介護ブザー
私の家の裏には、精神異常者の女が住んでいて、いつも朝方5時頃に【ブーーー!】と介護ブザーを1時間近く鳴らす。頭の禿げ上がった凄く小柄な黒縁メガネの、裏の御主人に少し前にあった時『あの音、何ですか?いい加減にして下さいよ!』と強めに言うと、御主人は『妻が何か、迷惑をおかけいたしまたでしょうか?本当に申し訳ございません。』と、全く知らなかった様子で、丁寧に深々と、頭を下げた…話を聞くと、御主人は深夜の仕事をしており、御主人が帰宅する頃には介護ブザーの音は止っているらしい………『妻には、よ〜く言って聞かせますので何卒御勘弁下さい』と言ってからしばらくは、介護ブザー音は止まったが、御主人が不在の時にまた介護ブザーは鳴り響いた。
昨日に続き今日も、介護ブザー音は鳴り響いた。ついに溜まりかねたうっ憤と、睡眠不足も重なり、私は、裏の家に行きガンガンドアを蹴り、『裏に住む物だ!いい加減にしろ!眠れないだろっ!』と怒鳴りちらした。蹴った勢いで、ドアの蝶番がガタンと外れ、家の奥から、ガチャン!バリンと何かが割れる音がした。そして、ブザーの音は止んだので、外れかけたドアを立てかけ、家に戻って、布団に入り目をとじた
…数分後私の家ドアを『ガンガン!ガンガン!』と激しく叩く音で目を覚ました。尋常じゃ無い叩き方に、恐ろしくなり、そっと覗き窓から覗くと恐怖で、膝がガタガタと震えだした。覗き窓の向こうには、30代位の女が、血だらけのガラスの破片を握りしめ、片方の手首は無く、出血していた…そして、その女には、瞼も上唇もなく、まるで化物だ……何かを叫んでいる様子だが、声にはなっていなかった…あまりの恐怖に物音をたてずに震えていると、【ドカッ】っと凄い音がして、女は前のめりにズルズルッと倒れた。女が倒れた後ろには、あの小柄な御主人が、短めの使い込まれた、鉄パイプを握って笑顔で立っていた。男は、倒れた女の髪を鷲掴みにし、グッタリした女を、力強くグイッと引き上げ『約束やぶって逃げたから、また仕置きだよ……ちゃんと言う事聞かないと、前に居たコみたいになるよ?』と笑顔で女の耳元で囁くと、そのまま、髪の毛を引っ張り、ズリッズリッズリッっと女を引きずって帰って行った………その日から介護ブザーは一度も鳴っていない………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます