第17話 試合前なのにこの緊張感はなんなんだ?

「いつ、ツッコもうかと思ってたけど、一空さん達は何してんの?」


「はは!何って決まってるじゃない!試合の実況だよ!」


体育館の壇上に机と椅子、それとマイクが置かれていた。


「因みに何で西ノ宮先生までいるんですか?」


「私も実況だよ!こんな面白そうなイベントを見逃すはずないだろ?」


この教師は……。


「そろそろ試合を始めないかな?」


横からイケメン(笑)が話しかけてきた。


「そうだな。早く終わらして昼飯食いたいしな。」


「ああ。そうだね。負けて一人飯でも食うといい。」


「笑わせないでくれよ?負けるのはお前だろ?」


イケメン(笑)とにらみ合いになった。


「じゃあ!試合前に選手の紹介といきますか!」


西ノ宮先生がそういった。


この人いい年してテンション高いな。


「それじゃ、まずは!イケメンこと皆のアイドル!木島裕翔!次にクラスの女王!!私の命令は絶対!山寺有子!最後はいつも木島君の影にいるモブ!斉藤新木!」


何か最後のチャラ男だけ扱い酷くね?そんなにチャラ男の事が嫌いなのかな?


ふと、そんなことを考えていると、後ろから物凄い歓声が起こった。


「木島くん!頑張って!」


「そいつなんかに負けんじゃねーぞ!」


「と言うか?あの真ん中にいるの誰?キモいんだけど!」


おい!最後のは明らかに俺だろ!そんなにキモいのか?俺は!?


「続いては!敵チームの紹介です!西ノ宮先生お願いします!」


「私たち敵チームになってるんだけど。」


清水が言葉を挟んだ。


「ま、周りから見たら俺らはカースト上位に喧嘩を売った身の程知らずだからな。」


清水と大鳥は怪訝そうな顔で周りを見た。


「では、チームメンバーの紹介だ。チームのリーダー!ボッチの王!友達と言う言葉を使ったことのないボッチ!伏見井就くん!」


友達と言う言葉くらい使ったことあるぞ!但し、友達がいるとは言ってない!そもそも複数形の友達と言う言葉を使うより個人に使う友人と言う言葉の方が多分使う!と、おもう!


「そして!元トップカーストの美少女!リヤ充の癖にリヤ充になりたくないと言う人でなし!清水榛名!」


「何か先生の一言に必ず嫌みが入ってるような気がするですけど?」


「言ってやるな、清水。」


「あ、はは。」


苦笑いを浮かべる大鳥と驚いている清水、両者の気持ちも分かるが、先生の気持ちも分かってしまう。


「最後に!あるマニアには裏で男の娘と言われている!実際に可愛い、大鳥栞菜!」


「何か僕のだけおかしな事を言われてるような?」


「気にしない方がいいぞ、大鳥!先生のいっている通りお前は可愛いぞ。」


「何か、素直に喜べないんだけど……。」


「選手の紹介も終わったところで!試合を始めましょうか!」


一空さんがそう言うと周りが行きなり騒がしくなった。


「じゃあ、どっちから攻める?」


ボールを持った一空さんが俺とイケメン(笑)を見てきた。


「それならコイントスで決めるか?」


「それでいいよ。」


そう言うと俺は先生から、十円を受け取った。


「裏か表どっちだ。」


「裏で。」


俺はその言葉と同時に十円を指で弾いた。


弾かれた十円は空中で回転し一定のところまで行くと回転しながら落ちてきた。それを俺は手の甲と反対の手でキャッチした。反対の手をどけると十円玉は……。


「表だな。俺たちから攻めるという事で。」


「分かったよ。精々頑張ってくれ。」


そして、俺たちは始める位置についた。


「それでは!木島チーム対伏見チームの試合を開始します!」


そして、笛が鳴った。







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