ただいま


『ただいま!』実家のドアを開けると、『は〜い、どなた?』と、元気の無い声で出てきた母が、私の顔を見るなり、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になったかと思うと、号泣し泣き崩れた。『どうしたんだよ母さん?、大げさだなぁ、父さんは?』と、僕は家にあがり、父を探した。母は泣きながら『さぁ、さぁ、こっちよ…実はあんたに、あんな事があってから、父さん寝たきりになっちゃって…』と、

2階の角部屋に僕を案内した。


『あなた、開けるわよ!驚かないでね!凄く良い事があるのよ!』と、もったいつけた前置きで、部屋のドアをゆっくりと開けた。

部屋には、介護用ベッドがあり、そのベッド上には、顔色の悪い男が具合悪そうに横になっていた。その男は、ゆっくりとこっちを向いて、私の顔を見るなり、震える手を伸ばし、自分の方に手招きし、声にならない声で『おおぉぉぉ…ぁぁぁ』と言い涙と鼻水で顔をクシャクシャにした。僕はベッドに近づき『父さんただいま』と言うと男は、更に感涙に咽び泣いた。


すると急に母が『でも、何で?あなた、殺されたのよね…?事件に 巻き込 まれて…どうして?』と私に詰め寄る


私は、にっこり微笑み、その質問に答えた


『そうだよ、あなた方の息子は、僕に殺されたよ!そこに寝ている、おっさんが飲酒運転で昔、僕の家族を全員奪ったせいでね!それでも、のうのうと、暮らすあんたらに、どうしても私以上の苦しみをプレゼントしたくて、あなた方の息子を殺し、顔をそっくりに整形したんだよ!奇跡って素敵でしょ?あるわけ無いけどね〜!しっかし、愉快だね〜あんたら、本っ当に笑える!感涙っていうのそれ?……想像以上の反応!私を楽しませてくれたご褒美として、家族揃って息子に会わせてあげるよ!』と言った私は、腰に隠していた手斧で2人をゆっくりと刻み、約束通りに息子のもとへ、送ってあげた…

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