中雨が降っている。一週間ぐらい立花和広は寝たきりだ。最近、検査(けんさ)を受けて重い病気が見つかったのだ。だから、紗江子と和広はたくさんの時間を一緒に過ごしている。会話が始まる。和広:「大好きな娘、聞きなさい。私の状態はとてもまずい。病名は全くわからないそうだ。私の病気は深刻(しんこく)だよ。いきなり発症(はっしょう)した。死ぬかもしれない。」和広は咳(せ)き込(こ)んだ。
紗江子:「お父さん?!大丈夫ですか?」弱そうな和広:「心配しなくて大丈夫だよ。今、お前を見られて、嬉しい。」紗江子:「お母さんはどこですか?」和広:「喜美子は家だ。私が苦しんでいるのを見ることができないんだ。それは大丈夫、許している。でも今日の話はそのことではないんだ。もし、近いうちに私が死んだら、誰が会社を引(ひ)き継(つ)ぐかについてだよ。」びっくりした紗江子:「でも、お父さん!あなたはまだ生きていますわ。その考えは早すぎますわ。重い病気に打ち勝つかもしれません。」和広:「紗江子!私は自分の体をよくわかっている。この病気は本当にひどい。今、病気に負ける可能性のほうが大きいだろう。だから、私の頭がはっきりしているうちに立花エレクトロの次の社長を決めたいんだよ。分かるね?」紗江子:「でも、お父さん、今の会社の状態はとてもまずいですわ。松本エレクトロが新生しました。これは危機ですから、強い社長が必要ですわ。」和広:「だから、この時が来た。今の危機において私たちの会社は、強い新社長が必要だ。今、私はとても弱い。どうやってベッドの上で働けるというんだ?!それは無理だよ。だから、自分で後継者を決めた。立花紗江子、今からお前は私のポジションを引き継ぐ。将来は成功できるように頼む。そして、私の願いを叶えてくれ。」紗江子:「ありがとうございますお父さん。でも、私は若すぎると思いますわ。こんな責任を負うのは早すぎると思いますわ。」和広:「完璧なタイミングだと思うよ。お前は全て学び、よく育った。会社の新しい時代が始まった。この時代は紗江子がリーダーだ。」紗江子:「私を信じてくださってありがとうございます。頑張ります。」和広:「今すぐ、行きなさい。たくさんの仕事が待ってるよ。」紗江子:「了解しました。」
紗江子は立花タワーの地下室に行き、プライベートの道場で空手を練習している。練習しながら、考える。責任、会社の将来、自分の力が足りるかどうか、お父さんの願い、松本明のことだ。
次の日、紗江子と明はまた会う。今回はイタリアンレストランでスパゲティを食べる。紗江子は明が買ったドレスを着ている。明:「そのドレスはあなたに本当に似合っていますよ。レストランで紗江子は一番可愛い女性だと思います。」紗江子:「確かに、私は世界で一番可愛い女性ですわ!」明:「いつも毒気があるよね。すみません!ですよね。」紗江子:「黙(だま)りなさい!」明:「どうやって、友達を作ったんですか?」紗江子:「中学校の時にクラスメートがあゆみさんと緑さんをイジメたので、私は彼の鼻を折りましたの。その時から、あゆみさんと緑さんは私に付いて来るようになりましたわ。」明:「強そう!ヒロインみたい」紗江子:「今、強い女性が必要です。弱すぎる人は意味がありません。」明:「厳しいですよ。もちろん、強い力は大切ですけど、皆さんが特別な力を持っています。」紗江子:「違います!だいたい人は弱すぎるのです。弱い人は強い人に従(したが)わなければいけませんわ。弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)。それが現実の世界ですわ。」
明:「どうしてそうなるんですか?紗江子の世界は冷たくて、残酷だと思います。なのにどうして、あなたはどうしてそんなに超可愛いのです?!本当にまだ付き合いたいと思っています。」紗江子:「そう約束しましたけど、他のビジネスを進めたいですわ。」明:「他のビジネス?逃げるんですか?」紗江子:「私は逃げませんわ!どうして、私たちは結婚しないんですか?」びっくりした明:「ちょっと待って、ちょっと待って...。普通、男性がプロポーズするでしょう。」紗江子:「それはどうでも良いですわ。もし、私が結婚して、あなたが死んだら、私が全て相続しますね。同時に会社の将来を保障(ほしょう)するという私のお父さんの願いを叶えられますわ。」明:「ビジネスみたいだな。なるほど。オーケー!立花紗江子は松本明と結婚したいですか?」紗江子:「...はい。」明:「良かった!一緒に乾杯しましょう。末永く一緒にいられますように。ところで、食事はどうでしたか?」紗江子:「まずいですわ。料理長はイタリア人じゃないのでしょう。去年、私はイタリアに行きました。イタリアの本場の味とは全然違いますわ。」明:「これが私の未来の妻か。」
いきなり紗江子のスマホが鳴り出す。涙が一滴こぼれた。明:「どうしたの?」紗江子:「私は早く帰らなければいけません。」紗江子はすぐに立ち去った。
立花タワーに着くと紗江子は急いで和広のベッドまで走った。疲れている紗江子:「お父さん!...お父さん!何が起こったんですか?起きてください!目を開けてください!話してください!」紗江子は泣き始める。医者が来る。医者:「申し訳ありません!本当に申し訳ありません!私たちは何もできませんでした。和広様は一時間前に脳卒中をおこしました。すぐお亡くなりになってしまいました。」泣いている紗江子:「いやです、お父さん!!!どうして今なんですか?ライバルはまた強くなって、その社長と結婚して、お父さんが亡くなった。悪いことが全部同じ時に起こりましたわ。」
一週間後に和広の葬式があった。その葬式は大きくはなかった。家族だけが参加した。紗江子は長いスピーチをした。紗江子はお父さんのことを誇りに思っている。今のところ、紗江子の一番大事な物は紗江子のお父さんだ。心の中でお父さんはまだ生きている。葬式の後に紗江子は正式に立花エレクトロの新しい社長になった。
一ヵ月後に立花紗江子と松本明の結婚式がある。悲しい時でも楽しいことはいつもある。
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