04:語る
僕らはあまり語りたがらない。
ここで言う”語る”とは、内面での独り言のことじゃあなくって、もっとずっと単純に人との関わりの中で必要な自己開示のことである。彼女も、人といる中で口を閉じていることのほうが多い性分だ。けして他者とのコミュニケーションを断絶しているわけじゃない、必要に応じれば真摯に受け答えはする。自ら話すとなると、必要な内容以外は喋らないというだけなのだ。(それを”悪しきこと”、”人として間違った自分勝手な認識であり、正しくない”と卑下する考え方は、今回ははとりあえず放っておく。またそのことは近いうちに話そう)
相手に合わせる。差し障りのない会話だけで済ます。心の深い部分は語る必要はないし、そもそも他者に要求されない答えがあったって、会話の噛み合わなさに疲れるだけだ。
ーーと、僕らは半ば諦めている。
***
ひとつ本音を話そう。僕らの言葉を、深い深い場所にある言葉を引っ張ってきたって、口に出してしまえば単なる”妄言”へと変質してしまう。そんな目に見えた悲劇に、僕らは諦めて口を閉ざしているわけである。
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