オフ会


私は、究極の恐怖を体験したい!と言うオカルトマニアが集まるサイトで、知り合った数人とオフ会をやる事になった。会場は、オカルトサイトのオフ会らしく、病院跡地の廃墟で究極の恐怖を体験出来ると言った触れ込みの肝試し的な催しのオフ会だった。早めに着いた私は、少し病院の中を散策し、病院だった頃、待合だったと思われる場所の長椅子に腰掛けて待っていると、恐怖を感じた事が無いと豪語する母子親子連れの河原さんと名乗る親子があらわれた。次に、中々イケメンな、自称恐怖マニアの平田さんと名乗る男性が、そしてこのオフ会の主催者の田中さんと名乗る40代位の頭の薄い男性があらわれた頃に、はすっかり日も暮れ、午後8時をまわっていた。



主催者の企画はこんな感じの物だった。2人ひと組になり、懐中電灯だけを頼りに今いる待合室から、手術室までを往復し、その間に各自、写真を撮り、後で写真を見ながら心霊写真を探そうという物だった。1組目が戻ってから、もう1組が出発するというルールでスタートした。最初の組みは、親子連れの河原さんと田中さんのペアが出発した。15分位した頃、ガタン、パリ〜ン『ママ〜』と子供の叫び声がし、それ以降シーンと静まり帰ったまま、いくら待っても、いっこうに誰も戻ってはこない…私は、イケメンの平田さんに、『何かあったのかも?行ってみます?』と言うと、平田さんは、『よし、行くか!』と快く同意してくれた。そして手術室まで、懐中電灯を持ち急いで進んだ。手術室の近くまで来た時『ぎぁ!』と言う男性の悲鳴と共にバタンっと大きな音がした。

その声は、手術室の中からだった。



『田中さんの声だ!』と、平田は、不安そうな顔をしながら、恐る恐る、手術室のドアを開けたそして、手術台に近づき、手術台を照らし、『ぎぁぁぁぁ〜なななな、何だこれ〜!』と絶叫した。照らし出された、手術台の上には、腹を裂かれその腹の中に、バラバラになった子供の遺体を詰め込まれた河原さんが横たわっていた。驚愕し、その場にしゃがみ込んだ平田の頭に何か鋭利な物が突き刺さりそれは、頭蓋を貫通し、口の中まで到達したのがハッキリとわかった。平田の目には死の瞬間に、薄笑いを浮かべ、レインコートに手術用手袋をして、長い刃物を引き抜く田中の姿が映った。平田の頭から引き抜いた包丁を手に田中はニヤつきながら、私の方へ向かってきた。私は、田中に言った『田中さん楽しめた?それじゃあ約束通り私を殺して』と……実は、このオフ会は、自殺志願者の私が、猟奇殺人マニアの田中さんに声をかけ、本当の恐怖を欲しているオカルトマニア達に、本当の恐怖をプレゼントする代わりに、私の自殺の道連れになってもらう企画だったの、後は田中さんの猟奇殺人の衝動を満たし、最後に私を刺してもらい、私が凶器を握り締めて死ねば、ミンナの願いが叶うって企画だったの、素敵な企画でしょ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る