第16話 鼠は静かに笑う……。
人と言う生き物は人がいる場所に集まる習性を持っている。
簡単に言うと、主人公在るところにヒロインありみたいなものだ。
ただ、人と言うものは集まりすぎると時に狂気へと変わる。
そう、今このときの様に……。
「・・・は?これってどういうことよ?」
「俺が知るかよ!?」
俺達が体育館に入るとそこには多人数の人間が密集していた。
体育館の中は半分が緑のカーテンがかけられ俺たちが入ってきた反対には30人以上の生徒達が見受けられた。上から観戦している生徒もいた。
「ちょっと多すぎない?僕なんか緊張しちゃうな?」
「そうね。私もなんだか緊張してきちゃったわ。」
これはマズイな。正直言って最悪の状況だな。ボッチやパシリにされてきた俺と大鳥ならともかくまさか清水まで緊張するとはな。
しかも俺みたいなボッチは基本的に人前や人の視線が集まるのが好きじゃない。
それに緊張してるとミスをしやすくなるしな。
「やぁ、伏見くん。」
俺が荷物を置いた時にイケメン(笑)が話しかけてきた。
「お前、やってくれるじゃねーか。イケメン(笑)さんよ。」
「何の事か分からないな?勝手な言い掛かりはやめて欲しいな。」
そう言いながらイケメン(笑)は手を挙げ首を横にふった。
「それじゃ、試合を楽しみにしてるよ。」
あの野郎、ホントにいい性格してるな。
と、その前に清水達をどうにかしないとな。
「おい!清水、大鳥こっち向け。」
そして、清水と大鳥がこっちを向いた瞬間に俺は二人の頬を叩いた。
「った!何すんのよ!しかも何で大鳥君は優しく叩いたのに私は本気で叩いてんのよ!」
「はは!本気じゃないですよ?3分の一くらいの力ですよ!?勘違いしないでくれるます~。」
「んな!?このボッチのコミュ障が!」
そう言うと、清水は俺の胸元をしめてきた。
と、言うか。俺なんか浮いてるんだけど?女子に持ち上げられる男子ってどうなんだ?
「ま、待って!やめよ?もう試合だし!」
大鳥は清水の手を掴みやめるようにうながした。
「わ、分かったわよ。」
「苦しかった。止めてくれてありがとう、大鳥。それに二人ともあれだけ騒いだんだ。緊張もとけただろ?」
二人はお互いに顔を見て笑った。
「はは!確かにあんなには緊張してたのに何か体が軽くなった感じだよ!」
「そうだね。僕も何だか緊張がとけたよ。」
「そんじゃ、ま、行きますかね。」
何故か、俺の口元はにやけていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます