第3話 俺は普通に過ごしたい。

「ただいま」

俺だけのためにある部屋にポツンと声が響く。

家具も少ない所為で、余計にそう聞こえた。

ドサリと適当に荷物を置いた後、顔を洗う。




バシャバシャと大きい音を立てて、少し硬いタオルで拭く。

家事は出来るようになったものの、未だに慣れないことが多い。

タオルも最初は固くなりすぎたり、柔軟剤の入れすぎで匂いの爆発なんかもあった。

ふぅ、と一息つくと安心する。




そういえば、昔に家にまで来たバケモノが居たっけ、とぼんやりと思い出す。

そいつもそいつで良い所はあったが、最終的にはどうなったか。

最後のほうは気絶か失神していたのかして、覚えていない。




「……そうだ」

一応、今までの妖やら化け物の出現パターンを思い出そう。

そうすれば、あいつ化け物・妖に出会う確率も減るだろう。




まずは、何から思い出そうか。

……あぁ、そうだ。

俺が最初に出会ったあいつなんてどうだろう。

なんだかんだ恐れは消えてはいたが、かなり恐怖を覚えていたはずだ。

……主に雰囲気とかで。

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